Gramophone award 2023 | geezenstacの森

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Gramophone award 2023

 

 レコード芸術が廃刊になったので、今年はレコード大賞はありませんが、海の向こうの「gramophone 」は健在で、今年も「Gramophone award 2023」を発表しています。2023年グラモフォン・クラシック・ミュージック・アワードの授賞式が10月4日にロンドンのデ・ヴィア・グランド・コンノート・ルームで開催された。 編集長のジェームス・ジョリーが司会を務めたこの式典では、今年の受賞者の多くによるライブパフォーマンスが披露されました。英グラモフォン誌のカテゴリーは以下のようになっています。



 

Recording categories

 

Choral

Concerto

Chamber

Concept Album

Contemporary

Early Music

Instrumental

Opera

Orchestral & Recording of the Year

Piano

Song

Spatial Audio

Voice & Ensemble

 

Special Awards

 

Lifetime Achievement

Label of the Year

Young Artist of the Year

Artist of the Year

Orchestra of the Year
 

といったものです。グラモフォン誌はいままで、カテゴリー分けにおいてもABC順を尊守していましたので、ここでもそれに習っています。それにしても一番保守的だったグラモフォン誌が今もクラシック音楽界を引っ張っているのは頼もしいものです。1990年代にはCDのおまけ合戦で「BBC MUSIC」誌や「CLASSIC CD」誌の台頭に苦戦を強いられていた時期もありましたが、ものの見事にIT化の潮流に乗り、見事にネットと紙媒体を見事に調和させてきっちり安定基盤を固めています。それに対して我が国の音楽之友社は、必死に紙媒体にしがみついて「レコード芸術」を廃刊(表面上は休刊ですが)に追い込まれてしまいました。先を見る経営戦略が失敗したんでしょうなぁ。いま、一番気をはいているのは「ぶらぼお」誌でしょう。コロナ時期は紙媒体は絞ってもネットではきっちりそのフォローをしていました。

 

 さて、その中身ですが、下線部分をかいつまんで紹介すると、協奏曲では、

 

Elgar ‘Viola Concerto’ Bloch Suite For Viola and Orchestra

Timothy Ridout va BBC Symphony Orchestra / Martyn Brabbins

 

が選出されてています。エルガーのヴィオラ協奏曲は、20世紀に活躍した英国のヴィオラ奏者ライオネル・ターティス[1876-1975]のたっての希望で実現した、チェロ協奏曲のヴィオラ編曲版です。この編曲は作曲者にも認められ、1930年にエルガーの指揮、ターティスのソロにより初演、チェロ協奏曲の初演よりも熱烈に迎え入れられたそうです。ティモシー・リダウトは1995年生まれ、王立音楽院で学んだのち、2014年セシル・アロノヴィッツ国際コンクール優勝、2016年ライオネル・ターティス国際ヴィオラコンクール優勝。ヴィオラ界の若手の中では最注目の演奏者で、オーケストラとも共演多数、2021年6月には王子ホールでトランジット・シリーズに登場、絶賛されました。

 

オーケストラ演奏の受賞は、

Haydn Symphonies Nos 101, ‘The Clock’ & 103, ‘Drum Roll’

The Deutsche Kammerphilharmonie Bremen / Paavo Järvi

が選ばれています。RCAの録音でドイツ・カンマーフィルはパーヴォ・ヤルヴィが2004年から音楽監督/芸術監督を務めています。そのコンビが新たに着手したのがハイドンの「ロンドン交響曲集(第93番~第104番)」全12曲。これはパーヴォが長年温めてきた録音プロジェクトで、「ハイドンの交響曲に含まれる機知とユーモア、簡潔にして巧みなオーケストレーションの凄さをDKAMと改めて世に問いたい」と切望して実現するもので、録音は2019年からスタート、今年2023年に完了予定ということです。

 

 面白いのは、「Spatial Audio」で日本語では「空間オーディオ」と訳されていますが、要するに「歴史的名録音」とでも言えるものを評しています。なんとこれに選ばれたのが、

Wagner Die Walküre

Soloists; VPO / Sir Georg Solti

なんですなぁ。1965 年秋にこの『ワルキューレ』の録音が完成して以来、ショルティ リングは数々の賞賛を獲得してきました。 この賞は、蓄音機の歴史におけるこのランドマークの熱心で愛情深いキュレーターであることを示した、デッカのトランスファーエンジニアであるフィリップ・シニーとプロデューサーのドミニク・ファイフの功績をより具体的に表彰するために設けられたということです。

 

 まあ、これ以上の情報は下記にアクセスしてみてください。


https://www.gramophone.co.uk/awards/gramophone-classical-music-awards-2023

 

これとは別に、ドイツのレコード賞「オーパス・クラシック=OPUS KLASSIK」の授賞式が10日、ベルリンのコンツェルトハウスで行われました。賞はかつて“ドイツのグラミー賞”とされた「エコー賞」の後身で、その年に優秀な録音を残した音楽家やレコード製作者を表彰しています。エコー賞は2018年4月に、ポップス部門の受賞グループの楽曲に反ユダヤ主義的な歌詞が含まれることに対し多くの非難が起こり、過去の受賞者が続々と賞を返還する騒動に発展、賞の廃止されています。さて、この主な受賞者は以下の通りです。

 

[最優秀女声歌手]

 アスミク・グリゴリアン

 

[最優秀男声歌手]

 ヤクブ・ヨゼフ・オルリンスキ

 

[最優秀器楽奏者]

 アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリン)

 ヴィキングル・オラフソン(ピアノ)

 マルティナス・レヴィキス(作曲)

 

[最優秀指揮者]

 ヤクブ・フルシャ

 

[特別功労賞]

 ヘルベルト・ブロムシュテット

 

[若手アーティスト賞]

 ジョナサン・テテルマン(テノール)

 ジュリア・ブロック(ソプラノ)

 ブリュノ・ドルプレール(チェロ)

 マックス・フォルバース(リコーダー)

 藤田真央(ピアノ)

 タルモ・ペルトコスキ(指揮)

 

[アンサンブル・オーケストラ]

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団:クリスティアン・ティーレマン指揮のブルックナーの交響曲第9番の録音で

 ザクセン管楽フィルハーモニー:アルバム「ラ・ヴァルス」の録音で

 

[交響曲録音]

 ヴィルヘルム・ペテルセン:交響曲第3番=コンスタンティン・トリンクス指揮のhr交響楽団

 スティーヴ・ライヒ:《ランナー》、アンサンブルと管弦楽のための音楽=スザンナ・マルッキ指揮のロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団

 

[オペラ録音]

 ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》=ルネ・ヤーコプス指揮のフライブルク・バロック・オーケストラ

 

 いずれもその国のお国柄がよく出ています。ピアノで藤田真央氏が選ばれているところが嬉しい限りです。