曲目
ショスタコーヴィッチ/祝典序曲
ベートーヴェン/交響曲第1番
リムスキー・コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」
アンコール
エルガー/エニグマ変奏曲より「ニムロッド」
指揮;田中祐子〈客員准教授〉
演奏:名古屋音楽大学オーケストラ
この水曜日には「名古屋音楽大学オーケストラ第46回定期演奏会」へ出かけてきました。今年は女性指揮者による演奏会の機会が多い様です。今回は9月の新田ゆりさんに続いて田中祐子さんの指揮を堪能することができました。田中さんはこの4月より、名古屋音楽大学の客員准教授としてちゃくにんしていますので、その関係で今年からこのオーケストラの指揮を務めている様です。もともと名古屋市の出身ですから地元への里帰りという側面もあります。
これが今回のコンサートの配置でした。元のプルト数が少ないのでちょっと心配しましたが実際の演奏はなかなかいいバランスで音楽が鳴り響いていました。
第1曲はショスタコの「祝典序曲」でした。生で聴くのは初めての曲です。吹奏楽での演奏も多い曲ですが、それだけ派手で演奏効果もあるのでしょう。今回もステージ上はこの編成でしたが、曲のクライマックス部分ではバンダがオルガン前に登場し、ホルン、トランペットそしてトロンボーンが盛大に吹き上げていました。圧巻の迫力です。本来の作曲者の指定はホルン4、トランペット3、トロンボーン3ですが、そこは大学のオーケストラ専攻学生が多いのでオール四人編成のバンダで華々しく盛り上げていました。
前半の2曲目はベートーヴェンの交響曲第1番でした。この曲、最近はお気に入りの曲で、久石譲/フューチャー・オーケストラの演奏を聴いてから俄然面白くこの曲が聴ける様になりました。田中さんは指揮棒を使わず、10本の指だけで音楽を作っていきます。それも非常にメリハリのある動作で的確に指示を出しています。スタイルとしては最近のベーレンライター版に基づいた演奏といってもいいでしょう。ただ、こういう古典曲ではやはり学生オーケストラの未熟さというものが如実に出てしまいます。冒頭の助走からして音が硬いし、弦楽は揃っていてもアクセントとリズムが硬いのでついつい音楽が前のめりになっていました。
それでも楽章が進むほどに、指揮者の思いが通じていくかの様で、音楽が流れだし音の角が取れてベートーヴェンらしい響きになっていきました。
後半は注目の「展覧会の絵」です。こちらは前半は指揮棒なしで、後半のクライマックスは指揮棒を使って学生を煽りながら音楽を作っていきます。普段我々がCDで聞く演奏はスムーズなつながりで組曲といえどもことつの公共作品として聞いていますが、ここでは原曲がピアノ曲であることを再認識させる様に一つの曲ごとに休止を入れて、曲全体を組み立てていきます。ですから曲のメリハリがはっきりしていて、曲の構造が良く分かり楽しんで曲を鑑賞することができました。
最後は弦楽合奏主体のアンコールのため、メンバーが入れ替わっての演奏になりました。珍しい切り口のアンコールでしたが、学生全員をステージに載せるためにはこういう曲目のチョイスもありなんでしょうなぁ。しかし、今回の演奏は昨年までとは違う新しい風が吹いている様にも感じましたので、これからが楽しみです。
田中裕子さんの指揮ぶりは下のアンサンブル金沢の「ありがとうコンサート」で確認することができます。