レコード芸術
1974年6月号
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この号の世界の指揮者はカラヤンです。カラヤンが22番目で取り上げられるというのも不思議な気がしますが、このシリーズあまり中身がありません。直近の録音を取り上げて、それについて取り上げることが主眼の様で、カラヤンそのものの人となりについてはあまり深追いしていません。
カラヤンがフルトヴェングラーと対極にあったことは確かですが、それはフルトヴェングラーとトスカニーニ的な演奏上のコントラストにあったことは一言も触れられてはいないからも解ります。
この号の広告を取り上げていきます。最初はビクター、新世界です。全く、この新世界というレーベルは、ソビエトの崩壊と共にメロディアが解体され体系的にCDが発売されなくなってしまいました。積極的に西側で活躍した演奏家以外は忘れ去られた人が多い様に思います。ジューコフ然り、モギレフスキー然りでは無いでしょうか。ロジェストヴェンスキーも大手からは見放され、Collinsからしか纏まった録音がなかった様な気がします。そのCollinsも後期の3曲しか録音されていませんから残念です。
キングの広告です。こちらは出稿の締切が早いのかジャケット写真も掲載されていません。この頃のキングは盛んに2トラ38のテープを発売していました。レコードでは交響詩「野ばと」は収録されていませんからお買い得なのでしょう。最近中古ショップで大量に販売されていました。1巻1000でしたが、安いのでしょうかね?
マゼールがクリーヴランド管弦楽団とこの年来日していました。
メータのオペラというとピンと来るものがありません。ただ、この「トゥーランドット」だけは妙に記憶があります。写真の様に髭面のメータがインパクトがあったからでしょうか?
この頃、ソニーは「ベストクラシック150」で息巻いていましたが、ロンドンにしろ次のコロンビアにしろ質素に50選と控えめです。裏を返せばレギュラー盤が売れていたからわざわざ安くして売らなくても良かったのでしょうな。反対にソニーのクラシックはこういうシリーズに持ち込まなければ売れないという事情があったのかもしれません。
フランスのハルモニアムンディはキングから発売されていました。でも、シャピュイのバッハのオルガン曲集のセットは知りませんでした。ただ今月発売されたマリークレールアランと比べると知名度ではおちますなぁ。
この月の推薦盤です。グラモフォンはこの時点でも新譜は輸入盤対応だったんですなぁ。
コロンビアはすっかりスプラフォン頼みの訴求です。エラートはこの9月で契約が切れますから、在庫処分に入っています。
グラモフォンの新譜は限られています。後は在庫でやりくりしていました。エッシェンバッハはピアニストとしてしか契約していないのでDGではピアニスト扱いです。