貨幣・浮世絵ミュージアム
今まで赤塚の交差点のやや南にあった「UFJ貨幣資料館」が閉館し、栄の伏見の地で新しく「貨幣・浮世絵ミュージアム」として、2021年11月29日にオープンしています。コロナ下でしたので外出を控えていましたが、今回初めて出かけて見ました。以前は単独の建物として存在していたのですが、移転では三菱UFJ銀行名古屋ビル1階に入居しています。まあ、元々この地の地下階にあったのですから里帰りといってもいいのですが、ビルの中にあるということでちょっと入りにくくはなっています。
これが施設の入り口になります。広小路通側からが入り口になります。
世界の貨幣
名前の通り貨幣資料館としては充実しています。何しろ、紀元前から現在までの貨幣など、関係資料約1万点を展示しています。
現在公開されているのは、浮世絵師・ 一立齋廣重いちりゅうさいひろしげ ( 歌川広重うたがわひろしげ 一世)(寛政9年(1797年) - 安政5年9月6日(1858年10月12日)が描いた「佐野喜版」と言われるものです。「佐野喜版」は、江戸時代の天保11年・1840年頃(天保11年は、今から182年前)に佐野屋喜兵衛(喜鶴堂)により出版されました。
「東海道つつき繪(東海道続き絵)」「五十三次風景写真」とも記されています。狂歌が添えられているため「狂歌入東海道」「狂歌東海道」などとも呼ばれます。この中から、今回は前半に当たる日本橋から袋井宿までが展示されています。
こちらの方は以前と変わらないスペースで、とても全作品が提出できる広さではありません。タイトルの浮世絵はほぼ広重の作品が中心ですから、広重ミュージアムといってもいいでしょうな。
この狂歌入りは半型が小さいのでびっくりします。ここに繊細な広重の絵と狂歌が読み込まれていますから驚かされます。スタートの日本橋です。
日本橋
たゞ一すぢに
都まで
遠くて 近き
はるがすみかな
あのや幸久
松吟庵清風
うちかすむ
色のゆかりの
ふぢ沢や
雲井をさして
登る春かな
*雲井は「皇居のある所」「都」のことをさします。
梅香居
春風に
向むかいて田村を
すぎ行けば
真袖まそでに匂におふ
梅にかん原
*保永堂版では雪景色の菅原ですが、ここでは梅景色です。真袖」は、「左右の袖」「両袖」のことです。
豊林堂鄙住
せんべいの
やうな蒲団ふとんを
きせられて
客のふくれる
袋井のやど
奥に見えるのが袋井の宿場なんでしようか。当時の袋井はこんな噂が立っていたのでしょう。「ふくれる」と「ふくろい」で、頭韻を踏む。
とまあ、こんな狂歌版の五十三次が展示されています。保永堂版の展示では全作品が2段で全て展示されていましたが、今回は出し惜しみのようです。半が小さいので全点展示でも良かったのになぁと思ってしまいます。
後半は展示入れ替えの後、8月3日から公開されます。