夏の日の恋 | geezenstacの森

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夏 の 日 の 恋

 

 

 「恋は水色」を取り上げたらこの曲も取り上げたくなりました。ということで、まずはパーシー・フェイスの1960年の大ヒット曲「夏の日の恋です。

 

 パーシー・フェイス - Percy Faith 、ゲイリー・ヒューズ - Gary Hughes、ビリー・ボーン - Billy Vaughn 、ポール・モーリア - Paul Mauriat 、パーシー・フェイス '76 - Percy Faithを続けて聴いてみましょう。パーシー・フェイスはこの作品を2回録音しています。1回目の1960年盤は大ヒットとなり、全米ヒットチャートで9週間連続1位になりました。 この作品によって彼は全世界にその名を響かせるに至ったと言えるでしょう。曲が曲だけにどれもストリングスを主体としたアレンジで、どちらかといえばパーシー・フェイスのストレングスを中心としたアレンジが基本となっています。ビリー・ボーンなんかこれがビリー・ボーンなの?という演奏ですし、ポール・モーリアもおとなしめです。ただる中間部ではチェンバロを加えて変化をつけているのが特徴的です。ゲイリー・ヒューズはリーダースダイジェストに録音した演奏で一般にはあまり知られていません。

 

 

 いつもは金管バリバリのジェームズ・ラストでさえ、ここではストリングス主体の演奏になっていて、これもびっくりです。それでも中間部はトロンボーンで変化をつけています。

 

 

 ストリングス主体のマントヴァーニはどうなんでしょう。一時アコーディオンを使った録音を多用していましたが、ここでもその変化球で出だしから肩透かしを食らいます。トレードマークのカスケーディング・ストリングスは中間部でようやく顔を見せますがやや煮え切らないうちに終わってしまいます。

 

 

  このBob Docker もRCA系ですがリーダーズ・ダイジェストが主力のアーティストでした。こちらはピアノをフューチャーしていてなかなかシックな演奏を展開しています。

 

 

 イージー・リスニング系が衰退した後はオーケストラでの演奏が増えてきました。常設のオーケストラならクラシックの定期公演の合間にポップスコンサートを開くことができますからねぇ。下はNHKが収録した東京フィルの演奏です。式は渡辺一正しが振っています。

 

 

 

 オーケストラ演奏の大御所はなんと言ってもボストン・ポップスでしょう。1980年代にジョン・ウィリアムズがボストン・ポップスとこの曲を録音しています。面白いことにアレンジはリー・ホルとリッジ、プロデューサーはCBSで活躍したジョン・マックルーアガ担当しています。

 

 

 Youtubeで拾った「スクリーン・サウンド・アート・オーケストラ」の演奏です。典型的にスタジオ・ミュージシャンの演奏で薄い弦とドラム、ベースのサウンドです。日本のこういうイージー・リスニング物は押しなべてこんな演奏を繰り広げていました。

 

 

 同じ日本録音でもサム・テイラーの演奏はサックスを主体としたアレンジですから一本筋が通っていました。でも、この人の演奏みんな同じに聴こえるんだよなぁ。

 

 

 当時はよく聴いた名前です。ユーゴー・ウィンターハルターはフルオーケストラのアレンジでポップスの世界にフレンチホルンなどを使用してポップス界に確信を起こしました。ここではギターをメインにしたアレンジで大人締めな演奏になっています。

 

 

 

 ジョフ・ラブはイギリスで活躍したアレンジャー兼指揮者でセミクラシックも得意としていました。スタジオ・ミュージシャンを集めたオーケストラですが、中に中シックなアレンジを施しています。

 

 

 ノリー・バラマーもイギリスのイージーリスニングの大御所です。ただ、古い演奏なのでコーラスを取り入れた60年代のスタイルで演奏しています。

 

 

 タンゴで名を成したアルフレッド・ハウゼはここではギターをメインに据えたアレンジで勝負しています。ハノーファーの放送局のメンバーが多くなかなか分厚い響きで楽しませてくれます。

 

 

 

 流行の曲なら何でも演奏したベンチャーズもこの曲を録音しています。

 

 

 下は米RCAがいろいろな形でポップスのすんすとぅるメンタルを仕掛けた中でもメインだった「リビング・ストリングス」を使った演奏です。典型的なスタジオ・ミュージシャン楽団ですね。

 

 

 次は「Roberto Occhipinti Sentimental Strings」の演奏ですが、このオッキピンティはもともとはジャズのベースを演奏するアーティストです。その彼がストリング・オーケストラを率いてここでは演奏しています。そんなことでベースの響きがかなり特徴的になっています。

 

 

 次のThe Fine Classical Orchestraは得体のしれない団体です。スポッティファイやアップルミュージックでも検索できますがどこの国のアーティストか分かりませんでした。結構シンフォニックな演奏を展開しています。

 

 

 Artie Butler's Hollywood Rainbow Popsは名前からしてアメリカのオーケストラだろうということは分かりますが何も情報がありませんでした。あまり特徴はありませんが録音は新しいようです。シンプルなように見えて結構凝ったアレンジをしています。

 

 

 ちょっと安っぽい響きですが「Orquesta Música Maravillosa」もアップルやspotifywで聴くことができます。火も無し不可も無しの演奏です。

 

 

 「The London Pops Orchestra · Stefan Linburg」もネットでよく聴くことができるオーケストラです。ロンドンのスタジオミュージシャンによる演奏なのでしょう。パーシー・フェイスのスタイルをなぞっていますから新しい録音好きにはいいでしょうが目新しさはありません。

 

 

 ご存じ「Royal Philharmonic Orchestra」の一連のポップス録音の中の一曲です。ここはフルオーケストラがベースですから音は重厚です。ですが、無アレンジャーがしょぼいのかあまり特徴のある演奏ではありません。

 

 

 名前だけは有名な「101ストリングス」の演奏です。1960年代初期の演奏で名前負けしている演奏です。結成当時の101ストリングスはその名の通り、重厚な響きをトレードマークにしていましたがこの頃からは名ばかりのオーケストラになっていました。

 

 

 「マニュエル&ザ・ミュージック・オブ・ザ・マウンテンズ」は懐かしい名前です。EMIからいろいろなアルバムが発売されていましたがEMIは売り込みが下手でした。

 

 

 

フレンチ系のアーティストではフランク・プゥルセル」が唯一検索で引っ掛かりました。比較的後年の録音らしくなかなかポップなアレンジになっています。さすがアメリカ人の真似はしてません。

 

 

 

 今回取り上げる中でちょっと凝っているのが「Mystic Moods Orchestra」の演奏です。もともとこのオーケストラは効果音を使ってのアルバムづくりに特徴がありますが、こうして一曲切り出すとなかなか様になっています。

 

 

 

 アメリカのオーケストラとしては「Henry Mancini」も録音していましたがさっぱり面白みのない演奏です。まるでパーシー・フェイスのコピーのような演奏です。これでは売れないわなぁ。

 

 

 

 面白いところではバリー・ホワイト率いる4「The Love Unlimited Orchestra」の演奏でしょう。ディスコ調の斬新な演奏で、彼らの特徴がよく出ています。

 

 

 では、これくらいで締めますか。