カラヴェリ・プレイズ・聖子 | geezenstacの森

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カラヴェリ・プレイズ・聖子

 

収録曲/

1.JOLIE PETITE FLEUR [3:42]

 シングル「赤いスイートピー」 

2.UN CADEAU [4:41]

 アルバム『Pineapple』収録「P・R・E・S・E・N・T」 

3.PARASOL BLANC [3:16]

 シングル「白いパラソル」 

4.BALCON SUR LA PLAGE [3:36]

 シングル「渚のバルコニー」 

5.AU GRE DU VENT [3:46]

 シングル「風立ちぬ」 

6.LES AMANTS EN PLEIN HIVER [4:35]

 アルバム『Candy』収録「真冬の恋人たち」 

7.AU PETIT MATIN TRANSPARENT [3:48]

 アルバム『Pineapple』収録「水色の朝」 

8.L’ILE BLEUE A DEUX [3:45]

 シングル「青い珊瑚礁」 

9.ETUDE POUR UNE ROSE SAUVAGE [4:03]

 シングル「野ばらのエチュード」 

10.JARDIN SECRET [3:22]

 シングル「秘密の花園」 

11.DEMAIN,JE SERAI…… [4:17]

アルバム『Candy』収録「未来の花嫁」 

12.LA CHANSON DE SEIKO [4:00]

 カラベリ作曲によるオリジナル曲「9月のモンマントル」 

 

編曲/大村雅朗

演奏/カラヴェリ・グランド・オーケストラ

D:辻井雅子

E:鈴木智雄、斉田あとむ、ジャン・クロード・エグレッテュー

録音/CBS信濃町スタジオ

発売/1983/08/25

 

エピック 20-3P+456

 

 

 今の時代全く見向きもされないイージー・リスニングのレコードです。化石ですな。そんなこともあり、CDで再発腫れることもないでしょう。このレコードの存在は知っていましたが、まさか手に入るとは思っていませんでした。

 

 一人のアーティストに焦点を当てて、その楽曲を一つのアルバムにまとめるという手法は、アバやフリオイグレシアスなど人気アーティストに対してカラベリが挑む得意技だが、日本の松田聖子もセレクトされたということでしょう。まあ、当時のイージー・リスニング・オーケストラの中で日本のレコード会社の要望を聞き入れてくれたのは多分ポール・モーリアとこのカラベリぐらいなもんでしょう。

 

 世界各国を巡業中にフランス音楽界の重鎮、レイ・ヴァンチュラに認められ、「カラベリとマジック・バイオリンズ」を結成しています。1964年にCBSフランスレコードと契約を交わし、「カラベリときらめくストリングス」と改称、さらに1977年、最終的に「カラベリ・グランド・オーケストラ」となりました。

 

 このアルバムの発売当時の1983年、松田聖子は日本で随一のアイドル歌手で、さらに松任谷由美や大瀧詠一、松本隆、財津和夫といった一流のライターが曲や詩を書くという、アイドルを越えたポップスアーティストの名をほしいままにしていました。聖子カットという髪型が日本の女性に蔓延したり、ぶりっ子という言葉が使われたのもこの頃。そういうセンセーションを巻き起こしていた松田聖子にカラベリが注目したことは不思議でははありません。まあ、さういう流れの中で企画されたのがこの録音なんでしょう。ただ、このアルバムストリングセクションはほぼカラベリのオーケストラですが、その他の部分は日本人ミュージシャンが参加していて、せっかくポップなフレンチサウンドに包まれた聖子サウンドを期待したものにとってはいささか残念なものになっています。

 

 というのも、アレンジが大村雅朗しで、松田聖子のヒット曲の数多くを彼が手がけているということで、編曲そのものがボーカルのないカラオケレベルのサウンドになってしまっているのがそもそもの要因なんでしょうなぁ。アルバムを聴いているとどうもアレンジに厚みがなく、よく有線放送で流れている歌謡曲のインスト版にしか聞こえないのだ。つまりこれらの曲は、あくまでも松田聖子のボーカルのために作られた曲であって、ボーカルなしでは成り立たない宿命なのでは、と思ってしまいます。もう少しカラベリのセンスが前面に出た形の方がよかったのではと思えてしまいます。何となれば、以下の日本人ミュージシャンが参加しています。

・Drums:渡嘉敷祐一/青山純    

・E..Bass:美久月千晴/高水健司(&Acoustic)/富倉安生

 ・E.Guitar:松原正樹/矢島賢/今剛    

・A.Guitar:吉川忠英     

・Keyboards:山田秀俊/大村雅朗

・Glocken:金山功     

・Percussious:斉藤ノブ

・Fluto:衛藤幸雄

・Horn:沖田晏宏/笠松長久

・Flugen Horn:数原晋

・Harp:山川恵子

・Synthesizer:松武秀樹     

・Choras:山田秀俊

 

もうほとんど日本のスタジオ・ミュージシャンです。微かに

・1st.Violon, Violon Solo:Lionel Gali 

・Saxophone:Pierre Bourgoin

・Hautbois:Claude Maisonneuve  

・Fluto:Raymond Guyo  

・Flugen Horn:Pierre Dutour  

・Synthesizer:Parick Vasori 

という名前がクレジットされているに過ぎません。

 

 さて、2019年4月1日に、カラベリは亡くなっています。日本ではその訃報はほとんど報道されませんでした。まあ、こんな状況ですから、このアルバムが再発される望みはほぼないと言っていいでしょう。まぁ、YouTubeに音源が上がっていましたのでこちらで偲ぶことはできます。