12年ぶりの井上道義/N響の第九 | geezenstacの森

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12年ぶりの井上道義/N響の第九

 

ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125「合唱付」

指揮 井上道義

ソプラノ クリスティーナ・ランツハマー

メゾ・ソプラノ 藤村実穂子

テノール ベンヤミン・ブルンス

バス ゴデルジ・ジャネリーゼ

合唱 新国立劇場合唱団 東京オペラシンガーズ

演奏 NHK交響楽団

コンサートマスター 白井圭

 

収録 2022/12/25 サントリーホール 

 

 

 2024年末に引退を宣言している井上道義氏の12年ぶりの第九の演奏会が昨年末開催されました。FMでは当日生配信されましたが、小生は31日の教育テレビでの演奏会を視聴しました。紅白歌合戦には興味がありませんから、毎年、12月31日はEテレで第九とその年の音楽会のダイジェストを見て、ジルべスターコンサートというのがパターンです。

 

 さて、タイトルに12年ぶりとしましたが、2010年は夏にN響と東京文化会館で演奏しています。特別演奏会で定期ではありませんでした。それは下記で記事にしています。

 

 

 このN響定期には思い入れもあったようで井上氏の12月31日のブログでその気持ちを綴っていました。以下そのブログの引用です。

 

{{{道義の第九の演奏会は一旦は一旦ここまでで、筆を置きます。
広島と大阪がありますが、アンコールだと捉えている。この作品を、16歳で初めて聞いたのは日比谷公会堂で日本フィル、指揮はシャルル・ミンシュだった。大学の時、ピアノ2台で友人のピアニスト、楊麗貞、鈴木賀一、相良明子、篠崎史子、喜多容子、大江章子達と尾高忠明ともピアノで弾いたり振ったりはしていた。その後成城合唱団でピアノ伴奏したりもした。
 

 初めて振ったのはニュージーランドシンフォニーオーケストラの30周年記念で僕も30歳だった。その1っ週間前、自宅で母親を右手でぶら下げ肉離れして左手で振る羽目になっていた。
その後いったい何度振ったかわからない。たぶん僕のシンフォニー歴史で一番多く振っている。(でも外山雄三さんの1000回?とは比べないけど)今だから書くが、井上は80年代中頃に、N響と小澤事件を思わせる大喧嘩して20数年間指揮しなかったが、ちょうど其の頃、日本中津々浦々のホール建設ラッシュとともに年末に第九を多くのアマチュアコーラスがチャレンジした時代があった。
 

 どうしたら良いか判らないコーラスもあったのだろう、NHKから声がかかり、「第九を歌おう」という番組の制作に深くかかわり、早稲田のオケと成城合唱団で毎週どうやったら、発音、発声から多岐にわたる第九(特に4楽章)を自分たちのものにできるかという番組をスタッフと雁首突き合せて作ったものだった!

日曜大工のノリだったのかな?面白さ、難しさ、ベートーベンが
この曲を作った歴史などを含めて教材本を作成、10万部が売れ、放送は3年にわたって再々放送されたことがあった。あの番組がきっかけで歌手を目指したという人に何人も会った。だから僕はもう本当に演歌歌手の持ち歌のように、そればかり振った時代があった。・・・・・さすがにその状態にすぐさま
違和感を感じ、隔年でないと第九は振らないように決めた。


 時は過ぎ、マーラー指揮者道義.現代曲指揮者道義、ショスタコ
指揮者道義、コンサートオペラ指揮者など遍歴の後、2013年
北朝鮮で彼の国初の第九を指揮しに行き、帰りにインフルエンザにかかり免疫力が落ち中咽頭がんになった原因を作ったし、3年前はオペラシンガースと北京で第九を振った時にはすばらしいホールと対照的にあまりにひどい練習モラルの北京のオケに居ても立ってもいられずキャンセルして帰国寸前の事件もあった。

 

 今回のN響との2022年の5回の第九でそれに幕を下ろした。そこまでの道のりはドラマなのかも。「井上がN響定期?絶対有り得ない!」と事務長に言われて帰ってきたことあったとは梶本音楽事務所時代のカジモト社長の懐古調のセリフ。26日のサントリーホールという、世界に名を馳せているワインヤード型の典型でのコンサートの後数日して生放送風第九を放送で見聞きしての感想は...ごめんなさい・・・・・「音楽は生でこそ」でした。


 特に3楽章の音色感、距離感、合唱の迫力、4人のすばらしかったソリストの息継ぎ、4楽章のコントラバスの反発力とチェロのガッツ、生の歌声、生の楽器、等々。僕は今このオケを愛してる。もちろん全員とは言えないけれど。それはお互い様だろうな。なんと僕の1月に初演するオペラのテーマは「赦し」だ。

そう、あの3500人のNHKホールでのあの日の演奏を放送技術陣は相当良いアングルで趣味良く捉えていたと思う。「皆様のNHK」の枠を超えていました。これはおべっかではありません。
あっそうそう、白井圭さんの髭、シュール!菅原さん卒団おめでとう。}}}

 

 

 NHKは定期のシュゥロクは初日を収録するため必ずしも最良の演奏を収録しているわけではないのですが、氏の感想では初日の割にかなり満足のいく演奏に仕上がったようです。

 

 12年前の演奏では最初から指揮棒を使わないで指揮をしていましたが、今回は1、2楽章はほぼほぼ指揮棒を使い、3楽章は指揮棒なしで、そしてまた第4楽章は冒頭は指揮棒を持ちましたが途中で指揮棒を使わないシーンも多々ありました。まあ、雰囲気によってスタイルを使い分けているんでしょうなぁ。

 

 井上氏の第九はいわゆる王道のオーソドックスなものでね少しも気を田ラッタところがありません。ただ、その指揮姿を見ていると非常に表情豊かで何百回もこの曲を指揮してきた自信のほどが伺い知れます。

 

 このコンサートの第4楽章の一部がすでにアップされていますので貼り付けておきます。