カンゼルのオーケストラル・スペクタキュラーズ | geezenstacの森

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オーケストラル・スペクタキュラーズ

エリック・カンゼル

シンシナティ・ポップス・オーケストラ

 

曲目/

1.Rimsky-Korsakov: Milada - Procession Of The Nobles    4:36

2.Dukas: The Sorcerer's Apprentice    10:51

3.Weinberger: Schwanda The Bagpiper - Polka    2:25

4.Weinberger: Schwanda The Bagpiper - Fugue    6:03

5.Saint-Saëns: Samson & Delilah - Bacchanale    7:27

6.Liszt: Les Préludes    16:02

7.Rimsky-Korsakov: The Snow Maiden - Dance Of The Tumblers    3:53

 

指揮/エリック・カンゼル

演奏/シンシナティ・ポップス・オーケストラ

 

録音1985/05/04、06/01,02 ミュージック・ホール

P:ロバート・ウッズ

E:ジャック・レナー

 

TELARC CD−80115

 

 

 CD初期にはテラークというデジタルのハイファイに特化したレーベルで華々しく活躍したエリック・カンゼルですが、今ではすっかり忘れ去られています。テラークというレーベル自体2009年に活動を休止していますから致し方ないことでしょう。そして、カンゼル自身も膵臓、肝臓と大腸癌でこの年の9月1日になくなっていますから、期せずして一時代が終わったということなのでしょう。

 

 カンゼルはシンシナティポップスの後継に「ジョン・モリス・ラッセル」を指名しましたが、日本では全く知られていません。この2022-2023シーズンまではシンシナティポップスを指揮しているようです。

 

 さて、このCDはCD初期に発売されたものです。この当時はテラークのレコードはドイツテルデックでのみプレスされて全世界に供給されていました。CDは米Sony DADCでしかプレスを許しておらず、このCDもメイド・イン・USAとなっています。まあ、のちには日本の技術の優秀さが認められて、LPでは1984年頃に、日本フォノグラムの企画「テラーク2000」シリーズでの発売に於いて、日本ビクターでのカッティング&プレスを許した程度で、CDでは、CD発売当初の日本のCBSソニーと松下電器(いずれも1980年代のみ)と、2000年過ぎに日本のユニバーサルミュージック向けのシリーズ企画での生産に於ける日本の一部の会社のみで製造されました。きっちり品質を管理していましたので、このライナーにも録音に使った機材等のデータがきっちり書かれています。

 

 

 このCDは「オーケストラル・スペクタキュラーズ」と銘打って発売された「スペクタキュラー」シリーズの先鞭を切ったものですが、今ではすっかり忘れ去られています。なにしろ、カンゼルはテラークに90枚以上の録音を残していますし、それ以外にもファンファーレやVOX、ターンナバウト、MMGにも録音を残しています。

 

 曲目的には、ポップス路線を狙った選曲とアメリカ市場を意識した内容になっていて、日本ではちょっと受けなかったのかもしれません。一応、デュカスの「魔法使いの弟子」やサン・サーンスの「バッカナーレ」、リストの「前奏曲」なんかも含まれてはいますが、全体としては地味なアルバムです。下はのちにVOXレーベルに再録したリムスキー・コルサコフの歌劇「雪娘」の「軽業師の踊り」です。基本的な解釈は変わっていません。しかも、これを聴くとテラークの音が必ずしも優秀とは限らないなぁと思えてしまいます。