音楽を楽しむ会 | geezenstacの森

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レコードが第ベストセラーになっています。

音楽を楽しむ会

アナログレコードの魅力

 

 豊明市の共生交流プラザ「カラット」での開催は最後で、また内容が今回愛知県図書館で24日に開催する「レコードコンサート」と趣旨的には似ているので参考にと出かけました。

 

 

 今回は2月6日に小澤征爾氏がなくなったのでその弔いを金で最初に氏がパリ管と録音したチャイコフスキーの「くるみ割り人形」組曲から冒頭の小序曲がかかりました。つまり、使われたのはグラモフォンに入れた全曲盤ではなく、フィリップスに録音した組曲版の演奏です。この演奏、無茶苦茶テンポが遅く、グラモフォンへの録音と全く違います。この果敢にチャレンジした演奏は非常にユニークですが、のちのボストン響とのデジタル再録音はいたって平凡です。

 

 

 

 先日氏のお宅に訪問してそのシステムで聴かせていただきましたが、デンオンのアンプはいい音がしますねぇ。今回使われたのはPMA-390REという機種でしたが、自宅にはPMA1500REが置いてありました。

 

 

 プログラム前半は蓄音機が主役のSPレコードが主役の「機械録音からモノラルLPまで」をたどります。流れ的には24日に愛知県図書館で開催するレコードコンサートと同じですが取り上げる曲目が違います。機械録音はアコースティック録音ともいい、要するに音を電気的に増幅することもなくそのままを収録します。初期は声楽作品や器楽作品が主流なのはこういう制約があったからです。最初のミッシャ・エルマンのヴァイオリンはエルマントーンと言われたように甘く甘美な調べが特徴でした。

 

 

 メルバの歌うのは日本では「羽生の宿」として知られている曲です。このアコースティックの初期はカルーソーの歌うレコードが大ヒットして蓄音機の普及を促進させました。

 

 

 ここから電気録音になります。ハイフェッツはステレオではこの曲を残していませんから貴重な録音です。

 

 

 トスカニーニは自身のオーケストラとなるNBC交響楽団とたくさんのライブ録音を残しています。

 

 

 コルトーはミスタッチなど気にすることなく録音を残しています。この時代はスタインウェイではないピアノの響きは

 

 

 そして、前半最後を飾るのはミルシテインがワルターと録音したメンデルスゾーンのヴィオリン協奏曲です。初めて耳にしましたがモノラルということを感じさせない素晴らしい響きでした。時間の関係で1楽章を全部聞けなかったのが残念でした。下の音源のジャケットはLP初期の統一ジャケットのものです。

 

 

 第2部はみなさんご存知のステレオレコードの世界です。今回の選曲は珍しいものばかりです。ちょっと大人の選曲ですね。巌本真理は弦楽四重奏団を率いていた記憶はあるのですがソロで活躍していたのは珍しいです。今回の音源はソノシートに録音されたものでYouTubeにはこの音源はありませんでした。また、多分日本人がアテレコをやったピーターとおおかみも多分この中村メイコ盤が最初であったろうと思われますが、こちらも音源がありませんでした。ただ、ちよっと毛色の変わった「ピーターと狼」がアップされていましたので貼り付けておきます。なんと昨年のライブ映像です。

 

 

 3曲目は45回転LPという音の良さをアピールしたレコードが紹介されました。ロリス・チェクナヴォリオン指揮によるボロディンの「中央アジアの草原」です。アルメニア出身のチェクナボリオンは注目していた指揮者で彼はボロディンの交響曲全集の録音を残しています。

 

 

 ジャン・ピエール・ランパルは何度も来日していましたが、当時のエラートには日本のメロディを録音したアルバムが何枚も発売されています。ここではハープのラスキーヌと組んだ演奏で山田耕作の「この道」がかけられました。

 

 

 最後はチェリストの藤原マリによるカタロニア民謡の「鳥の歌」でした。デジタル録音されたものでは最初の「鳥の歌」です。カザルスの名演があるため著名なチェリストは誰も畏れ多くて録音を残していません。藤原さんは心の奥に深く染み入る響きでこの曲を演奏しています。

 

 

 レコードの歴史を辿るこのコンサート、改めてレコードの良さを再確認しました。膨大な録音が眠るアナログレコード、CD化されずに眠っているものもたくさんあります。ノスタルジーではなく、リスペクトして音源を発掘していきたいものです。24日の愛知県図書館のコンサートではリクエストを盛り込んだ選曲でまた違う楽しさを演出したいと考えています。