レコード芸術1974年10月号 5 | geezenstacの森

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レコード芸術1974年10月号 5

 

 レコード産業がある意味ピークを迎えていたのがこの頃でしょう。いつもは小じんまりとした企画の「海外LP視聴記」が関連項目も含めて両面見開きで特集されています。

 

 

 その後のことを思うとケンぺ/ミュンヘンフィルのベートーヴェン交響曲全集がこんなにも大きく取り上げられていたとは知りませんでした。時代は4chプームに湧いた頃で、メジャーレーベルとしては最初に発売した4chによるベートーヴェンの交響曲全集でした。ちなみに一番最初はマズア/ゲヴァントハウス管弦楽団のものでしたが、如何せんマイナーなディスクリート4ch方式であったためそこまで話題になりませんでした。このブログでも第1番と、第3番「英雄」の収録されたCDを取り上げています。EMIにしてはいい音がします。

 

 

 このケンぺ/ミュンヘンフィルのベートーヴェン交響曲全集はCD時代は不遇でした。全集という形で発売されたのはタワレコからSACDで発売されたのが最初ではないでしょうか。小生もそうですが、SACDは聴きたいとは思いませんのでこの全集は手を出していません。限定1500セットで発売されたようですが、HPで確認するといまだに売れ残っているということはやはり人気がなかったのでしょう。

 

 

 この号で発売が告知されているコッホ/ベルリン室内管弦楽団のバッハの管弦楽組曲です。ただ、ここではあまり良い評価はされていません。それより比較対象としてのパイヤールやマリナーの演奏を好評価しています。オルガンのような響きとされるコッホのこのアルパムは今は廃盤です。

 

 

 この時代のハイティンクは日本での人気はさっぱりでした。ファィハイ録音だった「春の祭典」もさっぱり売れず、すぐに廉価版扱いで再発されたものでした。ここでもいろいろな指揮者と比較されています。その中でも評価は高いのですが、やはり売れなかったようです。

 

 

 

 

 何度も発売されているれ録音で最近では2015年に1200円の廉価版で発売されていました。鋼鉄のようなタッチの切れリスのまた違った一面を聴くことのできる演奏です。それはともかく、囲み記事でその他の親子共演の録音も紹介するという粋な計らいをしています。

 

 

 バレンボイムはこんな録音も残していたんですなぁ。記事は門馬直美氏ですがブルメンタール盤があることには触れていません。大手メーカー(特にDGG)の提灯記事が多いので小生は好きではありませんでした。それよりも、関連記事としての梅沢敬一氏の「意外と知られていないベートーヴェン自作編曲もの」という囲み記事の方がよっぽど楽しめます。

 

 

 

 こういう組み合わせの録音がEMIになされていたということがまず驚きです。で、この後デッカがアシュケナージとプレヴィンの組み合わせで全集を発売しています。マズアはEMIにリストの交響詩全集なども録音していますが、全く話題にはなりませんでした。

 

 

 シェリングはブラームスをモントゥー、ドラティらとも録音していましたが、ここでハイティンクとも再録音しています。サポート役に徹するハイティンクは可もなし不可もなしということで、この録音は名盤に名を連ねています。

 

 

 スタジオ録音に徹したグールドの卓越した選曲ガンが光ります。今の技術で彼の鼻歌が除去できればちょっとは聴きやすいんですがねぇ。

 

 

 このレコードについては1974年2月号でグラビア特集されています。当時の東京クァルテットの評価の高さがわかります。

 

 

 ソビエト時代のメロディアはアメリカに対抗して素晴らしいレコードを次々と発表していました。ただ、録音機材が古いので音質的にはイマイチでしたが、国策レーベルとして金に糸目をつけていなかったのがよかったんでしょうなぁ。この曲好きな曲です。

 

 

 声楽からバロックまでこの海外LP視聴記はさまざまな録音を取り上げています。柴田南雄氏がこういうレコードで感想を書いているというのがびっくりですし、これは多分記憶がないので国内版は出なかったのではないでしょうか。