レコード芸術1974年1月号 5 | geezenstacの森

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レコード芸術

1974年1月号

5

 

 マウリツァオ・ポリーニの来日は当時話題になっていました。ただ、一般の人には浸透していなかった様で、チケットはそれほど高くないし、争奪戦にはなっていなかった様です。レコードで知るだけの当時は、新譜が出るたびに話題にはなっていました。

 

 

  下の写真が誰か分かるでしょうか?当時は新人指揮者の中では話題をさらっていたズービン・メータです。この頃はコンサート指揮者というイメージが強かったのですが、ここではオペラを録音しています。

今ではこの方面でも数々の録音をリリースしていますから何も珍しくはありませんが、当時は意外に思ったものです。ここではプッチーニの「トスカ」を録音した時のスナップが上がっていました。しかし、髭を生やしているだけで全くイメージが変わっています。そして、メータというとデッカ・ロンドンというイメージですが、ここではRCAに録音しています。

 

 

 グラビアには混ざってトリオレコードの広告があります。トップは宮沢明子のアルバムが取り上げられています。このうち、一番左の「シューマン/子供の情景」に含まれるショパンの音源は以前に小学館版世界の名曲」というシリーズで使用されていたもので、手元にその時発売されたそのシートがあるのですが、プロデューサーは若林俊介、エンジニアが菅野沖彦、録音はイイノホールと表記されています。で、件のそのシートにはスタインウェイで録音されていると記載があるのですが、ここではベーゼンドルファーの表記されています。広告では4録音場所の表示がないので何とも言えませんが曲目から類推するに同一録音だと思われます。

 

 

 渋い録音ですが、アリオンレーベルもトリオが扱っていたことがわかります。

 

 

 シャルランも含めて3ページの広告はトリオとしては大盤振る舞いです。

 

 

 ピリスのモーツァルトの第1弾が早々と登場しました。こうしてみるとエラートがすでにグシュルバウアーと組んで協奏曲を録音していますから、そのルートでピリスを発掘したのかもしれませんなぁ。それにしてもこのモーツァルトのソナタ全集でピリスは大きく飛躍します。

 

 

 それにしてもこの時代エラートを支えていたグシュルバウアーですが、その後さっぱり名前を聞かなくなります。いったい何があったのでしょうなぁ。

 

 

 

 この年9月でエラートとの契約が切れることもあり、廉価盤政策もスプラフォンをメインに据えざるを得なくなります。ここでは1200円盤で訴求されていますが、以前はHRの番号でヒストリカル1000シリーズに投入されていたものを値上げして再投入しています。

 

 

 市はたが今月号の推薦盤の新譜です。クーベリックのドヴォルザークの交響曲全集が推薦になっていますが、ノイマンがアカデミーを受賞していることでちょっと分が悪いですなぁ。この時代にブーレーズのワーグナーが推薦盤になっています。ニューヨークフィルの常任に収まるブーレーズですが、ここでのワーグナー解釈がのちの80年代のバイロイトでのリングにつながったのでしょうかねぇ。オーマンディは地味ですがチャイコフスキーで着実に推薦盤を出しています。独ハルモニアムンディはコレギウム・アウレウムで協奏曲分野では推薦盤を勝ち取りますが、管弦楽曲では宇野氏の前で玉砕しています。アシュケナージのベートーヴェンピアノ協奏曲全集の推薦は年末商戦にプラスに作用したでしょうなぁ。ここでのベルリン弦楽四重奏団はコロムビアから発売されていて推薦になっていますし、クライバーの「魔弾の射手」派手な打ち出しはしていませんがしっかり推薦されています。

 

 

 こんなページがありました。当時は見逃していた記事です。各社直輸入盤も定期的に発売しているのですが、キングからこの「エクリプス」シリーズが発売されていたとは知りませんでした。個人輸入していた時にチェックしたレーベルで、ステレオ版はSPAシリーズ、モノラルはこのエクリプスシリーズでイギリスデッカは旧譜をリリースしていました。ただ、ここでも触れられていますが厳密な区分けは行われていないようで、どちらのシリーズもモノ、ステレオが混在していました。見分けはジャケットの裏に丸い穴が開いていて、インナースリーブが青の時はステレオ、エンジがモノラルと区別されていました。珍しい区分でした。ここで紹介されているのはほとんどモノラルですが、名盤がそろっています。

 

 

 下は個人輸入した一枚でエクリプスシリーズですがステレオです。カンポーリの録音を集めたものでガンバがLPOを振っているものです。当時はこんな録音、国内盤では見たことがありませんでした。

 

 

まだまだ続きます。