オーマンディのサンサーンス | geezenstacの森

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オーマンディのサンサーンス

 

曲目/サンサーンス

1.「サムソンとデリラ」より「バッカナール」* 7:13
2.白鳥** 2:52
3.交響曲第3番ハ短調Op.89「オルガン」*** 33:35
4.交響詩「死の舞踏」Op.40**** 7:07
5.フランス軍隊行進曲/「アルジェリア組曲」Op.60***** 4:41

指揮/ユージン・オーマンディ

演奏/フィラデルフィア管弦楽団
オルガン:パワー・ビッグス

 

録音:1964/03/23* タウン・ホール

  1968/05/06**
  1962/10/07*** アカデミー・オブ・ミユージック

  1959/04/12**** 

  1966/12/28***** ブロード・ウッド・ホテル

 

P:Thomas Frost,John McClure***

E:Paul Mayers

 

米CBS/ODEYSSEY MBK38920

 

 

 CBSがソニーに吸収される前の1989年に発売されたオデッセイシリーズのマスターワークシリーズの一枚です。似たような内容で国内盤も発売されています。日本盤は「エッセンシャル・クラシック」シリーズで発売されているのですが、一部曲目が違い(SRCR8883/92年発売,SRCR1627/96年発売)2曲目の「白鳥」だけは収録されていませんでした。録音年代からすると寄せ集め的な印象はぬぐい去れないのですがこれは交響曲第3番を挟んでサンサーンスの名曲がフィラデルフィア・サウンドで奏でられる実に楽しいアルバムでとなっています。


 1曲目の「バッカナール」はオープニングにふさわしいゴージャスなサウンドで魅了されます。ややハイ上がりな録音であるのですが聴かせどころを押さえた演奏で、オーマンディは実に楽しく振っていて、オケの巧さを実感する演奏となっています。白鳥は「動物の謝肉祭」からのピックアップのようですが、演奏者のクレジットが無いので詳しいことは分かりません。オケのメンバーによる演奏なのでしょうがこういうデータはきちんと載せてもらいたいものです。1964年以降は Mayes, Samuelが主席だったから彼かもしれません。良く歌うチェロだけに気になるところです。


 さて、メインの交響曲第3番「オルガン」はオーマンディの18番で4回も録音していますが、これは2回めのステレオでは初めての録音となるものです。でも、小生は後のRCAやテラークへの録音より、このCBSの録音が一番気に入っています。いかにも、フランス的な洒落た弦の響き、金管の厚みのあるサウンドからして魅了されるのですが、オーケストラとオルガンの響きのバランスも絶妙でプロデューサー「ジョン・マックルーア」の腕が冴え渡っています。ただし、CDの音はレコードの音を凌駕していないのが惜しまれます。この演奏は何度も再発売されているのですが、ダブルパックシリーズとして発売された下の写真の2枚組のレコードが最高の仕上がりとなっていました。このレコードについては別のところで書いていますが、引用すると、


"当時の小生のオーディオ装置はアンプはビクターのJA-S5、スピーカーはダイヤトーンの名器DS251Mk2、ブレーヤーはパイオニアのPL101、カートリッジがオルトフォンというごくごく平凡なものであった。ただ、後にある雑誌にこのレコードをオーディオのテスト用のレコードとして使っているという某評論家の話が載っており、その記事の中にこのレコードのカッティングの溝を写した写真があった。それは通常よりも溝と溝の幅を広く採ったもので凄く溝がうねっていた。このレコード当時流行のノイマン製のSX-68というカッティングマシンで原盤が作られていたが、なんと低域が40Hzまで記録されていたということであった。しかし、一般のプレーヤーでは再生が難しかったらしく、これ以後の再発に当たってはこの重低域はカットされてしまったということである。このジャケットを見つけたら即ゲットしてほしい。華麗なフィラデルフィア・サウンドにパワー・ビックスの度迫力のオルガンが部屋中に響きわたる。ー中略ーカップリングの幻想も凄い音でおどろおどろしいベルリオーズのサウンドが楽しめる。特にコントラバスがぎゅんぎゅん唸る所なんざ快感としか言いようがありませんな。なを、小生はCDも所有しているが低域の伸びはやはりCDの比ではありません。"

 

 こういう原体験をしているのでオーマンディ/フィラデルフィアのサンサーンスの「オルガン」の演奏はのちのRCA盤や、ファイハイ録音を標榜したTERACの録音には全く魅力を感じませんでした。

 

 

 交響詩「死の舞踏」はこの中で一番録音が古いのですが、ソロ・ヴァイオリンも良く鳴っているし、他のソロも巧いです。多分・ヴァイオリンはコンマスのブラシロウでしょう。リズムの切れが良い演奏ででありパワーのあるワルツに仕上がっています。ちょっと編集に雑なところがありそこら辺の荒がCDでは耳についてしまうのが残念です。弦の合奏の巧さはひときわ目立つフィラデルフィア・サウンドです。

 

 

 最後の「アルジェリア組曲」作品60よりの「フランス軍隊行進曲」は比較的珍しい曲ですが、イントロの弦の合奏のサウンドの厚みと響きからして引き込まれてしまう。とてもリズミカルな楽しい曲で個人的にはもっとオーケストラピースとして取り上げられても良いのではと思います。こういう小品も取り上げるオーマンディのショーマンシップはストコフスキーから綿々と受け継がれたフィラデルフィアの伝統なのでしょうかねぇ。