コリン・デイヴィス
シベリウス/交響曲第3番、6番
曲目/シベリウス
交響曲第3番ハ長調Op.52
1.Allegro moderato 10:42
2.Andantino con moto, quasi allegretto 10:14
3.Moderato – Allegro ma non tanto 8:22
交響曲第6番ニ短調op.104*
4. Allegro molto moderato 7:50
5. Allegretto moderato 4:28
6. Poco vivace
7 Allegro molto 12:05
指揮/コリン・デイヴィス
演奏/ボストン交響楽団
録音/1976/11/29、12/04
1976/11/29、12/01* ボストン・シンフォニー・ホール
フィリップス X−7697
デイヴィスはシベリウスを後年にロンドン響とも録音していますが、このボストン響との録音はフィンランドでも絶賛されたという完成度の高いものです。そして今では、イギリスの指揮者とオーケストラが一体となった全集がほとんどでしたが、コリン・デイヴィスはその範を破って、アメリカの、しかし1番ヨーロッパ的な雰囲気を持つボストン交響楽団とこの全集を録音したのでした。この当時、コリン・デイヴィスは、ボストン交響楽団の主席客演指揮者という地位にありました。当時のボストン響のシェフは小澤征爾でしたが、小澤征爾はそのキャリアの中でシベリウスの交響曲を1曲も録音していません。そういうことでフィリップスはこのコリンデイヴィスにシベリウスの全集を託したのでしょう。デイビスは1974年のシーズンに、まず交響曲5番から録音を始め次に7番と録音を進めていきました。そして最後に録音されたのがこの交響曲第3番と6番だったと言うわけです。ということでは、この全集の中で1番ボストン響の完成度が高いと言えるのではないでしょうか。とりわけ第6番と第7番での清々しく高貴な雰囲気は、まさにデイヴィスならでは。第3番の安定した演奏も聴き手を魅了します。
このシベリウスの3番という交響曲は人気のない曲らしく、カラヤンもこの曲だけ録音していません。しかし、小生にとってはこの第3番はシベリウスの交響曲の中で今一番嵌まっている曲です。個人的にはドヴォルザークの交響曲第2番、ショスタコの交響曲第12番みたいな隠れ名曲でしょうかね。そんなこともあり、ここでは交響曲第6番がカップリングされていますが、小生的には6番のほうがつまらない曲なので、ここでは言及しないことにします。
さてさて、デイヴィスのシベリウスです。レコード時代に唯一所有していたのはこのデイヴィスがボストン響と入れたものでした。それも、輸入盤と国内盤の2種類も揃えていました。でも、別に入れ込んでいたわけではなく、むしろその逆で、印象が薄くて所有しているのを忘れていて国内盤が廉価盤のセットで再発されたのを期に買ってしまったものです。聴いてみたら以前聴いたことがあるような演奏だったので、初めてダブりに気がついたというわけです(-_-;)。つまりはことほどにデイヴィスの印象が薄かったということなんですね。どちらももうネットオークションで処分してしまったのでて元にはありません。ここで、取り上げているのは先日中古ショップで捕獲したものです。
交響曲第3番 演奏時間比較
演奏者 | 第1楽章 | 第2楽章 | 第3楽章 |
デイヴィス/ボストン交響楽団 | 10:43 | 10:17 | 8:25 |
デイヴィス/ロンドン交響楽団 | 11:19 | 10:48 | 8:31 |
バルビローリ/ハレ管弦楽団 | 12:06 | 11:08 | 9:18 |
バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック | 10:00 | 8:28 | 8:02 |
サラステ/フィンランド放送 | 9:24 | 9:13 | 8:33 |
ベルグルンド/ヘルシンキフィル | 10:16 | 9:48 | 8:31 |
マゼール/ピッツバーグ交響楽団 | 9:57 | 8:08 | 9:28 |
従来のこの交響曲第3番は、第一楽章をゆっくりとしたテンポで開始するのが多かったのですが、このデイヴィスの録音と前後して録音をした指揮者は外して早めのテンポで演奏しています。小生もこの早めのテンポを支持する1人で、あまりゆっくりとした録音は受け入れられません。その点デイヴィスは重要ながら安定したリズムと店舗でこの第一楽章を開始しています。シベリウスの指示は冒頭はピアノなのですが、ここではデイヴィスはメゾピアノ位の音量で開始しています。このコントラバスの低音を伴うユニゾンの響きは、やはりこれくらいの音量があった方がスケール感を感じることができます。そこから徐々に音量を上げていき、テンポをアップしながら盛り上げていくデイヴィスの力量は大したものです。個人的にはこのデイヴィスのシベリウスがディフェクトスタンダードになっていますから、他の指揮者の演奏もこのテンポと音量のバランスをどうしても比較してしまいます。