「近代日本の視覚開化 明治」2 | geezenstacの森

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愛知県美術館企画展

「近代日本の視覚開化 明治」2

 

 

 この展覧会、絵画だけでなく結構デイープな明治も取り上げています。地形図に肖像写真、戦場を模したパノラマの解説図、からくり仕立ての家具、印刷物、工芸、陶器など様々です。会場では、思わずこれは美術なのか?と突っ込みたくなるような資料もが並んでいます。

 

 

「明治時代、新しい技術の実用化には、今でいう“美術”が大きく関わっていた」と展示を担当した中野悠学芸員は言います。現代では地図と美術が結び付けられることはあまりないのでしょうが、当時は絵師が地図の作製に携わっていたようです。色彩豊かな木版画の絵地図、河川や稜線などを精緻な線で表現した銅版画の地形図など、目的に応じて多彩な地図が作られていたことがこの展示で分かります。

 

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大日本地図

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日本パノラマ館連合軍天津総攻撃

 

上野パノラマ館日露戦争旅順総攻撃

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浅草公園日本パノラマ館日露戦争南山大激戦

 

 江戸時代、もののイメージを大勢で共有することに大きな役割を果たしたのは、浮世絵に代表される木版画でした。ただ、一枚の版木からは2000枚ほどが限度でした。明治時代でも版画は重要なメディアでしたが、大量印刷に適した石版画と銅版画の技術が普及すると、出版物の種類は格段に増加していきます。

 

 

 

小杉未醒 冒険世界新年附録 奈翁一代双六

 

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「ホトトギス 100号」

 

 明治の開国は、日本の技術やイメージをアピールする場となったのが、国内外で開催された博覧会であったことは疑いがありません。実際、陶磁や漆器、七宝など、高度な技術で制作された日本の工芸は海外で高く評価されていました。こうしたなか、政府は輸出工芸を積極的に促し、多くの職人がその制作に参入するとともに、民間の輸出産業が発達することになっていきます。そこで、第4章では、明治時代に日本から海外に発信された造形に着目し、七宝会社や森村組などの作品が展示されています。

 

七宝会社・竹内忠兵衛 磁胎七宝花鳥文大花瓶

 

飾棚

 

飾棚

 

川本桝吉(初代) 染付花鳥図獅子鈕蓋付大飾壺

 

 

加藤周兵衛(二代)・加藤仙八 染付獣面唐草文ティーセット

 

森村組 色絵金点盛藤文双耳花瓶

 

 森村組はのちに「ノリタケカンパニー」となりノリタケチャイナを世界に知らしめました。

 

 さて、この愛知県美術館の明治シリーズ、この後はさらにディープな「幻の愛知県博物館」という企画に引き継がれます。140年前に大須の地にあったというこの博物館、この存在は知りませんでした。6月30日から始まるこの展覧会、楽しみです。