名古屋フィルハーモニー交響楽団 第90回市民会館名曲シリーズ | geezenstacの森

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名古屋フィルハーモニー交響楽団

第90回市民会館名曲シリーズ

 

 2023年の名曲シリーズの最終日プログラムでした。このシーズンはシーズンセット権を買っていて救われました。シーズン権は通常のチケットとは違いサイズが少し小さいのですが、これが仇となって残り2回分を紛失してしまっていたのです。ですが、当日販売の窓口でチケットの紛失を告げるとセットで販売した分は確認できるリストがあり、名前を告げるとそのリストを調べてくれて、その場で再発行してくれるのです。このチケットは通常のチケットと同じサイズですから無くすことはありません。

 

 
 さて、前回に引き続き今回も開演前に1Fホワイエでロビーコンサートがありました。一階は立ち見になるので2Fに上がり正面から鑑賞することができました。今回はメイフィルのヴィオラセクション全員によるコンサートで、近々開催される「VIOLASSIMO」のコンサートの告知も兼ねていました。
 

 

 
 今回はレスピーギのブログラムということもあり「リュートのための古風な舞曲とアリア第1組曲から第1、第4楽章」とヴェルディの歌劇「椿姫」から第1幕前奏曲」が演奏されました。実際には部局とアリアは第1曲がまず演奏され、その間に椿姫を挟んで最後は第4曲という構成で演奏されました。

 

2階のホワイエから鑑賞です

 

 さて、コンサートはオールレスピーギプログラムということで、舞台上には所狭しと楽器が並んでいます。右端に電子オルガン、左サイドにはハープ2台、チェレスタにピアノ、シロフォン、グロッケンシュピールなどが並んでいます。

 

 

 下は翌日開催される東京のオペラシティ・コンサートホールでの並びですが、こんな構成になっていました。注目は今回はダブルコンサートマスター性をとっていることで第1プルトには森岡聡氏と日比浩一氏が並んでいます。そうなんです。日比氏は今回が退任前の最後のコンサートということです。

 

 

 レスピーギの三部作は、今回の演奏ではその作曲順に演奏されました。つまり、「ローマの噴水」、そして次に「ローマの松」休憩後が「ローマの祭り」と言う順番でした。まぁ普通に考えたら1番演奏効果が上がる「ローマの祭り」が最後になるのでしょうが、指揮者の川瀬賢太郎氏は作曲順を選びました。

 

 CDなんかでは最近は3曲が1枚に収録されているのですが、この曲順を選択しているものは少ないようです。「ローマの松」を冒頭に持ってきたり、反対に最後に持ってきたりしていて、なかなか真ん中に収録されていることは少ないようです。調べた中ではアンセルメのものがこの作曲順で収録されていました。ただ、作曲順というのが1番順当な演奏ということが言えるのでしょう。一年前、この三部作は松尾葉子/セントラル愛知交響楽団で演奏されていますが、この時も作曲順に演奏されています。

 

 さて、「ローマの噴水」は、個人的にはオーマディ/フィラデルフィア管弦楽団の演奏で親しんでいて、噴水の雰囲気が幻想的でありながらゴージャスと言う雰囲気を持って聴いていたと言う印象があります。この日の演奏でも静かな夜明けの雰囲気から始まり、噴水の時間とともに変化する色合いはうまく表現できていたのではないかと思われます。ただ3曲の中では、最終曲も穏やかな旋律の中で終わってしまうため、今回も演奏を心地よく聞きながらいつの間にか眠り込んでいました。😅

 

 「ローマの松」は、バンダが活躍する曲で、ここでもステージの両脇の花道に右側にトランペット2本とトロンボーン2本左側にトランペット2本と言う編成でのパンダが設置されました。冒頭から賑やかな色彩のある音色で始まります。この曲の魅力の1つは、ダイナミックレンジが広いことでしょう。そういう盛り上がりにたけた演奏でした。この冒頭を聴くとどうしても昔の荻昌弘氏が担当していた「オンキョーダイナミック・サウンド」という番組を思い出してしまいます。そのテーマとして使われていたからです。ただ2曲目の「カタコンプの松」ではちょっとあっさりとした表現で流れてしまっていたのが残念でした。もう少し深遠な響きが欲しいなぁと思ったところです。また最後の「アッピア街道の松」に至っては徐々に盛り上がっていくのですが、市民会館のホールは広いので、もう少し1段上げた音量が欲しかったなぁと言う気がします。ただ、パンダの左右掛け合いによる金管の響きは面白い効果を生んでいました。通常はどこか1カ所で演奏されることが多いのですが、ステレオで演奏されるとまた違った効果があるような気がしました。

 

 休憩後は「ローマの祭り」でしたが、聴き方によってはこの最後の作品は古典派趣味からはちょっと離れた現代的なアレンジが特徴になっています。そんなことで華やかな金管、それを支える弦楽器分の対比が実際のステージで聴くと、面白い効果があるなぁと言う印象がありました。ここに通奏低音的なオルガンとピアノの連弾による左からの音色、そしてワイドに広がる打楽器郡の様々な音色が広いホールをいっぱいに埋め尽くす様は見事としか言いようがありません。多分曲調から1番コンサートで取り上げられることが少ないのがこの祭りなんでしょうが初めて聞いた印象は、和音の掛け合いが見事で、指揮者の力量が問われる作品ではないでしょうか。この曲も冒頭でバンダが登場し、花道の左右に分かれてトランペットが2本づつ掛け合いで演奏しました。川瀬氏は巧みなバトンテクニックで全休止の時は手を全く動かさずに、体の横につけると言うポージングで、曲のメリハリをつけていました。こういう指揮は初めて見ましたので、ちょっとカルチャーショックでした。最近はマナーがいいのか、曲が終わってもすぐにフライング気味に拍手するということがなくて、きっちり最後まで曲の余韻に浸ることができたのが何よりの印象でした。そして、コンサート終了後のカーテンコール後、川瀬氏がマイクを持って登場し、今回の演奏会で2001年からコンサートマスターを務めてきた日々浩一氏が引退することを告げました。この日比氏については個人的にもいろいろ思い出がありますが、氏は名フィルと離れての活動も盛んに行われていました。そんな中で名古屋芸術大学で行われたヴイヴァルディの四季の演奏でも,指揮をしながら、演奏者をまとめていた姿が、なぜか1番印象に残っています。その日比氏を讃えて、普段アンコールは無いのですが、この日は特別マスカーニの歌劇「カヴァレリアルスティカーナ」から間奏曲が演奏されました。この演奏ではサブに回っていた日々浩一氏がコンサートマスター席で演奏をされたのが印象的でした。花束を送られ、その目頭には何かキラキラ光るものが見えていました。愛されていたコンサートマスターなんでしょうなぁ。

 

 

 

 

 次の日は東京公演がありましたがなぜか心がほっこりする演奏会でもありました。

 

 

 これで今年度の名曲コンサートは終了しましたが、個人的には来年もシーズン席を購入して、この名曲コンサートに出かけるつもりでいます。