久しぶりのレコードコンサート | geezenstacの森

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久しぶりのレコードコンサート
 

 

 毎月第2土曜日に豊明市図書館2Fでこの「音楽を楽しむ会」が催されているのですが、今月はようやくスケジュールが合って出かけることができました。それも、レコードコンサートということで楽しみにしていました。プログラムは上記の通りですが、小生は一枚も架蔵していない音源でしたので非常に楽しく拝聴させていただきました。

 

 

 こちらが当日セットされていた装置です。最初にかけられるイ・ムジチの「四季」のジャケットが左に立てかけられています。普段のCDの音源やビデオなどは会館備え付けのものを使うのですが、今回は全て持ち込みのオーディオが使われていました。

 

当日使用されたレコードたち

 

 

 ターンテーブルはフォノイコライザーアンプ内蔵のコスモテクノ製のDJ−3000IIIが使われていました。本来なら付属のカートリッジはオーディオテクニカのAT3600Lなんですが、ここでは多分オルトフォンのコンコルドタイプのものに付け替えられていました。

 

 

 アンプはDENNON製のPMA-390REです。プレーヤーがフォノイコライザーを搭載していますからアンプはダイレクトにAUX端子に入力でしょう。クラシック系にはオールマイティーな機種でしょうなぁ。

 

 

 そして、スピーカーはスウェーデン製のオーディオ・プロFS20という機種にさらにツィーターを追加していました。ユニット構成は 2.5cmソフトドームツィーター / 13.3cmスコーカーx2 / 20.3cmウーファーですが、ウーファーが横についているというユニークな構成です。まあ、低域はそれほど指向性はありませんからこれで問題はないんでしょうなぁ。

 

 

 てな構成でコンサートは始まりました。クラシック音楽を聴くにはいい意味でとてもノーマルな構成ではないかと個人的には思いました。

 

 コンサートはイ・ムジチのベストセラー「四季」の夏から始まりました。普通のコンサートなら「春」なんでしょうが、連日暑い日が続いていますからねぇ。それもアーヨ盤ではなく、ミケルッチ盤がかけられました。聞き比べるとわかるのですが、アーヨ盤はホールトーンをたっぷり取り入れたウォームトーンの演奏で、その点ミケルッチ盤はステレオの成熟期に録音されたものとしては演奏、音質ともに最良のバランスが取れています。

 

 

 今回演奏されたレコードの中でピカイチだったのは2曲目の岡村喬生の歌う「夏の思い出」でした。夏に関連しての選曲でしたが、バスの声で歌う岡村喬生の歌声は哀愁とともに深みがあり、聴いていて心にストレートに響いてきました。リアルタイムで彼の歌声を聴いていたものとしてはテノールの立川澄人とともに忘れられない歌声です。どうも調べた限りクラウンに録音した音源はCD化されているようですが、RCAに録音されたこの音源はCDがされてないようです。

 

 カレル・シェイナとがハインツ・レーグナーのドヴォルザークやブラームスは全く未聴の音源でしたので、今回こうして聴くことができたのはこういうコンサートのおかげでしょう。

 

 

 ジャック・ゲステムも初めて耳にする名前でした。もっぱら現代音楽をカルテットで弾いていたようなのでこういうレパートリーは珍しいようです。珍しいのは使われていたレコードがNHK名古屋の放出品ということと、これがフォンタナレーベルで発売されていたということです。こんなマニアックな音源もフォンタナで扱っていたんですなぁ。ただ、こんなポピュラーな音源は20センチ盤が3枚ほど録音されただけということで、非常にマイナーな音源でした。この「ラ・パロマ」はハバネラのリズムで描かれているということで、そのつながりでマリア・カラスのカルメンのハバネラが続きました。

 

 

 カラスはもう一曲、プッチーニの「ある晴れた日に」もかけられましたが、こちらはモノラルの音源でした。もともとレコードの初期はこういうオペラのアリアが一番売れたソースだったのですから記録としてのアリアは貴重なものです。

 

 

 前半最後は渡邉暁雄/日フィルの「管弦楽のためのラプソディ」で締めくくられました。この音源は多分一般市販されていないものなのでしょう。例の日フィルの分裂事件直後に録音されたもののようです。当然、YouTubeにもこんな音源はありません。

 

蓄音機はコロムビア・グラフォノーラNo.212

 

今回はイギリス製の針を使用

 

 SPコーナーではカザルス・トリオの「大公」の第一楽章が掛かりました。

 

 次の江藤俊哉の「ユーモレスク」と「愛の悲しみ」はソノシート音源のものが取り上げられました。何しろこの音源は会社の倒産で音源が消失しているものなので、ソノシートを掛けるより方法がなかったのです。

 

 ディヌ・リパッティのバッハ「イエスよ、わたしは主の名を呼ぶ」です。もちろんこれもモノラルで、冒頭の録音が欠けているということで長らくリリースされていなかった貴重な音源でした。

 

 最後はペルルミュテールの「水の戯れ」でしたが、多分これはコンサートホール盤でしょう。

 

 

 最後は少し時間があったので、岡村喬生のアルバムからタイトル曲の「荒城の月」がかかりました。しっとりとした響きに大満足のコンサートとなりました。

 

追記

 

このコンサートで使用された音源については主催者ご本人の詳しい記事があります。リンクを貼り付けます。