レコード芸術1974年10月号 1 | geezenstacの森

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レコード芸術1974年10月号 

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レコード業界の地盤変化がまた起こった1974年10月号のレコード芸術を取り上げます。

 

 

 

 この号の特集は大量に発売されるオペラのレコードと活況を呈している海外LP視聴記の拡大版です。しかし、その影で業界の勢力図はまた大きく変わろうとしていました。

 

 巻頭のグラビアはアンタール・ドラティがハイドンの交響曲全集を発売したということでのものです。1966年7月から1977年12月までの4年5ヶ月を費やした偉業です。この時すでにヨーロッパて゜は一足先に発売されていて、1974年のフランス・ディスク大賞を受賞しています。

  日本では一気に46枚セットの全集として発売されましたが欧米では10巻の分売形式で発売されています。当時イギリスではHDNHで、雨の火ではミッドプライスのSTSシリーズで投入されました。小生は両国のカタログを取り寄せて、セールにかかっているセットを見比べながら取り混ぜて全集を購入したものです。掃除でアメリカ版の方が安かった記憶があります。てでし。番号は違えどプレスはすべて スギリスデッカが行っていました。

 

 

 読み返していて、こんな組み合わせの録音があったのかとびっくりしました。フランスのピアニストのカサドシュは家族でーツァルトの複数協奏曲を録音したのは知っていましたが、切れリスが娘とこういう録音をしていたとは知りませんでした。それもベームと組んでです。

 

 

 クラーヴェスもこの時代はポリドールが発売していました。個人的にはこの記憶が強いのですが、しばらくするとソニーから発売されるようになります。レーベルを主宰していたエリクソンがソニーにスカウトされたからでしょう。

 

 

このピアニストは全く記憶にありません。

 

 

そういえばこういうソプラノ歌手がいたなあという記憶です。

 

 さて、グラビアでひっそりとエラートがRCAから発売されるということで取り上げられていました。アラン・ロンバールはグシュルバウアーと共にエラートのオーケストラものを任されていましたがどちらも数年後には影を潜めてしまいます。組んだオーケストラがいかにもマイナーだったのが足を引っ張ったんでしょうなぁ。ということで、この10月のRCAの広告です。

 

 

 まずは看板のルービンシュタインのアルバムを持ってきましたが、この当時のRCAはメインの指揮者がいなかったのが致命的で室内楽で勝負するしか策がなかったようです。

 

 

 このウィーン弦楽四重奏団もあまり記憶がありません。ウィーンフィルの室内楽はデッカがメインであったので、どうしてもRCAと結びつきません。それより、ストコフスキーの新旧の録音を取り揃えた「新世界」をメインした方が売れたのではないでしょうかねぇ。まあ、こんなレコードが出ていたことすら記憶にはありません。

 

 

 一世を風靡した冨田勲のセンセーショナルな「月の光」がこの時発売されていたんですなぁ。欧米での人気が先行していたのに日本ではモノクロページの広告で3ページ目に取り上げられています。ただ、日本ではCD-4方式の4チャンネル方式で発売されたのがちょっとネックになったのかもしれません。まあ普通方式のレコードも発売されたのですがセールス的な打ち出しは冴えませんなぁ。オーディオ評論家でもあった荻昌弘氏の広告が一番目を惹きます。

 

 

 イツァーク・パールマンはてっきりEMIの専属と思っていたのですがういしい協奏曲はRCAが持っていってしまったんですなぁ。でも、ラインスドルフと組んだチャイコフスキーやシベリウスは聞いた記憶がありません。話題にもならなかったのかな?

 

 

 RCAの告知が終わるとようやくエラートレーベルの広告になります。

 

 

 先のグラビアで取り上げられていたロンバール/ストラスブールの幻想が登場しています。ただ、この月の大木正興氏の交響曲の月表では取り上げられていません。それより先に紹介したストコフスキーの「新世界」の2枚組が推薦盤になっています、RCAのチラシ担当者の感覚は一体どうなっていたんでしょうなぁ。

 

 

 モーリス・アンドレの新録音は話題になりそうなものですが曲が渋いですなぁ。こちらも月評では取り上げられていません。

 

 

 そしてコルボのシャルパンティエです。エラートの第1回発売がこのシャルパンティエだったということで今回の移籍後の発売でもこれを打ち出しています。ただ、こちらも4チャンネルをメインに持ってきたのはいただけませんなぁ。エラートのソースは4チャンネル向きのものはあまりないような気がしますからこの打ち出しは失敗でしょう。

 

 

 

 エラートの抜けた穴をスプラフォンのミラン・ムンつリンゲルを引っ張り出しての打ち出しをこの月からコロムビアは仕掛けています。ただ、このムンツリンゲルは、海外版で廉価盤ですでに出回っていました。小生もアメリカのクロスロード盤で何枚か所有しています。ですから通には目新しさはありませんでした。

 

 

 それより、PCMでエラートとの共同制作を足がかりにここてもコロムビアはグシュルバウアーとの録音を投入しています。島ことでこのつきはRCAとコロムビアからグシュルバウアーの新譜が出るという構図になってしまいました。

 

 

 コロムビアはマイナーなオイロディスクや一本買いのソースでなんとか広告の紙面を埋めています。それでも4ページしかありません。

 

 この月からコロムビアは「エオリアン」シリーズを投入しています。まあ、ミッドプライスのシリーズですが、今までなら廉価版で発売していたのを切り替えてこのシリーズに投入している感は丸わかりでした。廉価盤の常連だったカール・リステンパルトものをこのシリーズに投入していますが、小生らは同じソースを米ノンサッチ盤で仕入れていましたから今更触手は動きませんでした。これらのソースはムジディスクで日本ではコンサートホール盤としても流れていました。

 

---続く