ジョイ・オブ・クラシック
リヒャルト・ワーグナー
曲目/
CBSソニー SOCF173-174
こんなレコードは知りませんでした。ただ、レコード番号のSOCF企画は「ブルーノ・ワルター不滅の1000シリーズ」で使われていたものです。まあ、後に1200円に値上げされました。ということで、このレコードは2枚組2,400円だったようです。
米CBSはほとんどオペラには手を付けていませんでしたから、お抱えのワルター、ブーレーズ、バーンスタイン、オーマンディ、そしてセルに至るまでここに収録されているのはオーケストラナンバーが主体です。唯一スウィトナー/ベルリン国立歌劇場管弦楽団の演奏だけがルネ・コロのテノールををフューチャーした曲目を収録しています。これって、エテルナから発売されたものの音源と同じなんですが、1972年に独CBSからも発売されていました。下がその写真です。
独CBS 77283
ということで、このレコードに収録されたのでしょう。ただ、曲目はめっちゃマイナーなものです。それよりは多分オーマンディの合唱曲のほうが存在感はあるでしょう。モーマン合唱団と一緒に録音したものです。このモーマン合唱団は以前はモルモン教会合唱団とクレジットされていました。
さて、冒頭のブーレーズの「トリスタンとイゾルデ」は1972年の録音ですから、このレコードは当時の最新録音が投入されていることになります。ちなみにブーレーズは1967年に大阪国際フェスティバルのバイロイト引越し公演でこの「トリスタンとイゾルデ」を指揮しています。この時期、本家では「パルジファル」しか振ってませんからこれは貴重な録音でしょう。
一番多く収録されているのはセルによる演奏です。レコードの一面分がセルに当てられています。クラシックを聴き始めた頃、最初に接したのがこのセルの「ワルキューレの騎行」でした。もともとはオペラの音楽ですから本来はこの曲は単独で演奏されません。それをなかなか劇できなコーダのまとめ方をしているのがこのセルの演奏でした。のちに、ストコフスキーのまとめ方と随分違うことを知らされましたが、すっきりとしたまとめ方はこのセルの演奏に軍配が上がりました。
このレコードではワルターは「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲が収録されています。ワルターは『リエンツィ』以降のワーグナーのオペラをすべて劇場で指揮した経験を持っていましたから1枚だけ残したワーグナーの管弦楽アルバムは名演ぞろいです。その中でも、この「ニュルンベルクのマイスタージンガー」はアルバムの中で最後に録音されたものになっています。
ところで、このアルバム最後に変化球としてグレン・グールドの演奏でピアノ版の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が収録されています。普通のアルバムならこんな収録の仕方はしないでしょうなぁ。
でもって、このレコードの解説は別刷りのペラ紙で、見開きのジャケットは「ワーグナー談義」として、ワーグナーにまつわるエッセイを諸井誠氏が書いています。それも、このグールドの演奏するワーグナーのアルバムの話題から始まっています。面白い凝り方をしている2枚組のレコードです。今のソニーではこういう一捻りした企画のCDは考えられないでしょうなぁ。