オーケストラ名曲集 ペルシャの市場にて | geezenstacの森

geezenstacの森

音楽に映画たまに美術、そして読書三昧のブログです

オーケストラ名曲集

ペルシャの市場にて

 

曲目/

 

image

 

キング LONDON GT2033-4

1972年発売

 

 

 

 クラシックを聴くようになって初めて買った名曲集がこの2枚組のアルバムでした。今回引っ張り出してきて初めて機がいたのですが、これキングの名物GTシリーズだったんですなぁ。ヴァンガードとかウェストミンスター、オイロディスク、のちには系列のテレフンケンなどは当初からGTシリーズにじゃんじゃん投入されていましたが本家のロンドンレーベルのアーティストはなかなかこのシリーズには投入されませんでした。そんな中で1972年に登場したのが、この2枚組の「ロンドンGTスペシャル2000」シリーズでした。

 

 

 その中でもこの一組は、曲目もさることながら演奏者の顔ぶれがあまり馴染みがなかったので手を出したものです。あとになってわかったことですが、デッカがフェイズ4レーベルを立ち上げた初期にそのラインナップに投入されていたのがここに登場する演奏者でした。購入した当時、見知っていたのはスタンリー・ブラックだけでした。このころのスタンリー・ブラックはフェイズ4に「スペキュタクラー・シリーズ」を発表していて、映画音楽の世界でそのダイナミックな演奏に傾注していました。また別の各国別アルバムの中のロシアものアルバムに収録されていた「ポーレシュカ・ポーレ」は聴きものでした。そのスタンリー・ブラックがクラシックの作品を演奏しているのですから目を疑いました。多分余程のファンでない限りフェイズ4にこんな録音を残していたなんて知らないのではないでしょうか。最初はそのスタンリー・ブラックの「韃靼人の踊り」です。オケはもちろんロンドンフェスティヴァル管弦楽団を指揮しています。録音はもちろんフェイズ4できっちり合唱も入っていますし、各セクションが非常にクリアーに聴こえます。プロデューサーはトニー・ダマート、エンジニアはアーサー・リリーの黄金コンビです。

 

 

 スタンリー・ブラックはロンドン交響楽団やロイヤルフィルともレコーディングを残しています。もう一曲はケムスキー・コルサコフの「熊蜂の飛行」です。スタッフは一緒ですが、オケはロイヤルフィルです。

 

 

 さて、トップにはチャールズ・マッケラス/ロンドン・プロムス交響楽団の「フィンランディア」が収録されています。これは元々はデッカと提携していたRCAのために録音されたものですが契約の関係でこの名前を使っていますが、実態はロンドン交響楽団だと言われています。プロデューサーはマイケル・ウィリアムソン、エンジニアはケネス・ウィルキンソンです。マッケラスはヤナーチェクのスペシャリストとして有名ですが、イギリス生活が長く北欧音楽にも長けていました。

 

 

 実はマッケラスの名前はこの時初めて知りました。そして、次のアーサー・ブリスも同様です。

 

 

 ロバート・シャープレスもこのレコードで初めて知りました。1959年の録音で、彼のレコードはこのケテルビーの作品集が唯一なのではないでしょうか。他で名前を見たことがありません。ここではロンドン新交響楽団と演奏しています。どうも実態のはっきりしないオケですがステレオ初期にはあちこちのレーベルに録音しています。一時はロイヤル・アルバート管弦楽団と名乗っていたようでのちのナショナルフィルのような録音専用のオーケストラのようです。

 

 

 このアルバムではケネス・オルウィンがチャイコフスキーの曲を3曲演奏しています。ケネス・オルウィンは、ロイヤル・バレエの首席指揮者を務めた職人的指揮者でした。デッカは、アンセルメ、ブリテン、サージェントらと同格の指揮者として契約したのです。この最初の録音『1812年』は、デッカのステレオ録音第1号としてLPで発売された音源です。この録音何度も再発されていますが、手元にはデッカアナログイヤーズの中にも収録されていて、そのデータによるとプロデューサーにはエリック・スミス、エンジニアはケネス・ウィルキンソンの名が挙がっています。本物の大砲をぶっ放す当時としては珍しい録音でデッカがハイファイ録音のデモンストレーションにぴったりということで、この録音をファーストチョイスでリリースしたのでしょうなぁ。今聞いてもなかなかの迫力です。

 

 

 締めにはアタウルフォ・アルヘンタのリムスキー・コルサコフの「スペイン奇想曲」が収録されています。彼の名はコロムビアからリリースされたチェント・ソリ管弦楽団のレコードで多少は知っていました。多分カンテルリのような存在になったと思われますが、早逝が惜しまれます。この録音は1957年ですが、翌年には亡くなっていますからねぇ。メリハリのくっきりとした演奏でなおかつ歌心がありますから自然と演奏に吸い込まれてしまいます。

 

 

 さて、この「ロンドンGTスペシャル2000」シリーズ、以下の内容が発売されていました。この中でカラヤン/ウィーンフィルのブラームスとハイドンの交響曲カップリングしたセットが含まれています。ロンドンレーベルとしては全てステレオ初期の録音ですが結構いい内容の演奏が揃っています。