イェルク・デムスのハイドン | geezenstacの森

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イェルク・デムスのハイドン

 

曲目/ハイドン

1.ピアノ協奏曲ニ長調Hob.XVⅢ:11

2.ピアノ協奏曲ハ長調Hob.Ⅵ:3

3.ピアノ協奏曲ト長調H0b.ⅩⅧ:9

4.ピアノ協奏曲ト長調H0b.ⅩⅧ:4

 

ピアノ/イエルク・デムス

指揮/フォルカー・レニッケ

演奏/NHK交響楽団メンバー

 

録音/1983/04/22,24    ポリドール第1スタジオ

 

グラモフォン AA−2010

 

 

 

 こんな録音があるとはほとんどの人が知らないのではないでしょうか。日本ポリドールの制作になるレコードでデジタル収録されていますが、正規のルートでは発売されていません。大体グラモフォンのレコード番号でAAなんて頭につく価格体系はありません。教育用に発売されたものです。

 

 イエルク・デムスは少なくともハイドンの「ピアノ協奏曲ニ長調Hob.XVⅢ:11」をこれ以前に2回録音しています。一つは1969年DHMにコレギウム・アウレウムと組んで、もう一つはDGGにフランツ・パウル=デッカー/ベルリン放送響とです。それにしてもハイドンの作品を3度も録音するとはびっくりしてしまいます。そして、なんと自身でウィーン・コンツェルトフェラインを弾き振りをした2008年の録音も見つかりました。

 

 そもそもこの曲は出版されたときの題は『チェンバロまたはフォルテピアノのための協奏曲Concerto per il clavicembalo o fortepiano)』となっており、どちらでも演奏できるように書かれています。また当時の通奏低音の記譜がありますが実際の演奏では省略されることが多いようで、ここでもそれに倣っています。また、『ピアノ協奏曲第11番』と表記される場合もありますが、これはホーボーケン番号で XVIII に分類されている鍵盤楽器のための協奏曲全部(オルガン用を含む)に通し番号を振ったもので、ハイドンが書いたチェンバロまたはピアノのための協奏曲は第3番、第4番とこの曲の3曲のみだそうです。

 

 3曲の中で一番知られているのはこの第11番でしょう。面白いのはハイドンはこの曲の第1楽章のために2つのカデンツァを書いていることです。この演奏ではその2つをうまく繋ぎ合わせて弾いています。そして、第2楽章のアダージョではハイドンのカデンツァを弾いています。このデムスノ音源はありませんので下はキーシンの演奏するものを貼り付けています。

 

 

 ハ長調の作品は2つのヴァイオリンとバスを伴うものでピアノ四重奏の形でも演奏できる商品です。また、第9番も同様ですが、こちらはブルゾッティによって復元され第2楽章のカデンツァはそのブルゾッティが書いていてここでもそれが採用されています。

 

 最後のト長調の第4番はオリジナルのカデンツァがないのでデムスは自身のカデンツァを演奏しています。下はローランド・バティックによる演奏の第1楽章です。

 

 

 イエルク・デムスは親日家で毎年のように来日していましたからこういう録音を残してくれたんでしょうなぁ。

 

 さて、このレコード指揮者にフォルカー・レニッケの名前がクレジットされています。全く知らない名前でしたが日本に骨を埋めた指揮者で教育者でもあったようです。プロフィールを調べると、九響の指揮者として来日、その後、東京で国立音大教授、そしてまた福岡に戻って糸島を永住の地として居を定めて活躍していたようです。いかがネットに記載されていたものです。

 

 {{{ドイツ、ブレーメンに生まれる。1950年デットモルト音楽大学指揮科に入学。1954年シエナ国際指揮者 コンクール入賞。デットモルト劇場、ライト劇場、ミュンスター市立劇場の指揮者チューリッヒ国際オペラスタジオ 音楽監督を務め、1971年、バーゼル市立歌劇場第一指揮者に就任。同時にチューリッヒ音楽大学指揮科および オーケストラの指導にあたる。1976年9月、九州交響楽団常任指揮者として来日。同団の定期公演をはじめ、 国内の多くの交響楽団の指揮を行い、活動した。1981年より、1995年3月まで国立音楽大学教授として、 オーケストラ、大学院オペラ科を指導。1981年より2001年3月まで、くらしき作陽大学音楽科客員教授として、 オペラマイスタークラス、およびオペラクラスの指導にあたる。この間モーツァルトオペラの公演が数多く、 津山国際音楽祭にて、「魔笛」「皇帝ティトの慈悲」「フィガロの結婚」等、また1991年モーツァルト没後 200年記念公演にて「イドメネオ」上演。また、海外でもザルツブルグにてモーツァルトの「レクイエム」、 ケルン劇場にて「魔笛」、ヴェルディ「椿姫」、ドレスデン音楽祭にてチマローザ作「秘密の結婚」等。 1997年には、ロンドンにてイギリス室内管弦楽団とレコーディング。1998年度福岡市文化賞受賞。}}}


 ネットを検索したら下のような音源が見つかりました。愛知室内オーケストラを振ったものです。

 

 

 このレコード、中古では時々フリマには出品されているようです。