ボスコフスキーの「こうもり」 | geezenstacの森

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ボスコフスキーの喜歌劇「こうもり」全曲

 

 

録音/1971/11.12

東芝EMI EAC47213-4

 

 1970年代後半にはオペラの全曲盤が各社から大量に廉価盤で投入されました。時代は1300円が主流でしたが如何せん廉価盤です。歌詞対訳がついていないというオペラとしては片手落ちでの発売でした。しかし、中にはちょいと高くても、歌詞対訳をつけるというメーカーも出ました。それがこの東芝EMIの「ドイツ・ロマンティック・オペラ・シリーズ」でした。初出は1972年でその時はPTSクリアーサウンド盤で発売されています。レギュラー盤は4,000円でしたから1,000円安くなっただけですけど、大学生協なんかで買うと2割引でしたからかなり安く買えたわけです。

 

20ページのLPサイズの解説書、歌詞対訳の表紙

 

 このレコードは彼の記念すべき初のオペレッタ全曲録音でした。ボスコフスキーといえばクレメンス・クラウスの後を引き継ぎ1955年より79年までの実に四半世紀にわたりウィーン・フィルのジルヴェスター、ニューイヤー・コンサートをヴァイオリンを弾きながら指揮し一世を風靡した人で、彼のシュトラウス一家のワルツをはじめとする作品には定評がありました。この「こうもり」も彼らしい古き良き時代のウィーンの香りがただよわせる録音で、ここではウィリー・ボスコフスキーの指揮は、彼が長年ウィーンフィルのニュー・イヤー・コンサートでワルツやポルカを指揮していたのと同じような感じでこのオペレッタを振っているので、ややまったりとした極めてウィーン的な感じのするもので、決して悪くないというか、本来の「こうもり」はこういった感じじゃないかと思わせる生粋のウィーンの香りがします。

 

オペラではこのブルーノレーベルが使われています

 

 また、配役も、ニコライ・ゲッダのアイゼンシュタインも良いし、アンネリーゼ・ローテンベルガーのロザリンデは、いかにも良家の奥様という感じで彼女のチャーミングな美声には魅了されますし、レナーテ・ホルムのアデーレも小間使いという感じを考えるとぴったりで、ルチア・ポップはちょっと立派過ぎのような感じがしますが浮いてはいません。ブリギッテ・ファスベンダーのオルロフスキーは若い利発な貴族という感じがするし、ワルター・ベリーのフランクも良いし、なんといってもディートリッヒ・フィシャー=ディスカウのファルケが絶品です。この録音ではディートリッヒ・フィシャー・ディスカウが、J.シュトラウスのオペレッタ「くるまば草」から一曲歌っているのも聴きものとなっています。

 

 以下はこの録音から理各幕の聞き所をピックアップしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全曲はナクソスラス部ラリーにアップされていますのでそちらで鑑賞ください。

 

 

 なを、対訳は以下で確認することができます。

 

 
 ビデオがない時代はこの演奏が小生のスタンダードでしたが、その後クライバー/バイエルン国立歌劇場の豪華な録音が登場しました。こちらは映像も残っていますから今ではこちらでも楽しんでいます。