マルティノンのビゼー | geezenstacの森

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マルティノンのビゼー

 

曲目/ジョルジュ・ビゼー

交響曲第1番ハ長調

1.第1楽章 6:42

2.第2楽章 9:11

3.第3楽章 4:25

4.第4楽章 6:11

組曲「美しきパースの娘」

5.前奏曲 4:03

6.セレナード 2:05

7.行進曲 3:06

8.ジプシーの踊り 2:39

翔君曲「子供の遊び」op.22

9.行進曲 2:03

10.子守唄 2:41

11.即興曲 1:01

12.二重奏 2:51

13.ギャロップ 1:37

 

指揮/ジャン・マルティノン

演奏/フランス国立放送管弦楽団

 

録音/1971/02 パリ

P:エレン・ヒックマン

E:ハインツ・ヴィルトハーゲン

D:ヴェルナー・マイヤー

 

DGG MG2339

 

 

 初出で発売されたレコードです。なぜか廉価盤で再発された時には別のデザインになっていて、オリジナルのモネの「庭園の婦人たち」は使われませんでした。

 

 そもそも、このレコードはついぞレギュラーで発売された時はみた記憶がありません。マルティノンとドイツ・グラモフォンが結びつかないんですなぁ。アナログ末期のマルティノンはEMIやエラートによく録音を残していたイメージはありますし、初期はRCAにシカゴ響と、またパリ管弦楽団とはデッカというイメージでしかありません。

 

 で、調べてみたらこのDGGにはLP4枚分の録音を残していました。ただ、純粋にオーケストラものはこの1枚だけのようです。最初はビゼーの交響曲第1番ハ長調です。マルティノンはシカゴ響時代にこの曲を録音していますから2度目の録音ということになります。

 

 第1楽章はシカゴ時代よりも早い点゜で畳み掛けるような演奏になっています。どちらかというとリズムを重視した演奏で、この曲がバレエ音楽としても演奏されることを念頭に置いた演奏になっている気がします。シカゴ響時代もそうですが、提示部の反復はありません。

 第1楽章との対比で第2楽章のテンポはやや遅めのテンポで進めていきます。この対比がシカゴ響よりも際立っています。もともとオーボエが哀愁を帯びた旋律を切々と奏でていきますが、バレリーナがソロでスポットを浴びながら踊るシーンを連想してしまいます。

 第3楽章は淡々としている中を弦楽セクションが流れるようなメロディを歌っていきます。

 終楽章も煽ることのないテンポでしっかりメロディを刻みまるでバレエに寄り添うような表情付です。弦は歌い、管楽器のソロはくっきりと浮き上がらせるバランスの取り方で、きっとバレエも踊りやすいのではないでしょうか。それほどまでに客観的な目を持ったアプローチで曲を進めていきます。ちなみに全体の音楽づくりは、2つの録音で大差はありません。下にタイミングを載せておきます。

シカゴ響  7:09  8:56  4:27  6:01   計 26:33

ORTF     6:43    9:11      4:25    6:11         計 26:30

 

 

 2曲目は組曲の「美しきパースの娘」です。もともと4幕のオペラにつけられた音楽でここでは、主に第2幕の「ジプシーの情景」で使われた音楽で構成されています。ヒゼーといえば「アルルの女」や「カルメン」の組曲が知られていますが、この「美しきパースの娘」の組曲もビゼーらしい美しい旋律にあふれた組曲で、最初の前奏曲などハープの優しい旋律から始まり、セレナードなども弦楽合奏曲としては聴きどころのある曲になっています。さすが、この作品からアルルの女に転用された「メヌエット」こそ含まれていませんが、終曲などその面影を感じさせてくれます。

 

 

 3曲目の「子供の遊び」もマルティノンは歯切れのいいリズムで自国の作曲家へのオマージュを感じさせるしゃれた仕上がりになっています。しかし、なんでこの一枚だけがグラモフォンに録音されたのでしょうかねぇ。演奏は申し分ないのですが、録音がいかにもDGGの音といった風情でドンシャリ型に収録されているのが残念です。これなら、EMIかエラートに録音してくれたほうが良かったのにと思われてしまいます。音は古いですが、パリ音楽院管弦楽団と録音したデッカの音の方がまだフランスらしさを感じさせてくれます。