恋 は 水 色
「恋は水色」は1967年、この年ウィーンで開催されたユーロビジョン・ソング・コンテストにおいて、アンドレ・ポップと組んだギリシャ出身で当時まだ10代後半であったヴィッキー・レアンドロスがルクセンブルク代表として出場しフランス語の歌唱で発表、ビートの効いたアップテンポの編曲で、ヴィッキーは力強い曲調で歌い、17ポイントを獲得、参加曲17の中で第4位を獲得し、ヴィッキーにとって初めて世界的に認められることになりました。原題はフランス語でL'amour est bleu ラムール・エ・ブル)でヴィッキーは最初フランス語で、のちに英語バージョン、日本語バージョンなども録音しています。ついでに、この時の優勝曲は「恋の操り人形」でポール・モーリアはもちろんこの曲もレコーディングしています。下の映像はこの曲が世の中に初めて披露された時のものです。
オリジナル ヴィッキー・レアンドロス
ポール・モーリアのオリジナル・バージョンをミュージック・ビデオで
下は1983年に録音したアルバム「マジック」に収録された「恋は水色'83」です。
ポニー・キャニオンに移籍してからのポール・モーリアの録音です。もちろんデジタルになります。
そうそう、ポール・モーリアにはもう一つ蔵バージョンがあります。それはポール・モーリアがプロデュースしたスチールギターのマルセル・ビアンキをフューチャーしたもので、ここではポール・モーリアは彼のプロデュースに徹しています。しかし、サウンドはポール・モーリアです。
アンドレ・ポップはこの曲の作曲者になります。その彼の率いるオーケストラ演奏です。オリジナルに近いことがわかります。
懐かしいところでは101ストリングスの演奏です。本当はパーシー・フェイスの演奏をと思ったのですが、彼は恋は水色を録音していないんですなぁ。
ウェルナー・ミューラーの演奏はトランペットをフューチャーしています。クレジットはありませんが多分ホルスト・フィッシャーでしょう。
マントヴァーニはアルバム「The Mantovani Scene(1969)」に収録されています。ポール・モーリアがドラムスやエレキ・ベースを多用し、人工的な音作りをしたのに対し、マントヴァーニは「アコースティック・サウンド」(電気楽器やPA=Public Addressを使用せず、弦の響きを重視する)にこだわっています。木管楽器のソロや弦の響きがいかにもマントヴァーニらしい演奏になっています。
フランク・プゥルセルはコルネットのハイトーンが印象的。原曲のコーラスをうまくあしらっています。全体のアレンジも洒落ていてややバロック趣味を取り入れています。フランク・プゥルセルは1967年のユーロビジョンコンテストにはバックオーケストラとして参加していましたからこの曲は当初から聴いて知っていたことになります。
ポール・モーリアの師ともいえるレイモン・ルフェーブルはピアノを使い、なおかつバロックトランペットの響きを用いるといういいとこ取りをしながらストリングスをうまくアレンジしています。そして、特徴的なオーボエの旋律も生かしています。
フランス勢の中ではあまり目立ちませんがカラヴェリは控えめにストリングスとコーラスで録音しています。
アメリカ勢はあまりこの曲を録音していませんがボストン・ポップスは別です。
さて、日本のポップス・オーケストラものではレオン・ポップスがこんな録音を残しています。スタジオ・ミュージシャンの寄せ集めでずんちやっちゃリズムの代表的演奏でしょう。
まだ、12人のヴァイオリニストたちの方がヴァイオリンとピアノというシンプルな組み合わせできかせてくれます。
さて、変わったところではあのギタリストの大物、ジェフ・ベックがこの曲を録音しています。
ピアノ主体の演奏を一つ、リチャード・クレイダーマンは第2世代のイージーリスニングの旗手として活躍しましたが、オーケストラアレンジは一本調子であまり好きにはなれませんでした。ここでもわずか1分半ほどで終わってしまいます。
個人的には同じピアノでもシンプルなフェランテとタイシャーの演奏の方を好みました。
ヤケティ・サックスのヒットで知られるブーツ・ランドルフはしっとりとしたムード・ミュージックとしての演奏を披露しています。多分耳にしたことはないでしょうなぁ。ということで貼り付けておきます。
キリがありませんのでこれくらいにします。
P.S.そういえば、ポール・モーリアの演奏ディスコバージョンというものがありました。コメントをいただきましたので貼り付けておきます。