レコード芸術1972年12月号 その2 | geezenstacの森

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レコード芸術1972年12月号

その2

 

 昨日のニュースで、この「レコード芸術」が今年7月で休刊になるという報道がなされました。朝日新聞には下記のように報道していました。

 

クラシックCDの専門誌「レコード芸術」が、6月20日発行の7月号を最後に休刊となる。発行元の音楽之友社が3日、発表した。

 創刊は1952年3月で、公称部数は現在10万部。63年から毎年末、日本のクラシック分野の優れた新譜を顕彰する「レコード・アカデミー賞」も主催している。近年の音楽媒体や雑誌を取り巻く環境の変化や、用紙などの原材料費の高騰といった複合的な理由で休刊を決めたという。

 

 最近はレコードメーカーも広告の出稿を減らしていましたし、オーディオメーカーも壊滅状態でしたから経営的には苦しかったんでしょうなぁ。オンラインという方法も考えられますが、小生なんか毎年新年号の「レコード・イヤーブック」を楽しみにしていますから、困りますなぁ。

 

 それは別として、今回のテーマです。年末号ということで総括的な企画が目白押しでした。12月号の目次です。

 

 

 話題盤としては以下のものがピックアップされています。

 

 

 フィッシャー・ディースカウとジェラルド・ムーアによるシューベルトの歌曲集です。今の今待ててっきりEMIの発売だと思っていたのですが、DGGの録音だつたんですなぁ。「冬の旅」は4度目、「白鳥の歌」、「美しき水車小屋の娘」は3度目の録音になるものです。

 

 

カール・リヒターはアルヒーフにバッハのカンタータ選集の第1巻がこの年の12月に発売になっています。

 

 

 アンドレ・プレヴィンはロンドン響の終身指揮者就任し、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」全曲をリリースしています。

 

 

 この当時のマリナー/アカデミーの躍進はすざましいものがあり、専属契約がないこともあり各レコード会社に大量に録音を行なっています。この時もデッカからモーツァルトの交響曲第25、29番をカップリングしたアルバムが発売されています。

 

 

 この頃からザンデルリンクのアルバムがボツボツ発売されるようになり、率いるドレスデン国立歌劇場管弦楽団にも注目が集まっていました。何しろカラヤンがこのオケを使って「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を録音して話題になっていましたからねぇ。そして、ザンデルリンクもブラームスの交響曲全集がこの後発売されています。

 

 

 ルービンシュタインはこの頃グァルネリ四重奏団と組んで盛んに室内楽を録音しています。ここでも、ブラームスとシューマンのピアノ五重奏曲をリリースしています。今ではほとんど忘れられていますが、全員フィラデルフィアのカーティス音楽院出身者で1964年から2009年まで活動していました。

 

 

 アルトゥール・グリュミオーはティボーの再来と言われたほどの才能の持ち主で、子ではパガニーニのヴァイオリン協奏曲を再録音して世に問うています。

 

 

 この年2月に来日したヘルムート・ヴィンシャーマンとドイツ・バッハソリステンがビクターに「音楽の捧げ物」を録音し、この12月に発売されています。ここではヴィンシャーマンが編曲をした、三声と六声のリチェルカーレを前後に配し、真ん中にトリオ・ソナタ、その間に5つに分けたカノンをいれるというバロック建築法の原理に基づいた構成で演奏していました。

 

 

 声楽界ではスペインの名ソプラノ、ロス・アンヘレスが2度目の来日をしています。お得意のスペインものや、時にはギターの弾き語りまで披露したそうです。

 

 さらに、トピックスとしては、こんなものも取り上げています。

 

 

 

 ウィーフィルのこの年のシーズンはケルテス/ブレンデルと組んでの演奏会で幕を開けています。曲目は、ベルリオーズの序曲「海賊」、ベートーヴェンの交響曲第4番、そしてピアノ協奏曲第5番「皇帝」です。公園は9月23、24日でしたが、それに先立つ20-22日に入念なリハーサルが行われました。写真ではボスコフスキーの後を継いだゲルハルト・ヘッツェルがコンマスの席にいます。

 

 

 そのウィーンフィルを退いたボスコフスキー、もともと弾き振りは得意だったのを生かし、ヨハン・シュトラウスの「こうもり」で本格的に指揮に進出しています。小生もこの録音が気になっていて、のちに廉価盤で再発された時には、迷わず購入しました。当時の東芝EMIとしては太っ腹にも、廉価盤にもかかわらず歌詞対訳付きというレギュラー並みの仕様でした。