懐かしのレコード芸術 1973年9月号その1 | geezenstacの森

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懐かしのレコード芸術

1973年9月号その1

 

 

 長年の友人から、またしても「レコード芸術」が送られてきました。何れもレコードが廉価盤時代として文庫化された1960年代末から1970年代にかけての小生にとっての青春時代のものです。ページをめくると、懐かしくもあり忘れかけていた記憶が鮮やかに甦る至福の時を体験することが出来ました。感謝です。それとともに、やはり何か不思議な繋がりも感じるものです。というのも、先日手に入れた中古レコードがこの号に新譜としているからです。

 

 ところで、このレコード芸術をブログ繋がりの「ネコパパ」さんも取り上げていておられるのですが最近完結されたようで、そこでダブらない号を取り上げていきます。興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

 

 この頃のレコ芸は表紙がアヴァンギャルド風になっていて当時は意味不明のでした。でも、取り扱う音楽はクラシックの雑誌でありながら広く音楽全般を取り上げ、ジャズやロックまで包含していました。ここでも、カルロス・サンタナが登場しています。左からハインツ・ホリガー、ヘルベルト・フォン・カラヤン、グレン・グールド、そしてサンタナ、フィッシャー・ディスカウ、もう一度カラヤンと不思議な画面構成です。

 

 表紙を捲るといきなり両開きの目次が登場します。我が家のスキャナはA4までしかスキャンできないので天地が切れてしまいますが、こんな内容です。

 

 

 本体だけで435ページこれに巻末に新譜一覧表が54ページ付きますからその他の書籍案内と合わせると500ページ以上の雑誌ですから目次だけでも大変な量です。この巻からは特集「20世紀の演奏を考える」をメインに取り上げていこうと考えています。それはさておき、最初は各社の広告です。レコードメーカーではまず、ビクター音楽産業がモノクロで最初に登場します。

 

 

 この当時はまだ全集発売はされていなかったんですなぁ。年末に第九を発売して、年が明けたら全集発売というスケジュールだったのでしょう。でも、この年には年末に向けてショルティ/シカゴの強力な新譜が控えています。ただ、このレコードの特徴はCD-4という4チャンネル録音版として発売されているところです。反対にCD-4はその方式の装置でないとうまく再生できませんからほとんどの人はパスしていたのではないでしょうか。まあ、通常版も発売されはしていますが、かえってマイナスイメージになってしまったような気がします。4チャンネル録音の最初で最後のベートーヴェンの交響曲全集がこのマズア/ゲヴァントハウス管だったというわけです。驚くのはその左の帯状の告知です。この年ラドゥー・ルプーが来日しているのですが、ビクターからその来日記念盤としてこんな新譜が発売されていました。これは全く記憶にありません。ルプーは1966年第2回ヴァン・クライバーン国際コンクール、1967年エネスコ国際コンクール、1969年リーズ国際ピアノ・コンクールにおいてそれぞれ優勝者となっていますからコンクールのライブ録音があって然るべきでしょう。ということで、多分エネスト国際コンクールのライブなんでしょうなぁ。

 

 

 ビクターは当時はメロディア原盤と契約していて新世界レーベルから発売していました。ただ、一番上のフデチェックのドヴォルザークはどう考えてもメロディア原盤ではありません。ビクターはのちにOPUSというレーベルと契約しますが、多分この当時はそのレーベルから一本買いの契約で出していたのではないでしょうか。ボロディン弦楽四重奏団のアルバムが2枚登場しています。すごいのはこの四重奏団は現在も現役で活躍しています。結成は1945年ですが代替わりをしながら名前だけは継いでいるという四重奏団の中では珍しい存在です。思うにこれは米ソの対立時代からの産物で、アメリカでは翌1946年に結成されたジュリアード弦楽四重奏団もメンバーを変えながら今も活動していることです。変なところでも張り合っているものです。

 

 さて、この号の巻頭カラーページではこのフデチェックが登場しています。広告では大きく取り上げられていませんがさすがレコ芸、タイムリーに紹介しています。この9月に来日しています。

 

 

 ビクターといえばアンネ・ローゼシュミットでしょう。まず後モーツァルトのピアノ協奏曲全集を録音していますが、この時はまだ現在進行中でした。時代を感じます。ところがこの録音は日本では日本コロムビアから発売されています。

 

 

 この年には1967年に続いてアリシア・ラローチャも来日していました。この時代からアメリカでは絶大な人気を誇っていました。

 

 

 絶頂期にフィッシャー・ディスカウは「シューベルト歌曲大全集」をグラモフォンに録音していますが、その後補完ともいうべき「シューベルト二重唱」というアルバムも録音しています。この録音は1972年3月に録音されています。ピアノはもちろん盟友ジェラルド・ムーア」です。ディスカウの下がジャネット・ベーカーです。

 

 

 さて、最後にオーディオの話題を。ヤマハは当時は盛んにオーディオ製品を発売していました。思えば、高校の無視聴覚室のオーディオ機器もヤマハで揃えられていました。下はそのヤマハのプリメインあんた゜のCA−1000です。一台のアンプにA級ととB級の回路を内蔵した高級アンプです。友人がこのアンプを所有していたのでこのシステムの音は何度か聞いたことがあります。ただ、A級システムで稼働させるとすごい発熱で夏場はとても仕様に耐えられなかったという記憶が鮮明に残っています。まあ、当時はオーディオ全盛の時代であった象徴でしょう。

 

 

 もう一品、レコードプレーヤーのパイオニアPL−1200です。この秋に発売されています。ダイレクトドライブ方式のレコードプレーヤーで、ベルとドライブ方式ですと駆動させるベルトが劣化する心配がありますが、そういう経年劣化のないDD方式が俄に注目を集めていました。手持ちはこの翌年に発売される普及型のPL1100という機種ですが、今でも何の問題もなく稼働しています。