カクタスフィルハーモニー第1回定期演奏会 | geezenstacの森

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カクタスフィルハーモニー管弦楽団

第1回定期演奏会

 

 

 我が家からほど近い会場なのでまったりと出かけてきました。西文化小劇場はホールが地下3階にあります。言わば旗揚げ公演なので会場はオープンと共に人が押し寄せ会場はほぼ満席になりました。実はこのコンサート、情報だけはネットで調べて得ていたのですが、オンラインでチケットを配布しているとは知りませんでした。まあ、当日は小生みたいなチケット無しの人間がウヨウヨいまして、入場時には行列ができました。

 

リハーサルの様子

 

 メンバーは中部大学のOBOGで構成されたオーケストラということで大学所座地の春日井のシンボルとなっている「サボテン」から「カクタス」とねー皆愚されています。指揮者の平光真彌氏は2021年まで愛知室内管弦団でコンサートマスターをしていた人物で、中部フィルの常任客演コンサートマスターでもあります。ヴァイオリン出身ということでオーケストラをまとめるには最適なキャリアでしょう。

 

 多目的ホールということもありますが、346席の小ホールで、写真のように舞台両側はカーテンで覆われています。1曲目はシベリウスの「フィンランディア」でしたが、この日は雨模様で湿度が高く、満員の聴衆が入ったということで残響はほぼゼロ、極めてデッドな響きで音がまともに耳に飛び込んできます。言ってみればトスカニーニ、NBC交響楽団の8Hスタジオの響きといえます。まあ、指揮者もびっくりしたと思いますが、オーケストラ演奏でこういうデッドな響きは初体験でした。演奏はそこそこ纏まっていましたが音と音の隙間がスカスカでオーケストラから豊穣な響きが客席に届かないという状況になっていてちょっと残念でした。

 

 それは第2曲の「モルダウ」にも言えることでリハーサルでは冒頭のフルートの響きも弱音で響かせて曲を盛り上げることもできていたのでしょうが、本番ではかなり大きな音量で始めないと音が繋がらない状態でした。つまりは全体はダイナミックレンジが低い団子状態な音楽になてしまっていたのが残念でした。小生の効いた場所は最後尾から3列目の中央付近で録画機材のちょい前ぐらいでしたから。多分シュロ腐れた音とそんなに違わないでしょう。

 

 それと気になったのが指揮者の指揮棒の使い方で、指揮棒を先を上にして握るのではなく、逆の先を下にして握っているのでほぼ指揮棒の役割をしていません。バーンスタインはたまにこういうスタイルで四季をすることがありましたが一曲丸々ということはありませんでした。これなら指揮棒なしで10本の指で指揮した方が遥かに多くの指示をオーケストラのメンバーに出せたのではと思ってしまいます。案の定左手の方が表情豊かに表現できていました。

 

 さて、後半はドヴォルザークの「新世界」です。アマチュアオケではあるあるですが、最初のチューニングでの音合わせがおざなりになってはいないかということです。オケは曲ごとにこの儀式をやっているのですが、本当に形式だけでこの日も時間と共に気温も湿度も上昇していたことで、第1楽章の出だしのチェロもピッチが合わなくなっていました。プロならそこら辺はキッチり合わせてくるところでしょうがアマチュアとの差はこういうところに出ます。


 こういう状態で演奏が始まりました。「新世界」はケルテスで聴き慣れていますからそれと比較しながら演奏を楽しむ訳ですが、音の空白を埋めるために休止が短くなります。呈示部の繰り返しなど、間髪を入れずに入り音楽に余裕が無くなっていました。


 また、通常ならハーモニーが溶け合うところが各楽器の音がバラバラに聴こえるという体験を初めてしました。もう少し残響の豊かなホールで演奏が聴きたかったものです。