サンプラー
ラファエル・クーベリック
曲目/
DGG MG9902 原盤2563125
マスターの刻印は℗1971になっていますが実際に発売されたのは19−72年になってから出した。なぜ、カラヤンの次にクーベリックが選ばれたのかは不明です。てっきり出るならベームだと思っていたのにねぇ。そのベームは出ずじまいでした。その代わり、カール・リヒターが発売されていますし、もう一枚アルヒーフのサンプラーが出ていました。当時、クーベリックは全く眼中にない指揮者でした。ですから、物のついでで買った一枚です。
ジャケット裏面
それが証拠に、中で紹介されているクーベリックのレコードは紙面を埋め尽くすほど発売されてはいません。反対にクーベリックが売れてはいなかったと言う証なのでしょう。ただ曲目に関しては彼の代表盤がピックアップされています。
詳しい録音データなどの表記はこの時代にはありません。この中で気になったのはドヴォルザークの交響曲第8番でしょうか。この曲で一番好きなのは第4楽章ですが、ここでは第3楽章がチョイスされています。のちにクーベリックのドヴォルザークはCDで全集を買っていますが、この時の試聴体験が根底にあったのかもしれません。ここではベルリンフィルを振っていて衣装の良さを感じさせます。
次に気になったのがヤナーチェクの「シンフォニエッタ」です。これはよく知られた第1楽章が採用されているのでことのほか楽しめました。主兵のバイエルン放送交響楽団を指揮しているのもいいですねぇ。そして、この曲が録音されたのが1971年ということでは当時は最新録音を収録していたということになります。
びっくりしたのはスメタナの「モルダウ」です。商業録音としてはDGGにボストン交響楽団を振ったものがあったんですなぁ。クーベリックのモルダウは主兵のバイエルン放送交響楽団や晩年のチェコフィルのものがよく知られていますが、この1971年にはこんな録音を残していました。ほとんど市場では評価されていませんから今となっては却って貴重な音源かもしれません。
レコードのB面はバイエルン放送交響楽団の演奏でまとめられています。まあ、この中では得意のマーラーが1番の聴き物でしょうか。何せ映画「ベニスに死す」が公開されたのは1971年10月ですから、この映画で使われたマーラーの交響曲第5番のアダージョが爆発的にヒットするのはこの後ですからねぇ。ここではその第5番の第4楽章がまさに採用されています。マーラーの交響曲全集を締めくくった最後の録音でした。これも録音としては1971年の録音です。その第4楽章です。でも、その頃はクーベリックのマーラーはほとんど話題に登っていなかった気がします。
カラヤンのサンプラーよりは地味なこともあってかあまりものは流通しなかったようでネットでもあまり見かけない一枚です。