吉田拓郎「ぷらいべえと」 | geezenstacの森

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吉田拓郎「ぷらいべえと」

 

曲目タイトル:

 1.夜霧よ今夜もありがとう[4:16]

 2.恋の歌[2:33]

 3.春になれば[3:09]

 4.ルームライト[3:02]

 5.いつか街で会ったなら[3:49]

 6.歌ってよ夕陽の歌を[3:34]

 7.やさしい悪魔[3:24]

 8.くちなしの花[3:10]

 9.赤い燈台[3:39]

 10.悲しくてやりきれない[2:29]

 11.よろしく哀愁[2:44]

 12.メランコリー[3:32]

 13.あゝ青春[3:29]

 

歌/吉田拓郎

ギター/青山轍

キーボード/エルトン永田

ベース/石山恵三

ドラム/内山修

 

録音/1977

FORLIFE RECORDS FLL−5007

 

 

 先日捕獲したレコードで最初に聞いたのはこのレコードです。しばらく前はカバーレコードで大ヒットしたのは徳永英明の「vocalist」シリーズですが、このレコードはセルフカバーも含めて、カバーレコードとして発売され、オリコンヒットチャートで1位を記録しています。

 

 まあ、有名な歌謡曲のポップスアーティストはレコード会社の要望に答えてこういう形のアルバムはいくつも発売されていますが、1位になったのは史上初めてでした。で、件の徳永英明はそれから30年後にソロ男性ソロボーカリストとしてオリコン1位を記録しています。

 

 このジャケットも手作り感満載で、吉田拓郎自身がクレヨン画で書いたものです。7曲目の「やさしい悪魔」拓郎がキャンディーズに提供した曲で、レコーディングには彼自身も参加しています。そのシングルカットされたジャケットの写真から蘭ちゃんをピックアップして描いたもので周りに木を配して加工したものです。そのオリジナルジャケットが下の写真です。

 

 

 このアルバムの中で自作の曲以外のカバー作品は、タイトルの太字で記した4曲だけで、後は全部吉田拓郎が作曲して提供しているものです。そういう意味でも、当時の拓郎の活躍ぶりが伺い知れます。森進一の「襟裳岬」だけではなかったんですなぁ。

 

 このアルバムの中にその「襟裳岬」は含まれていません。74年のヒット曲で、作曲は拓郎でしたから収録されても不思議ではないのですが、見送られています。森進一があまりにも大御所だったから遠慮したんでしょうかねぇ。でも、2002年にはセルフカバーでこの曲を録音しています。それが下の音源です。

 

 

 

 個人的には、このアルバムの中で一番好きなのは4曲目のルームライトです。これは拓郎が由紀さおりに1973年に提供した曲ですが、あまりヒットしませんでした。発売は3月でしたが、5月に拓郎が逮捕されるという事件(金沢事件)が起こり、楽曲の放送自粛やCMの自粛などのあおりで、マスコミに乗らなかったことが影響していました。

 

 

 10曲目にフォークルの代表曲「悲しくてやりきれない」が収録されていますが、このアレンジだけはちよっといただけません。実際この曲のレコーディング時拓郎は風邪をひいていた様でいつもの様な声の伸びがありませんし、どうも全曲を通して一本調子のテンポで、特にこの曲では原曲のイメージとの乖離が激しいといってもいいでしょう。

 

 改めて聴くと、このアルバムの後世に残した功罪というものが感じられるのがわかります。