イッセルシュテット
ドヴォルザークのセレナーデ
曲目/ドヴォルザーク
弦楽セレナード ホ長調 作品22
(1) 第1楽章:Moderato 4:05
(2) 第2楽章:Menuetto. Allegro con moto - Trio 6:23
(3) 第3楽章:Scherzo. Vivace 5:38
(4) 第4楽章:Larghetto 5:55
(5) 第5楽章:Finale. Allegro vivace 6:05
管楽セレナード ニ短調 作品44
(6) 第1楽章:Moderato quasi marcia 3:16
(7) 第2楽章:Minuetto. Tempo di minuetto - Trio 6:37
(8) 第3楽章:Andante con moto 5:55
(9) 第4楽章:Finale. Allegro molto 6:23
指揮/ハンス・シュミット・イッセルシュテット
演奏/北ドイツ放送交響楽団
録音/1963/12/18-22 大音楽堂、ハンブルグ
P:ハンス・ウェッバー
E:クラウス・シャイベ
ヘリオドール MH 5053
このレコードは、グラモフォンのヘリオドールシリーズから第3回発売で登場したものです。ヘリオドールは1000盤ブームの最終コーナーで登場したもので、第1回から第3回まで発売されました。ただ当時は、オイルショックが始まりこの第3回目はちょうどその境目に発売されています。この第3回では、フリッチャイの指揮でモーツアルトのフィガロの結婚が発売されています。この3枚組のオペラはフリッチャイ唯一のステレオ録音で、このセットは大盤振る舞いで日本語の歌詞対訳がついていました。1000円盤で歌詞対訳つきはオペラではこれだけだったはずです。
このイッセルシュテットのブラームスも発売当初は1000円盤で発売されています。ただし、すぐに1300円番に値上げされました。ジャケットの帯には1000円の価格の上に1300円のシールが貼られています。多分当時は躊躇しながら買ったんでしょうなぁ。何しろヘリオドール盤はこの1000円盤でもステレオとモノラルのレコードが混在していました。また、ヘリオドールシリーズはその前の1200円盤の時は、モノラルを疑似ステ化して発売されました。ここでは、ベームのブラームスの第2番、フリッチャイの管弦楽のための協奏曲、ヨッフムのモーツアルトのレクイエムもモノラル録音で投入されていました。こんな状況ですから、当時の乏しい情報の中ではレコード店の店頭で商品を確認するしか方法がありませんでした。そんなことで、購入が遅れたんでしょう。
このイッセルシュテットのドヴォルザークは2曲のセレナードが収められていると言う珍しい1枚でした。当然一般的には弦楽セレナードの方が有名なのでしょうが、小生にとっては管楽セレナードの方が興味がありました。何しろこの曲の第3楽章が当時のFMで流れていた日立のLo-Dスピーカーのコマーシャルのバックに使われていたからです。ただそんなことを覚えている人は少ないでしょうなぁ。何しろYouTubeにもそういう古いコマーシャルはアップされていません。
最近の演奏ではやたらゆっくりとしたテンポで演奏されることが多いのですが、ここではイッセルシュテットは軽快なテンポでこの曲をまとめています。第一楽章からしてもセレナードの特徴をよく捕まえた演奏で、楽師の登場を思わせる愉快な行進曲風のメロディーを軽快に演奏しています。
第二楽章はメヌエットですが、ここで聴かれるのはチェコの舞曲を思わせる旋律がたくさん取り入れられていることです。この時代のドヴォルザークの作品番号を調べてみると、スラブ舞曲の第1集が作品46、またチェコ組曲が作品39として知られています。まさにこの時代ある種の傑作の森が形成されています。多分に民族色豊かな旋律がお互いの作品の中に生かされているのでしょう。そういう作品群の中での位置づけとしてイッセルシュテットはこの作品を演奏しているように思われます。
この楽章が一番馴染みのある楽章です。クラリネットとオーボエの二重奏を低弦が支えるこの構造は当時はCMながら聴き入ったものです。この情緒的な暖かさと哀愁を帯びた旋律はこのセレナードの白眉と言えるのではないでしょうか。それをイッセルシュテットは絶妙なバランスで描き出しています。
この第4楽章にはまた行進曲風な旋律が出てきますし、最後には第1楽章のマーチが現れて楽師たちが退場していきます。ドヴォルザークのライトモチーフ的な使い方はもうこの頃からあったのですなぁ。
こんなことで、このレコードB面は頻繁にターンテーブルに乗せた記憶があります。
さて、本来はレコードのA面に収録されている弦楽セレナーデです。普通はチャイコフスキーのセレナーデとセットで収録されることが多い曲です。そのチャイコフスキーは甘く華やかなメロディに包まれているのと比較して、そこはかとなく哀愁を帯びた旋律でやや渋い印象を持っています。そんなことで、チャイコフスキーと組むとB面に回ってしまう曲でもあります。いい曲なんですけどねぇ。
それと同じように、このイッセルシュテットの指揮もそれほど特徴は感じられません。幾多の名演の中ではちょっと没個性で特色がありませ。まあ、そんなことでここでも後で取り上げています。
この録音は最近では2010年にタワーレコードからCD化されました。
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