エフレム・クルツ
チャイコフスキーの三大バレエ
曲目/チャイコフスキー
バレエ音楽「白鳥の湖」Op.20より
1.No.10:情景 2:48
2.No.2:ワルツ 6:56
3.No.13:白鳥の踊りno.4 1:20
4.No.13:白鳥の女王の踊りNo.5 7:20
5.No.20:ハンガリア舞曲 3:02
バレエ音楽「眠れる森の美女」作品66 より
6. 序奏とリラの精 4:04
7. No.8:グラン・パ・ダクション 6:01
8.No.6:ワルツ 4:28
バレエ音楽「くるみ割り人形」Op.71より
9. a.小序曲 15:21
b.No.14c-No.2-行進曲
c.No.12d-金平糖の踊り
d.No.12d-トレパック
e.No.12d-アラビアの踊り
f.No.12c-中国の踊り
g.No.12e-葦笛の踊り
10.No.13:花のワルツ 6:07
ヴァイオリン/ユーディ・メニューイン
指揮/エフレム・クルツ
演奏/フィルハーモニア管弦楽団
録音/1958年3.4月 キングズウェイ・ホール
P:ピーター・アンドリー、R.キンロック・アンダーソン
E:ネヴィル・ボイリング、ロバート・グーチ
東芝EMI AFRC-505
前にも書きましたが、レコード時代エフレム・クルツのレコードは一枚も所有していませんでした。今回中古で初めてし余裕したのですが、なんとこの地やいコフスキーの三大バレエ組曲集はダブルで所有することになりました。今回取り上げるのはFRC盤ですが、少し以前にワールドレコード盤の同名のものも所有しています。それが下のジャケットのものになります。
AW-8507
どちらも原盤番号はレコード番号と一緒です。もともと発売されていた時は原盤は2YJ-1006,7で発売されていますから、もうこの時に日本でオリジナルの原盤が作成されていたということになります。そして、この番号はセラフィム名曲シリーズの廉価版で発売された時もこの原盤番号になっていました。
どうして、この全集ものとワールド・レコードクラブのものだけは原盤が違うのでしょうかねぇ不思議です。曲目は全く一緒です。ただ、一番古いと思われる、ワールド・レコードクラブのものは、解説がいい加減で一部表記が間違っています。
さて、これらのチャイコフスキーの三大バレエ音楽を指揮するが“バレエ音楽のスペシャリスト”と言われたエフレム・クルツ(1900年―1995年)です。市販品としてセラフィム名ハョクシリーズに最初に投入されたのはジョージ・ウェルドン指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団のものでした。クルツのものは1300円盤に値上がりし、新しく発売されたシリーズでようやく登場しています。アメリカ盤のレーベルデザインと同じものに変更になっているシリーズです。
クルツは、ロシアのサンクトペテルブルクに生まれ、ペテルスブルグ音楽学校およびドイツのベルリン音楽学校で学んでいます。1932年から10年間、モンテカルロ・ロシア・バレエ団の常任指揮者として欧米各地で演奏旅行を行い、1944年にはアメリカの市民権を取得しています。そして、カンザスシティ・フィルハーモニー管弦楽団やヒューストン交響楽団で指揮者として活躍後、イギリスにわたりロイヤル・バレエ団の指揮者としても活躍しています。まあ、バレエを得意としているわけです。そして、日本にも三度来演しています。このLPレコードでのクルツの指揮は、“バレエ音楽のスペシャリスト”らしく、全曲を通して軽快な踊りの軽やかさが響き渡ります。
この軽快さは、交響曲や管弦楽曲を得意とる指揮者では、到底出すことが不可能な領域まで達している句読点のはっきりとした演奏で、バレリーナたちは踊りやすかったのではないでしょうか。これは、やはり、エフレム・クルツは“バレエ音楽のスペシャリスト”だったことを再認識させられます。もう一つの特徴は、廉価盤になってからは表記が消えていましたが、ヴァイオリニストとしてユーディ・メニューインがクレジットされていることです。50年代まではメニューインは絶大な人気を誇っていましたからねぇ。まあ、ハイライトでは彼の実力を知らしめる曲はカットされていますからしょうがないところではあります。
三大バレエの中では「眠れる森の美女」は一番上演回数は少ないのではないでしょうか。それもあるのかここでも収録曲数は3曲にとどまっています。
締めはやはり「くるみ割り人形」でしょう。子供が喜びそうな曲が並びますからねぇ。序曲からして、メリハリの効いた演奏でワクワク感が感じられます。
そして、トリは「花のワルツ」です。