第10回 日展
名古屋展 1
第10回日展名古屋展(中日新聞社など共催)が24日、名古屋・栄の愛知県美術館ギャラリーで開幕しました。日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門で、東海地方の作家の作品や全国巡回の上位入賞作など計484点を展示しています。 公益社団法人日展と、地元作家でつくる「中部日展会」が主催ということはあまり知られていませんが、これが地方展なんでしょう。2月12日まで開催されています。
入場するとき気が付くのは日展のチラシは置いてありますが、目録なんかは見当たりません。いろいろ改革されているようで、会場の各作品にはQRコードが表示されていて、そこにアクセスして作品の情報を確認するという方法がとられています。
また、「第10回」の節目の年を迎える今年からは、同館のギャラリー「J室」を利用して、『翔け!未来へ こども達ー 日展名古屋展SDG’s特別企画ー』として、来年20周年を迎える『CBCこども絵画展』とコラボしていて、『わたしの家族』と題した応募作品1500点余が展示されています。
日本画
今年度、第 10 回日展第 1 科日本画の応募作品 343 点のうち 165 点が入選となり、その中から10点の特選がえらばれています。
第1室のトップには畑中那智子氏の「山靄」が掲出されています。昨年亡くなった叔父の定位置でしたが今年も作風がよく似たこちらの作品で思わずオジを思い出してしまいました。近衛の右端にQRコードがありますが、それを開くと以下の作者の言葉が現れます。
『鶯の囀りがひびく山村に、数軒並んだ建物に遭遇した。それぞれの建物にはそれぞれの歴史が感じられた。周囲には薄や蔦が繁っている。自然と人間が一体化しているよう感じられた。』
刻の河を渡る 竹内恵利子
Night lab 吉川咲江
『月光に包まれたような碧。奥底になにかを潜めているようでいて、絶えず変化し捉え難い仄暗い色あい。そこは、たくさんの命を育む神秘の場所でもあります。そんな碧い水底の世界を描きたいと思いました。』という作者の言葉ですが、今年は深海魚などの巨大魚を描いた作品が多くありました。
モノクロトーンの中に巨大な爬虫類が描きこまれています。廃工場の向こうに男女は何を見ているのでしょうか?
ゆらめくなかで 古金谷初美
太古の断片 青田賢蔵
いのち輝く 池田睦月 特選
蓮 三上友子 特選
観想 鈴木一正 特選
古梅香香 久保嶺爾 特選
天体観測 福田季生 特選
地球のドラマ 古澤洋子 東京都知事賞
蓮 小木曽登 特選
迎へびと 川島めぐみ 特選
過行く夏 岡本徳子 特選
舟屋 竹内昌二 特選
STAR 村居正之
縄文へ・二日月 能島和明
懐 西田眞人 内閣総理大臣賞
何よりも特筆すべきは、その表現力の高さと強さである。雨は、白い直線によって表わされるだけでなく、画面全体に大胆に垂らされた顔料によっても表現されている。その二つがあいまって悲しみの感情が見事に伝わってくる作品となっている。雨の白い線も決して多くはなく抑制されており、それもまた感情の表現を高めていよう。
作者の言葉
『あの日からだろうか、降る雨が泣いているように思えるのは。
母を見送って一年。今、淡々と日々を過ごす。雨は降る。さめざめと。私の心が晴れるまで。』
龍魚(アロワナ) 土屋禮一
花菖蒲 渡辺信喜
宿雨(方丈記 日野) 丸山勉