レコード芸術1974年1月号 6 | geezenstacの森

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レコード芸術

1974年1月号

6

 

 

 今回はソニーの広告からです。今月のメインはホロヴイッツです。このアルバムはベートーヴェンよりもシューベルトを聴くべきアルバムでしょうなぁ。彼独自の指を伸ばした奏法でこぼれ落ちるような優しいタッチで音を紡いでいます。なぜかCD化された時もベートーヴェンのアルバムにこの4つの即興曲は収録されているという名演です。

 

 

 ブーレーズの録音計画はどのような計画になっていたのかは知りませんが、たまに名曲路線の録音を織り交ぜますが、どちらかというと近現代音楽に主軸のあるレパートリーでした。その中ではここで発表されたワーグナーのアルバムは斬新なワーグナーを聴き手に突きつけてきました。まさにバイロイト登場の布石となった一枚でしょう。

 

 

 グールドがモーツァルトのK.331を出してきました。このトルコ行進曲もある意味衝撃的でした。この月はピリストグールドが告知されていますが、当時の小生なら確実にピリスをとっていたでしょうなぁ。何しろこのテンポでは行進できませんし、隊列はぐちゃぐちゃになってしまうでしょう。個人的にはグールドの演奏だからということでようにんされているてんぽだといつてもいいかもしれません。

 

 

グールドならツァハリアスぐらいのことをやっても受け入れられたような気がします。

 

 ブーレーズもそうですが、バーンスタインも古巣のCBSへは盛んに4チャンネル録音をこの時期していました。

 

 

 

 

 四季ブームの時は色々なアーティストがさまざまなアレンジで出していました。CBSにこんな録音があったとは全く知りませんでした。EMIやフィリップスはかなり販促をかけていましたから知っていましたがこの演奏はこの広告を見てネット検索をして知りました。ジャズというよりはフュージョン系のサウンドですな。原盤はGRTカナダで、本来ならABCダンヒルの系列ですから東芝から出ても良さそうなものですが、ソニーは日本での販売権を買ったのでしょうかねぇ。ほぼ幻のアルバムです。

 

 

 

 

 今回はちょっとオーディオ関係の広告も取り上げてみます。グレースというブランドは品川無線という会社のもので、もっぱらトーンアームやカートリッジを作っていました。多分オーディオ・テクニカのOEMであろうと思いますが、1970年台のオーディオブームに乗ってオーディオメーカーにはこういう中小メーカーが無数にありました。この広告は自社の製品を家系図のように散りばめて周回しているのが粋なので取り上げました。

 

 「ヤマギワ電気」は照明関係が強い小売店でしたが名古屋では駅前立地に店舗を持っていてオーディオ製品やレコードを販売していました。クラシックにも力が入っていて品揃えが良かったのでよく利用しました。こういうメーカーの製品も扱っていたんですなぁ。

 

 

 こちらはパイオニアの広告です。当時パイオニアは総合オーディオメーカーでしたがプレーヤーは一頭抜きん出ていました。ダイレクトドライブプレーヤーで先鞭を切って、下のPL-1200は大ヒットしていました。今回レコードコンサートで使ったのもこの機種です。その上位機種のPL-1400がこの時発売になっています。装着のカートリッジは4チャンネル再生に対応した楕円針が採用されています。

 

 

 ダイヤトーンは三菱電機のブランドですが、スピーカーは定評がありました。一番最初にコンポーネントを組み上げた時のスピーカーがこのダイヤトーンのDS251MK IIでした。これもベストセラー商品で、スーパーツィーターを搭載したオールマイティに再生できた機種で、「大地震」という映画のサントラには冒頭に地震の揺れを再現する重低音が収録されていたのですが、これを我が家で再生した時に家人が地震が来たと大騒ぎをしたほど十分な低域を再生することができました。

 

 

 さて、今回取り上げる記事の中で興味深かったのは「理想のレコードを追って」というシリーズで、日立の「Lo-D」ブランドのPRのためのレコードをいろいろな製造過程でのマスターを作って音の違いを追求するというスタイルでテクニカルレコードを作るというわけです。製作工程はズがありますからそれを見て貰うと分かりますが、ラッカー版の制作はベテラン職人の存在したアメリカのカリフォルニア州にあるApollo/Transcoという会社で行っています。当時はアメリカの方が優秀だったんですなぁ。でも、今は違います。2020年2月、世界で2つしかないラッカー盤の製造工場のひとつが山火事により火災、全焼したというニュースが流れたからです。現状では長野にある「パブリックレコード」が世界で唯一ラッカー盤を製造できるところなんだそうです。そういう情報を知ると、この時代との変遷が思い知らされます。まさに真似からスタートして技術大国になっているんですなぁ。まずはレコードの制作秘話をとくとお読みください。

 

 

 テイチクはパイレーベルは単発での発売にとどまっていましたが、独ハルモニア・ムンディは毎月新譜を送り出していました。小生としても魅力的なレーベルでヘンデルのオルガン協奏曲全集は今でも手元にあります、ブランデンブルクも再び手に入れています。最近のピリオド楽器の演奏は優雅さよりも先鋭さが目立って聴いていて疲れてしまうことがありますが、このコレギウム・アウレウムの演奏は癒しを感じることができます。