チューブラー・ベルズ/マイク・オールドフィールド | geezenstacの森

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チューブラー・ベルズ

マイク・オールドフィールド

 

曲目/マイク・オールド・フィールド

A.チューブラー・ベルズ(パート1)- 25:58

B.チューブラー・ベルズ(パート2)- 23:20

 

演奏/マイク・オールドフィールド

 ピアノ、グロッケンシュピール、オルガン、ベース、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、チューブラーベル、ティンパニ、スパニッシュ・ギター、コーラス

ストリング・ベース/リンゼイ・クーパー

フルート/ジョン・フィールド

MC /ヴィヴィアン・スタンシャル 

コーラス/サリー・オールドフィールド 

コーラス/サイモン・ヘイワース、トム・ニューマン

ボーカル /マンディ・エリス 

ドラムス/スティーヴ・ブロートン

 

録音/1972/11 - 1973年春 オックスフォードシャー、 ザ・マナー・スタジオ

EPIC-Virgin PE34116

 

 

 手元にはこのEPIC盤のレコードと、オリジナルCD、ライブ盤、オーケストラル盤CD、さらにはピアノ盤CDと多数所有しているのですが、このブログではピアノ盤しか取り上げていませんでした。という琴で改めてオリジナルのLPを取り上げることにしました。とは言っても小生の手元にあるのは米CBS翼下のEPICレーベルで発売されたものです。オリジナルのLPは英Virginから発売されましたが、このEPIC盤は表のジャケットこそ同じですが、中身もかなり違っています。初期のロットには記載がないのですが、手持ちの1981年プレス盤には、裏面にこれがレイ・ジョーンズによるリマスター盤だと記載があります。ついでに書くと、このEPIC盤は当時のCBSのテレホーク工場で製造されています。レコードにはテレホーク工場の識別コードの「1T」の刻印があります。

 

初期のEPIC盤

手持ちのEPIC盤のクレジット

 

 アメリカでは発売当時はアトランティックレコードから発売されていました。英国ではすでにベストセラーになっていましたが、アメリカでも映画の「エクソシスト」でこのパート1の冒頭が使われたことでヒットします。マイク自身は1974年に第2作となる「ハーベスト」をリリースしているのですが、そのハーベストを蹴散らしてまで、この第1作の「チューブラーベルズ」がロングセラーを続けたのでした。

 

 ちょっと話が横にそれますが、映画のヒットで、当初サントラ盤を発売する予定のなかったワーナーは急遽リリースを決定します。しかし、マイクはこの発売をOKしませんでした。OKを出したのは当時のバージンレコードの社長だったリチャード・ブランソンだったんですなぁ。で、訴訟でもめて、アメリカ国内では発売されたのですが、それ以外の国では発売がストップします。ただ、頭のいい日本人はカバーバージョンを作って収録すれば問題ないだろうとこのエクソシストの部分を「ミスティック・サウンド」という謎の演奏と差し替えてリリースしてしまうのです。この録音は東京でなされているんですなぁ。このころの日本のコピー技術の優秀さはものだけではなかったんですなぁ。てなことで、アメリカ版とその他の国のレコードでは同じサントラでもエクソシストのデーマは違っているというお話でした。

 

 さて、本題に戻ります。「チューブラー・ベルズ」は二部構成となっており、「Part I」は約25分、「Part II」は約23分、LP時代にはそれぞれがレコードのA面とB面に収録され、全体で50分ほどにもなる壮大な作品となっています。「エクソシスト」のテーマ音楽として耳慣れた演奏部分から始まり、少しずつ表情を変えてゆきながら作品は紡がれてゆく。そう、まさに「紡がれてゆく」という表現が似つかわしいような気がします。この作品は、通常の音楽作品のように「作曲」され、「編曲」され、「演奏」されて作り上げられたものではなく、マイク・オールドフィールドというアーティストによって、まさに「紡ぎ出された」音楽であるといえます。分類上はプログレロックなんでしょうが小生にはいい音楽は良いの一言です。

 「Part I」の終盤ではグランド・ピアノから始まり、さまざまな楽器が入れ替わりながら旋律を奏でてゆく構成の部分があります。どことなく、ラベルの「ボレロ」に於ける、少しずつ使用楽器が増えてゆくときの興奮に似たものを感じてしまいます。そのクライマックスでは、作品名ともなった「チューブラー・ベルズ」が高らかに響きます。そう、のど自慢大会の合格の鐘ですな。その瞬間の、心が一気に高みへと舞い上がるような感覚、一気に視界が開けてゆくような感覚には、目眩のような感動を覚えてしまいます。こういう感覚は、ピンク・フロイドの「原子心母」にも通ずる感覚です。この部分では使用楽器の名を告げるナレーションが収録されています。初めて聞いたときには、これには少しばかり戸惑いを覚えたものですが、何度も何度も聴き込むうちに、この「楽器の名を告げる声」さえ音楽の一部を成しているのだと思えるようになってきます。ナレーション入りのブリテンの「青少年のための管弦楽入門」と同じですな。

 

 パート2は美しいマンドリンを中心とした楽曲となっており、ピアノやエレクトリックギター、アコースティックギターを重ねたリリカルで瑞々しい感覚にあふれた内容になっています。本番のレコーディングでは、エドガー・ブロートン・バンドのドラマーであるスティーヴ・ブロートンが参加しています。この後半のハイライトでもあるスティーヴのドラミングは、このレコーディングでマイクの弾くベースラインをガイドにして叩いたという。また曲中の原始人めいた雄叫びは、マイク自身によるものということです。

 

 

 

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