懐かしのレコード芸術 1973年9月号 その5 | geezenstacの森

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懐かしのレコード芸術

1973年9月号 その5

 

 ここからはDGGの広告です。びっくりするのがカラヤンより前にバーンスタインが登場しているではありませんか。バーンスタインのディスコグラフィの中でも、最も輝かしい録音のひとつが1972年にメトと収録したこのカルメンです。当録音は同時期に上演され好評を博した後にDGが1972年9月、10月にセッション録音したものです。全体的に遅めのテンポですが、決して重くなることなく演奏されているのは流石! バーンスタインと申せましょう。また、歌手陣も豪華で、カルメンはマリリン・ホーン、ドン・ホセはジェイムズ・マックラッケンなど錚々たるメンバーです。バーンスタインはヨーロッパに渡りウィーンフィルと録音をはじめる前にこんな録音をDGGに行っていたんですなぁ。この時はバーンスタインはまだCBSの専属でしたから、わざわざ断り書きがついています。

 

 

 そして、カラヤンです。見開き2面で訴求しています。右側は新譜を纏めています。オネゲルとウェーバーの序曲集という全く方向性の違う2枚が同時発売とは帝王カラヤンの面目躍如です。

 

 

 そして、左側は「カラヤン決定盤50選」と2LPベストという布陣で1000円盤構成を書けるキンク゜と東芝に対抗しています。

 

 

 当時はDGGにはもう一人の巨匠ベームが後ろに控えていました。こちらも得意もののモーツァルトのセレナーデをメインに据えています。ベームの前では小澤征爾も小さな扱いです。DGGにはサンフランシスコ教の録音も録音していたんですなぁ。なを、この時代エッシェンバッハはまだピアニストでした。

 

 

 そして、最後にはヨッフムが控えていました。得意のブルックナーものです。ヴィオッティのヴァイオリン協奏曲はそうそうレコーディングされてはいませんが、この時ひっそりと発売されています。有名なのは22番ですが、ここでは16万と24番が収録されています。ヴァイオリンのアンドレアス・レーンなんて名前、聞いたことがありません。

 

 

 御多分に洩れずポリドールもヘリオドールレーベルでの第2回発売を告知しています。以前はモノラル版は擬似ステで発売されていますが、今回はモノラルとちゃんと表記されています。

 

 

 もう過ぎ去ってしまいましたがドイツグラモフォン(DGG)の120周年の記念サイトがこのレーベルの歴史をうまく纏めています。一度アクセスしてみてはいかがでしょう。

 

 

 この巻に、ルドルフ・ケンペのグラビアも含まれていました。この時期ケンペがドレスデン国立管とR.シュトラウスの管弦楽曲集を録音していたんですなぁ。小生もこのプロジェクトには興味がありました。レコードが発売された時は、いち早く輸入盤のセット物を購入し、また、CD化された折にはそちらも購入しています。何しろ一般の指揮者が録音していない「マクベス」が含まれていたり、室内楽的な「メタモルフォーゼン」から4管編成の「課程交響曲」までを含むアルバムを一貫してこのドレスデン国立管と録音しているからでした。これは録音の背景を知る貴重なグラビア特集でした。

 

 

 

 こちらもオーディオ関連の広告の中に埋まっていて危うく見逃すところでしたが、クラディオ・シモーネと「イ・ソリスティ・ヴェネティ」のグラビアも掲載されていました。イ・ムジチやミュンヒンガーなどに隠れてあまり目立ちませんでしたが、いい仕事を残しています。ここでバロック界の権威、服部幸三氏が来日時の印象やインタビューテセの対談の様子などを気していてなかなか興味深く読むことができます。音が良ければイタリア製に拘らないというスタンスや結成時以降ピエロ・トーゾなどの盟主が参加してどんどん音に磨きがかかってきたことなどを印象に述べています。

 

 

 トリオ・レコードは目立ちませんでしたがワンポイント録音のシャルランレコードや前衛的なヴェルゴなどのレーベルを抱えていました。先の「20世紀の演奏を考える」ではこのレーベルのあーてぃすとがかなり入っていました。

 

 

 トリオ・レコードは自社録音も行なっていました。ただ1984年には活動を停止してしまいます。音源は今では「アートユニオン」でCD化されていますが、ジャズだけでなくヨーロッパに遠征していろいろ録音していたんですなぁ。録音は若林俊介氏が担当していました。

 

 

 テイチクはパイレーベルに続いて、「ドイツハルモニアムンディ」を獲得していました。当時は「BASF」の翼下にありましたからそのマークも表記されています。今考えるとパイにはバルビローリの録音がこんなにあったんですなぁ。当時の記憶ですが、本家のイギリスのパイではこのバルビローリの録音はレパートリーの一部でほとんど目立たなかったイメージがあります。小生もパイのレーベルでバルビローリを購入した記憶がありません。しかし、このラインナップは充実しています。

 

 

 コレギウム・アウレウムの演奏は高いので指を加えてみていました。まあ、この後ミッドプライスの1,500円で発売された時は、当時2割引でレコードが買える店を見つけていましたから1,200円で購入できたのでかなり購入しています。それにしても一番下のシュナーベルのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集のあるなんてことはこの広告で初めて知りました。メトロノームレーベルもテイチクが発売していたんですなぁ。