レコード・コンサート in 愛知県図書館 | geezenstacの森

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レコード・コンサート

 in 愛知県図書館

 

 いろいろ準備したのですが、結局は最後までバタバタのレコード・コンサートになってしまいました。会場のAVホールは文字通り映画を上映するためのホールでCDによるコンサートやレコード・コンサート用には設計されていませんでした。そのため、そもそもレコードプレーヤーやアンプなどの設備もAV用であり、レーザーディスク、ビデオなどは動かせたのですが純粋に音響用ではなかったのです。1990年ごろの設計ではそれが標準でした。それで、レコード・コンサートを提案してもそれらは自前で用意する必要がありました。ということで、今回はすべてこれらの機器を持ち込んでの開催となりました。

 

 そのため、今回は2週間前に機器を持ち込んで設置し、現場で調整する必要がありました。

 

 

 これが当初の配置でした。スピーカーはダイヤトーンのDS77/Mk IIです。最初は床に板を引いてその上に置いたのですが部屋がかなりデッドなのであまり低音が出ませんでした。

 

最初のセッティング

 

 アンプは伝音のPM1500Rという1990年台の機種で、プレーヤーはパイオニアのPL1200という30年以上前のものですが、機能的にはダイレクトドライブで当時かなり売れていました。まあ、年代ものですな。ただ、レコードとの相性はいいので現在でも使っています。

 

 

 そして、こちらがスタッフの意見を取り入れてスピーカーを上に上げスクリーンスペースの棚の部分に上げました。音場的には上から音が降り注ぐ感覚で両脇の壁に接したことで音に広がりが出ました。

 

 

 こちらが当日再セッティングした最終配置です。画面ではちょっと見にくいのですが、スピーカーの下にスペーサーを敷いて設置面ときりはなしました。こうすることで低音に伸びが出て本番に臨むことができました。もう一つ、音の入り口となるカートリッジですが、今回はオーディオテクニカ、シュアー、マイクロなども用意しましたが、最終的にはアメリカ製の「エンパイヤ」を採用しました。本来はポップス系のレコードをかけるのに使っているカートリッジですが、今回音出しをしたところ吸音材の貼ってあるスタジオのようなAVホールに一番しっくりとくるサウンドを響かせてくれたので最終的にこれに決めました。

 

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 コンサートで解説をお願いしている高山さんら、前日突然蓄音機もかけてくださいねというメールが届き、急遽レクチャーを受けているところです。

 

 

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 午前中から会場作りをしてお迎えの準備が間に合いました。

 

 

 座席は60席を用意しましたが、コンサート開始までに45名の方が入場いただきスタッフを含めると当初計画の50名でスタートすることができました。アンケートを集計したところ最終的には47名まで増えました。

 

 

 さて、本番のコンサートが始まりました。高山氏の解説は毎月の豊明でのコンサートで手慣れたものでレコードの歴史がその演奏の背景まで面白く興味深く解説してコンサートが進んでいきます。コンサートのプログラムは昨日の記事でアップしていますからここでは、手元に用意した解説用の原稿を載せます。

 

 

 コンサートでは別刷りのレコードの歴史というパンフレットも配ってありましたがそれを解説に盛り込んだものです。前半はこのプログラム通りなんとか進みましたが、モノラルLP最後のメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲だけは時間的に冒頭の5分間分だけしか掛けられなかったのが残念でした。世界で最初にLPレコードとして発売されたアルバムで、ヴァイオリンを弾いているのはナタン・ミルシテインはウクライナの出身という意味でも興味深いものでした。
 
 ただ、第2部は折角リクエストを募集したので、特徴のあるアルバムに絞ってかけようということで10番目まではプログラム通りにかけましたがあとはリクエスト中心に急遽変更しました。
 
11.サン・サーンス 白鳥 藤原真理
12.ワーグナー ワルキューレの騎行 レオポルド・ストコフスキー/ロンドン交響楽団
13.チャイコフスキー 花のワルツ 小澤征爾/パリ管弦楽団
14.ヴィヴァルディ 四季から冬の第2楽章 クルト・レーデル/ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団
15.パッヒェルベル カノン クルト・レーデル/ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団
16.モーツァルト ホルン協奏曲第1番 第1楽章 ジョルジュ・バルボトゥー/ローラン・ドゥアット/パリ・コレギウム・ムジクム
17.ブラームス ハンガリー舞曲第5番 ヤーノシュ・ローラ/フランツ・リスト室内管弦楽団
 
というふうに変更になりました。まあ、途中でSPの針を逆さまにセットしてしまうとか、45回転と33回転と間違えて掛けてしまうとかハプニングもいっぱいありましたが、来場者には満足していただける内容になったと自負しております。多分次回は9月ごろの開催になると思います。
 
 開演までに多少時間があったので、後半のリクエストの中では時間的に難しいと思われた、バッハの「G線上のアリア」とヘンデルの「ラルゴ」をBGM代わりに流しました。特に断りはしませんでしたが、こういうオーケストラピースが得意だったユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団の演奏でした。
 
 さて、最後に途中で終了したメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を貼り付けておきます。いい演奏でした。この時期はモノラルもある意味完成された録音技術の上に成り立っていたことがわかります。それにしても、レコードで聴く演奏は何とも言えない温かみがあっていいですねぇ。装置も自分の家で聴くよりもいい音だったので思わず聞きほれてしまいました。(^_^;)