福田豊四郎と堀文子 | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

福田豊四郎生誕120年・堀文子没後5年企画

福田豊四郎と堀文子

 

 

 名古屋市のお隣、長久手市にある「名都美術館」に出かけてきました。当日は午前中に「トヨタ産業技術記念館」に出かけていましたので車で長くて島で出かけたのですが、写真のように長くてのアピタのすぐそばですからリニモの杁ヶ池公園駅からすぐのところにあります。かえってその方が簡単で、車で行くと駐車場が裏手にあるので分かりにくく、初めて訪れたので探し回りました。

 

 

 

 バックにアピタ長久手が見えますが、リニモの圦ヶ池駅のすぐそばにあります。幹線道路沿いに入り口がありますから車で行くと裏へ回り込まないといけません。

 

 

 入口を入ると正面に庭園があります。その隣に吹き抜けのホールがあり、そこにタペストリーがかかっているのですが、その写真を撮ろうとしたら警備員にとめられました。写真に撮れるのはこの庭園だけで、後は全面禁止です。道理であまりSNSにこの美術館の記事がアップされていないわけです。そんなことで、以下の主だった写真はネットからかき集めました。福田豊四郎は明治37年に秋田県鹿角郡小坂町で生まれます。薬店を営む父の家庭に生まれ、次兄の影響で美術や文芸に親しんでいたそうです。15歳のとき京都に出て、鹿子木孟郎、川端竜子、のち土田麦僊に師事して日本画を学び、昭和3年、京都絵画専門学校を卒業します。そして日本画の協会を作ったり、公募展で賞を獲ったりして活躍します。新聞や雑誌の小説挿絵も担当していました。武蔵野美術大学の日本画講師にもなっています。昭和45年に亡くなります。

 

 その福田豊四郎の作品です。

 

山菜売る人達

 

 作品を見てもわかるように非常に簡素化された画面で構成されています。バックには一切書き込みがなく、タイトルの人物とその三菜だけが描かれています。野蒜? ゼンマイ? むかご? 山桜の枝などは商品の特徴を捕まえ、細かく描き込まれています。ただ、人物も着ているものは非常に簡素化されほぼ島模様で統一されています。まるで絵本の挿絵のようなタッチの作品ですが、主題がくっきりと浮かび上がり人物を描いていますが、主役は山菜たちだと言うことがわかります。
こういう絵に出会うたびに、植物が見分けられないのが悔しい。開きかけた花のとなりの小さな葉の芽吹きや、山菜の産毛、籠の中の鳥の毛羽立った様や瞳の光点まで、細かく描写されていて、見る人が見れば、性別種別どころか、月齢週齢すら分かってしまいそう。

小さな生き物や植物の、細密で写実的な描写に比べて、人々は大胆に簡略化されている。前期の『市日』でもそうだったんだけど、着物の縞など、一筆で一気呵成に引かれていたり、やっぱりマチスのよう。
人物をメインとする作品であれば、人物こそ写実的に細密に描きこみ、人物からはなれた静物となるほど、簡略化されていくように思われるのだけれど、まったくその逆。

 

秋田のマリア

 農家の納屋で母親が子供に母乳を与えている様が描かれています。昔はこういう風景があちこちで見られましたが、今ではとんとお目にかかれません。納屋の中には澄んだばかりの山菜が包まれ、その下にはウサギが飼われています。また左端から白い馬が顔をのぞかせていますのどかな農村の風景ですが、ほっこりとした温かみを感じることができます。

 

海濱

 こちらもバックが簡素化された作品です。置きに船が浮かぶことによって海辺だと言うことがわかりますが、船はありえない構図で描かれています。漁師なのでしょうか産地1丁にやっぱりを払って子供たちが走り寄っています。砂浜の中には、カニや貝殻などが細かく描き込まれています。

 

 位タッチで描かれていますが、デフォルメされた雲とその手前に広がる大海原の波し、吹きが日本海の海を感じさせます。手前には砂浜が描かれていますが、見る角度によって色彩が変化する素材で描き込まれています。

 

樹氷

  

 こちらも童話に出てきそうな風景…かわいいです。鹿はしっかり描きこまれていますが、タイトルの樹氷はデフォルメされて抽象的な形で描かれています。は池の空を流れる雲の形も独特で面白いです。それもあり、疾走感が出ています。また鹿が空に浮かんでいるような構図になっていることで、トナカイではありませんが寒い夜、冷たい向かい風の中をサンタさんのもとに出勤するトナカイたち…というイメージです。

 

雪国

 

 東北の真っ白な山脈は冷たく、凛としています。そのふもとに、小さな家が温め合うようにその身を寄せ合っている村が描かれ、画面中央に大きく流れる川は、濃い青で存在感を示しています。そして、数々の作品の描かれるカラスは遠景で実在していますが、前景の人物は風景とは別の映像として重ねられていて、冷たい向かい風に耐えるように背を丸め、目線を落とし、氷と雪を踏みしめるように、一歩一歩をしっかりと踏みしめている様が描かれています。この前景はチラシの中でも切り取られていますが、人々の雪国での厳しい日々の生活の様が感じ取れます。

 

 そして堀文子です。まあ、この堀文子に関しては2021年に単独でこの名都美術館で展覧会も開催されていますし、この後もまた開催されるようですから今回はパスします。下は今回収蔵された作品ということで取り上げました。

 

白鷴

 

 白鷴とはジ科の鳥。全長約一メートルで尾が長く雌雄で羽色が異なります。雄の背面は純白で細いV字形の黒斑があり、腹面は紫黒色。顔に赤い肉こぶがあり、後頭に紫黒色の長い羽冠をもちます。ここでは桜と共に描かれているということで春の喜びを表しているようです。

 

 この展覧会の模様がYouTubeにアップされていましたので貼り付けておきます。