ハーレム・ノクターン ユナイト・ソロ・ムード
曲目/
A
1.ハーレム・ノクターン・・・ジョージ・オールド
2.霧のサンフランシスコ・・・フェランテとタイシャー
3.ムーン・リバー・・・アル・カイオラ
4.アット・ラスト・・・ラルフ・マーテリー
5.ミスティ・・・ジョージ・オールド
6枯葉・・・フェランテとタイシャー
B
1.ストレンジャー・イン・パラダイス・・・アル・カイオラ
2.夢・・・ラルフ・マーテリー
3.マンハッタン・・・ジョージ・オールド
4.引き潮・・・フェランテとタイシャー
5.愛さずにはいられない・・・アル・カイオラ
6.グッドバイ・・・ラルフ・マーテリー
テナー・サックス/ジョージ・オールド
ピアノ/フェランテとタイシャー
ギター/アル・カイオラ
トランペット/ラルフ・マーテリー
日本コロムビア PS−1147-UA
1965年に発売されたアルバムです。この当時は「ユナイテッド・アーティスト・レコード」は日本コロムビアが発売兼ホモっていたのですなぁ。
ただ、このレコードは日本国内向けのコンピュレーションレコードであったようでネットで検索してもこのレコードはかすりもしません。面白いのはジャケット・タイトルの「Solo Mood」で検索すると下のようなアルバムが引っかかりました。
こちらはポール・ウェストンの1956年のアルバムです。書体こそ違え、そっくりのデザインでびっくりしてしまいます。ただし・このアルバムは米コロムビアから発売されたもので、モノラルで収録されたビッグバンドで演奏されたmood musicものです。
しかし、ここで取り上げるコロムビア盤は全てUAのアーティストによるステレオ録音盤です。当時のUAは下記のようなレーベルデザインでした。懐かしいですなぁ。ジャケットは当時の主流のペラジャケットですが、盤質はしっかりしていて、何よりも前オーナーはほとんど針を落としていなかったようでほぼ新品です。
マトリックス番号はUA-358-185、186で初プレスものです。アーティストの中でフェランテとタイシャーのアルバムはこのブログでも以前取り上げていますし、アル・カイオラは映画音楽ものの演奏で当時はよく聞いていました。しかし、そのほかのアーティストは初めて聞く名前です。
A面トップのテナー・サックスのジョージ・オールドは日本に来日したこともあるテナー奏者です。ここではピアノとベースのバックでなかなかムーディに演奏しています。当時日本でのテナーの第一人者といえばサム・テイラーでしょうが、変にこぶしを効かせて歌謡曲なイズしていないところは好感が持てます。
霧のサンフランシスコはトニー・ベネットの歌声で知られていますが、もう一つ「思い出のサンフランシスコ」というタイトルも使われています。ここでは2台のピアノによるフェランテとタイシャーの演奏で収録されていますが、左右に広がるピアノの調べは非常にレコード的で楽しめます。ストリングスに乗って掛け合い風に響き、さらにコーラスも加わりゴージャスな演奏になっています。
ムーン・リバーは冒頭からギターソロがオーケストラの響きに乗って始まり、時には主旋律を中間部ではサブの旋律を弾きながらストリングスや金管のホルンと渡り合っているところが楽しいですねぇ。
もう一曲、「ストレンジャー・イン・パラダイス」では一転して小鳥のさえずりで始まり、スティールギターや波紋通りガンが響くハワイアンのスタイルで演奏されます。旋律はボロディンの「ダッタン人の踊り」ですから意表を突かれます。まったく雰囲気が異なりますので驚いてしまいます。
そういう点ではフェランテとタイシャーのピアノによる「引き潮」もハープの調べこそ含まれていませんが、しっとりとしたピアノの音色が旋律と和音に別れ、そこにストリングスの調べが打ち寄せる波のようなアレンジでサポートします。いいアレンジです。
アルバムを占めるのはラルフメマーテリー楽団の「グッド・バイ」です。トランペットソロは自らが演奏し、ダンスバンド編成の古き良き時代の響きを伝えてくれます。