名古屋音楽大学
シンフォニック・ウィンズ 第41回定期演奏会
15日は久しぶりに本格的な吹奏楽の演奏会に出かけてきました。
曲目/
アンコール
1.マーチ・エイプリル・メイ
2.レトロ
今回はプログラムがメチャクチャ魅力的でした。なにしろ邦人の吹奏楽作品しかプログラムされていませんでした。また、アンコールで演奏された曲もその例にもれません。
当日のステージ構成
邦人作品のオンパレードと低ことでステージ上には、和太鼓や拍子木、銅鑼、鈴といった鳴り物も用意されていました。トップはいかにも日本風な風物詩の「たなばた」という作品が演奏されました。ブラバンでは定番曲のようで毎年7月になると予定していなくても自発的に演奏したくなる曲というアルアルの曲だそうです。
2曲目もブラバンでは定番曲のようで大阪俗謡というタイトルですが、どことなく卑弥呼の時代を彷彿とさせるような響きで幻想的です。五音階の響きはやはり日本人の郷愁を誘います。中盤以降は祭囃子の旋律が響き渡りますが、あくまで倭の音階で終始します。ここでは故丸谷明夫しの指揮する東京佼成ウインドオーケストラの演奏テセ聞いてみましょうか。
「麦畑渡る風の歌」は初めて聞く曲ですが、イントロで涙を誘う、暖かく胸に響きわたる名曲。穏やかになびく風、激しい風、様々な風を描きながら、ハーモニーの美しさを十二分に味わうことができる作品です。これはこのシンフォニック・ウィンズの昨年の演奏です。
前半最後は「科戸の鵲巣」です。日本の作品は吹奏楽コンクールの課題曲になったものが多いのですが、「科戸」とは「しなと」と読み、「し」は風を意味し、「と」は場所のことを意味します。「な」はいわゆる体言を修飾するための助詞で、直訳すると「風の起こる場所」というようなものとなります。また、その風は罪や汚れを払うものとされています。
「鵲巣」とはカササギの巣のことで、七夕伝説で多くの仲間とともに自らの体で天の川に橋をかけてくれる鳥として知られています。カササギは年ごとに風向き予測して巣を作るとされ「鵲巣は風の起こるところを知る」ということわざもあります。こうした二つの要素から、「風の起こるところ」である「吹奏楽」を連想してつけられたという実に美しく機知に富んだタイトルもこの曲の魅力の一つです。ここでは中学生の演奏するもので聴いてみましょう。もちろん金賞を受賞した演奏です。
後半も大曲が並びます。「紺碧の波濤」は悲劇の英雄をテーマとして与えられた作品で、西洋音楽の現代的な響きに彩られながらも、和風な雰囲気を感じさせる、独特な世界観を持った曲です。今回、パンフレットは配られたのですが、曲の怪瀬さは一切無いという不親切なものでした。いや、先入観なく曲を聴いてほしいという演奏側からの配慮だったのかもしれません。小生はそういうのが好きですから別に苦にはならなかったものです。イメージ的には瀬戸内海を闊歩した村上水軍をイメージして聴いていました。
続く「シンフォニック・ヴァリエイション」は主題と9つの変奏、終曲から成る福島弘和らしい硬派な作品。オーボエやサックス等にソロもあり、吹奏楽らしい華やかさとクラシックのような構成美が融合した作品です。
プログラム最後は、東京佼成ウインドオーケストラの委嘱を受けて作曲された曲です。 3つの部で構成されており、 「① 鶴が舞う」は、丹頂鶴の求愛ダンスを吹奏楽で可憐に表現、 「② 雪の川」は、冬の渓谷を静かに流れる川に、雪が深々と降り続ける墨絵のような描写を表現、 「③ 祭り」は、日本の夏に行われる情熱的な踊りや祭りを表現しています。ここで和太鼓が使用されました。
プログラムは以上でしたが、アンコールとして2曲演奏されました。最初はかなり以前のコンクール課題曲の「マーチ・エイプリル・メイ」という行進曲です。3月、4月、5月と引っ掛けてあるところが粋ですねぇ。
で、びっくりしたのがアンコール2曲目でした。通常はホールのスタッフが場内撮影禁止で目を配らせているのですが、なんとこの日はラストの曲は写真撮影OKということが指揮者から案内されました。未だかつて無かったことです。小生は終演後のカーテンコールは今までブログでアップしていましたが、今回はお咎めなしということでニンマリしたものです。さらに、なんと曲が始まるとアンコールなのに会場が薄暗くなり、ミラーボールが回転し出すではないですか!!下がその写真で、さらにソロは前に出てきての演奏です。こりゃ、アンコールやらないわけにはいかないわなぁ。
ということで、曲はこんな感じです。
コンサートも日々進化していますが、県芸コンサートホールでこういう日が来ようとは!!、なんとも楽しいコンサートでした。