オペラ
オークションで処分したレコードたち 17
このブログではあまりオペラを取り上げていませんが、レコードだけはかなり所有していました。しかも、その多くが輸入盤です。下はプッチーニ: 歌劇 「ラ・ボエーム」で、アントニオ・ヴォットー指揮フィレンツェ5月音楽祭管弦楽団・合唱団、レナータ・スコット、ジャンニ・ポッジ、ティト・ゴッビが演じるもので、1962年の録音のものです。多分このデザインでは日本で発売されたことはないでしょう。アントニオ・ヴォットーは1948年からはスカラ座の中心的な指揮者として活躍し、たびたびシーズン開幕日(伝統的に12月7日)のタクトを振るっていました。1948年から1967年にかけてはミラノ音楽院の指揮科主任教授の地位にもあり、リッカルド・ムーティをはじめとして多くの後進を育てています。DGに残した貴重なステレオ録音です。
下も同じグラモフォンのプレヴィレッジシリーズで発売されたもので、ウェーバーのオベロンです。プライスシールからするとフランスのFNACで購入したものでしょうか。クーベリックの指揮、バイエルン放送交響楽団、合唱団にドミンゴ、ヘルマン・プライと豪華キャストによる『オベロン』の決定盤。先頃亡くなった名ドラマティック・ソプラノ、ビルギット・ニルソンの参加も光ります。1970年ミュンヘン、レルクレスザールでの録音です。
日本のポリドールはこの辺りのオペラは廉価盤で投入することはありませんでした。下はウェーバーの魔弾の射手です。1959年の録音で式はオイゲン。ヨッフム、バイエルン放送交響楽団、合唱団にこちらもビルギット・ニルソン(S)、プラシド・ドミンゴ(T)、ヘルマン・プライ(Br)が参加しています。
もう1組、ヨッフム/バイエルンの1966年録音のモーツァルト「後宮からの逃走」です。こちらはフリッツ・ヴンダーリヒ - Fritz Wunderlich (テノール)、クルト・ベーメ - Kurt Böhme (バス)、ロッテ・シェードレ - Lotte Schadle (ソプラノ)などが参加しています。クルト・ベーメなんて懐かしい名前です。
ヨーロッパのDGのプレヴィレッジシリーズのオペラは充実していました。オペラだけではなく演奏者も2枚組で発売されています。DGにモーリス・アンドレが録音したトランペットの作品を集めた作品が発売されていました。このアルバムにはこのシリーズで発売されていたアルバムがカラーで紹介されていました。
さて、オペラといったらワーグナーの「指輪」を語らないわけにはいかないでしょう。このセットは1976年に発売されたもので、22枚組のセットでした。当時は破格の3万円で発売されました。もちろん小生は2割引で購入していましたからほぼ1枚あたり千円です。廉価盤の範疇ということで思い切って購入したものです。まう、22枚のうち2枚はライトモチーフ集ということで使われている音楽の旋律についての詳しい解説がなされていて勉強になったものです。張り付けてあるのは「ラインの黄金」ですが、そこからのリンクで全曲聴けます。御用とお急ぎでない人は、秋の夜長じっくりと鑑賞してください。
国内盤も色々揃えていました。下は1500円盤の時代になってからのものですが、コロンビアからはロベルト・シュトルツ指揮ベルリン・ドイツオペラ管弦楽団、合唱団の演奏でヨハン・シュトラウスの「ジプシー男爵」です。帯にシュトルツの追悼盤となって今から1975年に発売されたものです。オイロディスク原盤によるもので1965年の録音です。シュトラウス生誕150年記念でもあり、エーベルハルト・ヴェヒター、ルドルフ・ショック等々往年の名歌手を揃えシュトルツの生き生き、溌剌とした指揮ぶりがタップリと楽しめる全曲盤となっていました。
レオンカバレロの「道化師」とマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」はセットで発売されることが多いものですが、全く別のオペラです。「道化師」はランベルト・ガルデリ/ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団、「カヴァレリア・ルスティカーナ」はシルヴィオ・ヴァルヴィーゾ/ローマ歌劇場管弦楽団、合唱団の演奏でこの組み合わせの大評判です。ジェームス・マクラッケンのテノールがデッカの優秀録音で堪能できる1枚
声楽作品ということで、フィリップスからは宗教音楽1300というシリーズも発売されていました。下はマルケヴィッチ/ソビエト国立交響楽団というソビエト勢による録音です。1961年にモスクワで録音されたもので、いかんせん物ラルというのが残念な録音でしたが、演奏は迫力がありました。
フリッツ・ライナーのヴェルディのレクイエムです。デッカがRCAと提携していたときに録音されたものです。手兵シカゴ響同様ライナーの厳格な統制の下、隅々にまで行き届いた緊張感があり、指揮者特有の美学に貫かれた名演が展開されています。歌手の素晴らしさ、ウィーン・フィル特有の音色がライナーの演出するダイナミズムに華を添えています。この1960年録音の「レクイエム」は当初、RCA発売でしたが、1970年代にデッカにマスターが変換されています。ハンガリー部局は何度も再発されていますが、このベルディはレコード時代はこの時だけではないでしょうか。
ビーチャムとフランス国立放送局管弦楽団、合唱団による「カルメン」でロス・アンヘレスとニコライ・ゲッダが共演して話題になった録音です。1958,9年録音で、ひとえにビーチャムとフランス国立放送の作り出すエレガントな音楽はこの録音ならでは。ロス・アンヘルスのカルメンは気品があり清楚な感じで、毒婦のようなマリア・カラスの対極のような感じです。下のリンクは第1幕ですが、そこから全曲鑑賞することもできます。
デ・ロスアンヘレスの歌声が聴ける1959年録音の「蝶々夫人」です。ガブリエーレ・サンティーニ指揮/
ローマ歌劇場管弦楽団のバックでピンカートンはユッシ・ビョルリンクが歌っています。
東芝EMIからセラフィムシリーズでぼっくすもののオペラが発売されていたことを知っている人は少ないのではないでしょうか。デッカとEMIは競っていましたから素晴らしい名盤が多々発売されていました。ただ、オペラはそれほど売れませんから再発されるとなるとかなりハードルが高かったのではないでしょうか。廉価盤時代になってこのように日の目を見たことはラッキーだつた気がします。で・ロスアンヘレスの「椿姫」です。トゥリオ・セラフィン/ローマ歌劇場管弦楽団のバックでロスアンヘレスはのびのびと歌っています。1959年ステレオ録音。2005年に亡くなったスペイン出身の名ソプラノ、ロス・アンヘレスの代表的な名盤として知られた一組で、イタオペの神様といわれた巨匠セラフィンの指揮もあって聴き応え充分です。
ケルテスはドヴォルザークの作品を多数録音しています。このレクイエムはほとんど唯一無二の録音で、ケルテスがこういう録音を残してくれて感謝です。
マゼールのフィリップスへの録音にこんなものがあるとは全く知りませんでした。そんなこともあり、告知があった直ぐに申し込んでしまいまいました。1965年3月に録音されたもので、マゼールは当時まだ35歳、若きロリン・マゼールが「ベルリン放送交響楽団(現、ベルリン・ドイツ交響楽団)」他と録音した盤です。ベルリン放送響音楽監督就任の翌年ー1965年9月にのヨハネススティフト聖堂で行われたもので彼の初のバッハ録音でもありました。ソリストにはソプラノ、テレサ・シュティヒ=ランダルほかコントラルト、アンナ・レイノルズ、テノール、エルンスト・ヘフリガー、バス、ジョン・シャーリー=カークと往年の名歌手を揃えています。
下もフィリップスの私有饗音楽1300の一組です。1970年に録音されているこの録音、声楽作品にも数多くの名盤を残したヨッフムによる最高傑作のひとつ。同じくロイヤル・コンセルトヘボウ管やバイエルン放送響他とのバッハやヘンデル作品と並ぶ偉業のひとつです。この「ミサ・ソレムニス」はドイツ的な心情に満ちた演奏としても規範となる録音であり、表層的では決してない敬虔な感覚が内面から湧きだすかのような表現は見事です。ソリスト陣も優秀で、ソプラノのギーベルによるテキストを踏まえた透明度の高い歌は特に聴きもの。アルトのヘフゲン、テノールのヘフリガー、そして当時ワーグナー歌手として頭角をあらわしていたリッダーブッシュ含め全員の品格ある名唱も名盤に華を添えています。