NSO(名古屋ショスタコーヴィチ管弦楽団)第4回定期演奏会 | geezenstacの森

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NSO(名古屋ショスタコーヴィチ管弦楽団)

第4回定期演奏会

 

 

曲目/

アンコール

ショスタコーヴィチ 交響曲第7番第4楽章コーダ

 

 毎年このコンサートは楽しみにしています。何しろショスタコーヴィチはリアルタイムでその作品が聞けた作曲家で、今回の交響曲第15番は1972年の初演ですからまさに同時代の作品でした。そして、交響曲第13番の方は「バビ・ヤール」のニックネームがついている通り、ウクライナのキーウ地方にある峡谷の地名で、1941年にこの地に侵攻してきたナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺が行われた場所のことです。今の世界情勢からすると、何とも皮肉な巡り合わせです。

 

 ところで、このコンサート当初は16時開催の夜公演だったのですが、いつのまにか14時開催に変わっていました。このせいか、せっかくの充実しプログラムなのに告知が徹底したいなかったのか観客の入りはイマイチでした。もったいないことです。

 

 さて、その交響曲第13番は、独唱、合唱を伴う作品でショスタコの作品の中では流しられている割には演奏機会に恵まれない作品です。wikiにはこの曲については簡単な説明しか書かれていませんが、今回のプログラムには声楽部分の日本語訳が記載されていました。まあ、レコードを手に入れた当初は、ジャケットの世界初録音というのに惑わされて速攻で手に入れたものですが、これが実は海賊盤で、歌詞もこの曲の初演のゴタゴタを反映した改訂版による演奏というものでした。当時はそんなことは知る由もなかったのですが、同時代の音楽としてこの曲を貪るように聴いたものです。こんなジャケットでした。

 

 

 まあ、最近ではオリジナルの歌詞で演奏されるようですから今回もそうだったのでしょうが、それについてはプログラムには書かれていませんでした。第1楽章はこんな内容です。

 

 歌詞見ながら鑑賞すると感慨はまたひとしおです。実演による演奏に接するのは初めてでしたが、第1楽章から気迫のこもる演奏で独唱、バリトン合唱、そしてオーケストラ共々ショスタコを愛する人々の熱意が感じられる演奏で音楽は会場いっぱいに響き渡っていました。下は日本語字幕のあるショルティの演奏です。

 

 

 そして、交響曲第15番です。ショスタコ最後の交響曲は久しぶりの純器楽曲として作曲されたものですが、サウンド的には独創パートが多く、フルオーケストラでの演奏は第1楽章などは10小節しかないという作品です。そして、この楽章にはロッシーニの「ウィリアム・テル」の有名な行進曲のメロディが引用されて全体に散りばめられています。そして、第2楽章はショスタコお得意のコラールになっていますが、現代曲らしく12音技法が使われています。この楽章もフルオーケストラの演奏は13小節しかなく、ソロ楽器の目立つ室内楽的な雰囲気が漂います。ショスタコの作品で特徴的なのは様々な打楽器が登場することで、ティンパニ、シンバル、トライアングル、大太鼓、小太鼓、シロフォン、タムタム、グロッケンシュピール、チェレスタ、カスタネット、ウッド・ブロック、鞭、ヴィブラフォンなどが登場しています。打楽器付きの小生としてはこういうところもショスタコの好きなところです。

 

 

 和田一樹氏の指揮はダイナミックでツボを押さえた指揮は好感が持てます。今年はきっちりリハーサルがなされたのかオケも安定した演奏で、この手のオーケストラコンサートでは稀に見る素晴らしいアンサンブルの演奏になっていました。第1楽章のヴァイオリン・ソロ、第2楽章のチェロのソロも見事で聞き惚れました。いゃあ、実演はいいものです。

 

 そして最後には全楽員が登場して恒例の「レニングラード」の終楽章のコーダが盛大に鳴らされました。そのゲネプロの演奏がツィッタ〜にアップされていました。

 

 

 なを次回のコンサートは2024年3月3日 名古屋市民会館(NTKホール)で開催されます。メインは交響曲第4番だそうです。2000席以上のホールですからしっかり告知をしてもらいたいものです。また、今年の8月19日の東海学生オーケストラ連盟の演奏会ではショスタコの第7番が演奏されるようです。こちらも楽しみです。