レコード芸術1974年10月号 3 | geezenstacの森

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レコード芸術1974年10月号

3

 

 

 この号は交響曲担当の大木正興氏が大知洋を崩して緊急入院のためピンチヒッターで宇野功芳氏が担当しています。大木氏なら毎月1ー2点しか推薦盤を出さないのにこの月は3点もあります。良く言えば宇野氏の趣向を反映した推薦盤と言えるでしょう。オーマンディのサンサーンスはCBS時代もスケール感のある演奏で好きでしたが、このRCA盤はあまり記憶がありません。それより、テラークに録音したデジタルの方がスケール感があって好きでした。アバドのチャイコフスキーは音がいいということでベタ褒めですし、ストコフスキーの新旧の「新世界」を収録したアルバムはストコフスキーのピアノ演奏による解説も収録されているということで推薦しています。自身の管弦楽ではブーレーズとバーンスタインの二人のラヴェルを推薦していますが、この年、ニューヨークフィルはその二人に率いられて再来日しています。

 

 特集が組まれているオペラものでは準推薦止まりで、推薦盤はありません。唯一推薦になったのは純粋には声楽作品に分類されているシューマンの「ファウスト」だけです。ブリテン指揮、イギリス室内管弦楽団が演奏したものでした。グラモフォンは強力新譜をラインナップしていましたが、推薦を取れたのはアバドの一枚だけで、カラヤンもベームも落選しています。そのグラモフォンの広告です。

 

 

 この時点でアバドはDGにこれだけのレコーディングをしていました。リストを見ても面白いのはブラームスは1曲ずつ違うオーケストラと録音しています。この時代のアバドはミラノ・スカラ座でオペラ中心でした。しかし、今思うと、ベルリンフィルの後釜としての下準備はすでに始まっていたのかもしれませんなぁ。

 

 

 今でこそカラヤンのリヒャルト・シュトラウスは評価されていますが、この当時はまだまだそんなに評価は高くありませんでした。

 

 

 グラビアの扱いもありましたが、ギレリス親子、ベームの共演もこの号では取り上げられていません。

 

 

 見開き2ページの広告です。クラーヴェスはこの当時はシキから発売されていました。ロベルト・シドンはブラジル生まれのピアニストでした。スクリャービンの作品などで爪痕を残していますが、この時はリストで勝負しています。ディースカウは来日記念ですが、コンスタントに推薦盤をものにしています。クオリティが高いんでしょうなぁ。

 

 

 この月の広告には出ていませんが、イエペスのリュート曲集は先月号でこくちされています。2枚組ですがもギタリストの家ぺすがリュートに挑戦した一枚です。この時代のDGはレベルの高いレコードを連発していたことが窺えます。