レコード芸術1974年1月号 3 | geezenstacの森

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レコード芸術

1974年1月号

3

 

 レコード芸術1974年1月号の裏表紙です。購入記録では1973年の12月にこのセットを購入しています。キングレコードは戦略的な価格設定で4枚組で6,000円で発売しました。つまり一枚あたり1,500円です。で、当時は、レコードは定価販売です。いや今でもそうですが、それを2割引で販売する店を見つけてそこで購入しています。それも、栄のど真ん中にありました。今で言う「ラシック」の立っている場所で、当時はそこに名前だけは立派な「栄町デパート」というバラック小屋に毛の生えた商店街があり、その中に「O.Kレコード」という店がありました。店と言っても僅か1坪ほどの店舗で、商品は多少は並んでいますが、ほとんどが注文で成り立っている店でした。おばちゃんが一人でやっていて、こちらは行くたびに注文を入れておいて1週間後ぐらいに取りに行くという感じでした。ですから在庫の回転は速く、2割引でもやっていけたのです。そういうことでこのセットは4,800円で購入したことになっています。ただ、前にも書いたと思いますが、時代的にはオイルショックが始まっていましたし、例の信越科学の工場の爆発で原料の塩化ビニールが不足してきていましたので廃盤になったレコードを潰して再利用していましたから盤質はあまり良くなかったのを覚えています。

 

 

 下はそのキングの中刷りの広告です。

 

 

 この年キングはカラヤンの1000円盤を待機して発売しています。限定盤とはいえシリーズ全体で30万枚売ったとかで話題になりました。そして、カラヤンの新譜はちゃんとトップで告知しています。それにしてもオペラとはいえデッカにベルリンフィルと録音したものがあったとは知りませんでした。

 

 

 基本的にデッカはショルティとアシュケナージ推しでしたから見開きでその新譜を訴求しています。アシュケナージはコトラでは「皇帝」の単発を訴求し、全集もありますよというスタンスです。ショルティは重厚長大な演奏で第九を訴求です。LP一枚には収まらないながら2枚組にして2,500円は戦略的価格です。

 

 

 ソニーは何でもかんでもベスト物につぎ込んで150枚のシリーズで打ち出していますが、キングは50枚に抑えています。内容的には名盤揃いですが、純新譜を2,000円に下げて投入することはしていません。

 

 

 売れ筋はちゃんと2,300円のSLAシリーズで稼いでいます。また、マゼールはクリーヴランドのシェフに治りますが、晩年までフィルハーモニアとの親密な関係を築いています。

 

 

 さて、この号の読み物記事で注目は富永壮彦氏の下の記事です。その総括の面白いこと。この記事は2月号のレコード業界の内情暴露に続くのですが、ここではそれ以前にこの73年を取り巻く書状性の分析を鋭く行なっています。カラヤンが来日のたびに4チャンネルを吹聴したのに世間は盛り上がらなかった皮肉はなかなかですし、1000円盤をめぐるメーカーと販売店の思惑のずれなんかもきっちりこうさつしています。「本屋はビアホールで、レコード屋はバーですよ」という表現は的を得ています。当時は出版社のレコード・ブームは第2ラウンドを迎えていて、

・筑摩書房----「ルネッサンス・バロックの音楽」 LP2枚組全12巻

・講談社------「世界音楽大全集/グラモフォンの名曲」 LP2枚組全20巻

・中央公論社--「世界の名曲」 LP2枚組全24巻

・平凡社------「ファブリ古典名曲集」 25㎝LP1枚全60巻

 

小生はこの中で講談社版をいくつか単発で購入しています。この講談社版は大きな写真パネルの中にレコードがおさまっているというレコード会社ではとてもできない豪華な装丁になっていました。今でもこの第1巻のカラヤンのパネルは部屋に飾っています。😅書店軽油のこれらの全集、販売数量の桁が違います。筑摩書房のマイナーなものでも5,6千部売るというのですから書店ルートの強さがわかります。詳しい内容は記事をとくとご覧あれ。面白いネタ話がゴロゴロしています。