アバドのプロコフィエフ
曲目/
バレエ「ロメオとジュリエット」作品64(抜粋)
1.モンタギュー家とキャピュレット家 5:35
2.朝の踊り 2:04
3.諍い 1:47
4.斬り合い 3:03
5.マンドリンの踊り 1:47
6.踊り 3:52
7.オーバード(朝のセレナード) 2:45
8.ユリの花を持った少女たちの踊り 2:55
9.タイボルトの死 4:57
バレエ組曲「道化師」作品21bis(抜粋)
10.第1曲:道化師とその妻 3:16
11.第2曲:道化師の妻たちの踊り 3:44
12.第3曲:道化師たちは彼らの妻を殺す 2:23
13.第6曲:道化師の娘たちの踊り 2:28
14.第8曲:商人の寝室にて 2:09
15.第9曲:若い妻が山羊に変わる 2:39
16.第10曲:山羊の埋葬 3:19
17.第11曲:道化師と商人との諍い 1:32
18.第12曲:終幕の踊り 3:33
指揮:クラウディオ・アバド
演奏:ロンドン交響楽団
録音:1966/02/10 キングスウェイ・ホール
P:レイ・ミンシェル*
手持ちの一枚は、「ロンドン・バレエ音楽名盤1300」という限定盤のシリーズで発売されたものです。全部で15枚のシリーズでしたが、チャイコフスキーは「白鳥の湖」全曲が組み込まれていただけです。デッカのバレエ音楽はその多くをリチャード・ボニングが録音していますが、リストを見るとモントゥーやショルティ、それにマリナーなども含まれており、中々ユニークなシリーズでした。
このジャケットはオリジナルのもので、ロイヤル・バレエの女王マーゴ・フォンテーンのジュリエットとソ連出身のルドルフ・ヌレエフのロメオというパウル・ツィンナー監督の映画「ロメオとジュリエット」のワンシーンが使われています。アバドがバレエ音楽を演奏しているということで捕獲した一枚です。
このレコードはアバドの実質デビュー盤で、ロンドン交響楽団のデビューの年に振った3つのプログラムの中に「ロメオとジュリエット」が含まれていました。アバド33歳の時のレコーディングです。「ロメオとジュリエット」はのちにベルリンフィルとも再録音していますが、この演奏はバレエを意識した両家の葛藤する雰囲気をテンポの遅さでじっくり表していて中々の読み込みを見せています。この曲後年ベルリンフィルとも録音していますが、そちらはこの演奏に比べるとオケのうまさは評価できますが、音楽そのものは他の指揮者と変わらないものになっています。冒頭の「モンタギュー家とキャプレット家」などその最たるもので、ここでは5分半かけていますが、ベルリンフィル盤は5分弱で駆け抜けています。
若い頃のアバドは覇気がありました。躍動感に富んだその瑞々しい演奏は、今聴いてもまったく色褪せることがありません。
併録の「道化師」はコンサートでは1975年に取り上げています。多分こちらはカップリングのためにチョイスされた曲目でしょう。この「道化師」はそんなにポピュラーな作品ではありませんがプロコフィエフにとって上演された最初のバレエ作品らしく本盤ではやはり9曲が選ばれています。ディアギレフからの委嘱作品です。演奏の方はプロコフィエフらしいリリシズムとグロテスクさを純粋に表現して素直に聴き流せる感じでもあります。