ホット・メニュー'73 | geezenstacの森

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ホット・メニュー'73

 

 1973年は別に取り上げているカラヤンの1000円盤以外にも、ポップス系でこういうアルパムも発売されていました。帯に「サンプラー盤」と大書きしてありますが、当時のソニーの音のカタログのような物切れではなく、すべてフェイドアウトなしに丸っと収録しているところはさすがワーナーミュージックといったところです。要するにヒットシングル版が丸っと2枚のLPに収録されているのです。しかも、価格は2枚組24曲入って980円ポッキリというから買わずには入れません。収録されたアーティストもこれから売り出したいアーティストだけでなく、ビッグネームも適度に配置されて購買意欲をそそった。レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、ジェイムス・テイラー、エマーソン・レイク&パーマー、マナサス(スティーブン・スティルス)、ロバータ・フラックあたりが、その撒き餌的なアーティストだったが、発売前情報では収録予定曲にイエスの「アメリカ」もあったから人選には紆余曲折があったのだろう。これらの楽曲も魅力的だったが、当時の音楽雑誌で名前だけは知っていたが聴く機会のなかったアーティストの曲を聴けるとあって、発売日を待ちわびて即買った。

 

 

 曲目は下記のリストです。当時はクラシック一辺倒ではなく映画音楽がらみでなんでも聞いていました。本当に当時の多くのヒット曲が収録されているのがわかります。

 

 

 1枚目はワーナー・リプリーズ系のアーティストの作品、2枚目はアトランティック系のアーティストの作品が集められています。

 

 

 

 グラム・ロック系はあまり興味はなかったのですが、A面3曲目のドゥービー・ブラザーズの「リッスン・トゥ・ザ・ミューシック」は気に入りました。ホーンセクションを取り入れたこの作品は当時のシカゴやBST、チェイスのようにノリの良い曲で一気に気に入りました。

 

 

 そして、ディープ・パーブルは「ブラック・ナイト」でしょうかねぇ。当時は「ハイウェイ・スター」とともに人気があった曲です。

 

 

 これらの曲は今でも吹奏楽の世界では人気の曲で、ディープ・パープル・メドレーとしてよく演奏されます。

 

 

 アトランティック系ではトップにレッド・ツェッペリンがラインナップされていますが、これははずれでした。「ホワット・キャン・アイ・ドゥ」は大ヒットした「移民の歌」のB面の歌でしたからねぇ。また、ELPの選曲もバラード調の「ラッキー・マン」ということでこれもがっかりしたものです。もう当時は展覧会の絵がヒットしていましたからそういう流れでELPは認識していましたからねぇ。そんなことでアトランティックはD面のダニー・ハザウェイやロバータ・フラックをよく聞いたものです。ロバータ・フラックなんか「愛は面影の中に」が気に入って後に「優しく歌って」のアルバムなんかを購入しています。

 

 

 

 

 このレコードサンプラーですから、中には下のようなアルバム紹介のインナーが挿入されていました。

 

 

 この「ホット・メニュー'73」は一年こっきりで続編は発売されませんでした。業界に与えた影響が大きすぎたのでしょうかねぇ。こういうサンプラーの手法、後に「Feel」とか「image」という形でCD時代に引き継がれていくのですが、それらはサンプラーとしての位置付けより、歴としたアルバムとして流通していきます。業界が儲け主義に走ったんでしょうなぁ。

 

 消費者を置き去りにしたこの有料宣伝版、やがてCDの衰退を招いていきます。デジタル時代になってどこか方向性を間違えてしまったような気がします。