ジョン・ルイス ゴールデン・ストライカー | geezenstacの森

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ジョン・ルイス

ゴールデン・ストライカー

 

曲目/

A1.ファンファーレⅠ 0:39
 2.ピアッツァ・ナヴォーナ 6:27
 3.明日に賭ける 7:57
 4.ファンファーレⅡ 0:45
 5.プルチネルラ 3:56
 6.ファンファーレⅡ 0:26
 7.ゴールデン・ストライカー 4:58
 8.ピアッツァ・ディ・スパーニャ 4:24
 9.ファンファーレⅠ 0:41
 10.ラ・カンタトリーチェ 5:02

 

指揮,ピアノ/ジョン・ルイス

ドラムス/コニー・ケイ

ベース/ジョージ・ディヴィヴィエール

フレンチホルン/アルバート・リッチマン、ガンサー・シュラー、ジョン・バローズ、レイ・アロンゲ

トロンボーン/デヴイット・ベイカー、ディック・ヒクソン

トランペット/アラン・キガー、ベーニー・グロウ、ジョー・ウィルダー、メルヴィン・ブロイレス

チューバ/ハーヴィ・フィリップス、ジァイ・マッカーリスター (曲: A3, B5)

 

録音/1960

P:ネスヒ・アーティガン

E:ボブ・アーノルド、アール・ブラウン、ジョニー・キュー

 

製造元 – Atlantic Recording Corporation

マスタリング – Longwear Plating

ラッカー盤カッティング – Atlantic Studios

プレス – Presswell

 

米アトランティック SD−1334

 

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 「ゴールデン・ストライカー」という曲自体は1957年のロジェ・バディム監督のサスペンス・アクション映画「大運河」に使われていました。MJQのアルバムでは「たそがれのベニス」というタイトルで発売されたものです。映画が先か音楽が先か、というと音楽が先でした。一応、このアルバムはサントラということになっていますが、映画はこのアルパムの曲ありきという形で制作されています。ということで、映画のタイトルは「大運河」と言います。ただ、映画の原題は「セトン・ジャメ」決して知らない。英題が「ヴェニスに太陽はない」、邦題が「大運河」、英題の邦訳が「たそがれにヴェニス」とややこしい限りですが、皆同じ映画のことを指しています。そのヒットに気を良くして、このアルバムはそこからインスパイヤされた形でピアニスト、ジョン・ルイスがMJQを離れて1960年に録音されました。まあ、この映画に関してはジョン・ルイスは別に「ヨーロッパの窓」という作品も制作しています。そちらはシュトットガルト交響楽団とコラボしたものでしたが、1958年の録音ながらモノラルでした。で、リベンジとしてこちらはステレオで収録されています。スタイルは11人のブラス楽器奏者を含む14人のオーケストラ編成で演奏されています。クラシックとジャズの融合を試みた『THIRD STREAM MUSIC』の進化形とも言える意欲作となっています。ただ、内容がややマニアすぎて、CD化されたのは2013年と遅れています。

 

 さて、小生の手元にあるアルバムは1968-73年ごろに再発売されたもののようです。違いは一眼でわかります。初期のアルバムは「STEREO」の文字が下記のように金色になっていましたし、その文字位置がかなり上にずれています。

 

 

  御多分に洩れず、この時代はモノラル盤も同時に発売されていました。デザイン的にはこれがオリジナルでしょう。ここに「ステレオ」を強調したいがために無理やり後刷りで追加しています。

 

 

初期のラベルデザイン

 ただ、裏面はちゃんとステレオ用の配置で印刷されています。

 

 

 アトランティックはかなり力を入れて録音したようで、「FULL dynamics- frequency SPECTRUM STEREO」と強調して表記しています。

 

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 ライナーの曲目一覧の部分でも、その下の方は録音特性について記載していて、この録音はRIAAカーブの特性に沿って録音されているのでその方式で再生してほしいだの、録音はアンペックス300のレコーダーで録音し、スカーリーのバリアブルピッチヘッドでカッティングしてあるということもうたつています。つまり、当時の最新システムでレコードを製作していることをきちっと歌っているのです。

 

 

 手元にあるのはリイシューものということで、マトリックスナンバーも初期とは違います。原盤の末尾にPRがくっついています。さらにスタンパーにはごちゅごちゃ記号が追加されています。

  • Matrix / Runout (Label side A): ST-A-60221 PR
  • Matrix / Runout (Label side B): ST-A-60222 PR
  • Matrix / Runout (Runout side A): ST-A-60221 - C LW AT HG W
  • Matrix / Runout (Runout side B): ST-A-60222 - D LW AT HG W
リイシューのラベルデザイン
 
まあ、こんなことでレコードのインナー袋は当時のレコードの告知に変更されています。ハービーマンの「メンフィス・アンター・グラウンド」なんか1969年のアルバムですからねぇ。でも、個人的にはそれぐらいしかわかりません。
 
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 このアルバム自体は曲目一覧を見てもわかるように、コンセプトアルバムとして制作されていることがわかります。ムソルグスキーの「展覧会の絵」よろしく曲間は「ファンファーレ」で繋いでいます。下は「MJQ」が演奏する「ゴールデン・ストライカー」です。
 

 

 アルバムアーティストは上記のようになっていますが、MJQのメンバーからはドラムスのコニー・ケイがただ一人参加しています。ジョン・ルイスにとってコニー・ケイのハイハットを伴う独自のドラミング・サウンドは切っても切り離せないんでしょうなぁ。

では、コンセプトアルバムとしての「ゴールデン・ストライカー」を聴いてみてください。