ウェルナー・ミューラー ロマンスへのいざない | geezenstacの森

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ウェルナー・ミューラー

ロマンスへのいざない

 

曲目/

A1 Clair

A2 Theme From "Lost Horizon"

A3 Love Theme From "The Godfather"

A4 There From "Love Story"

A5 Love Theme For Laura From "The Thief Who Came To Dinner

A6 Night In White Satin

B1 Mouldy Old Dough

B2 Let's Stay Together

B3 With You Gone

B4 You're A Lady

B5 Learn To Love (And Learn To Live)

B6 The Impossible Dream From "The Man Of La Mancha"

 

演奏/ウェルナー・ミューラー・オーケストラ
 
録音/1973
P:レイモンド・ヒュー
E:アーサー・リリー
キングレコード SLC 9002
 
 
 昨年十二月に浜松遠征時に捕獲したレコードです。1973年の発売になるウェルナー・ミューラー楽団のリラックス・ミュージックシリーズの一枚です。フェイズ4録音になるもので、70年前後のポップスの名曲が収められています。ジャケット帯にはノイマン生の最新カッティングヘッドの「SX-74」が使われていることをアピールしています。それまではSX-68が最新のカッティングシステムでしたが、70年の4チャンネル時代を経過して新しいSX-74へバージョンアップしました。レコードの見開きの中にもこのシステムの説明が載っています。

 

 

 ということで、この「リラックス・ミュージック」シリーズは最新のシステムでカッティングされて発売されました。ところがこの1973年、例のオイルショックが襲います。このシリーズ最初は2,000円で発売されましたがすぐに2,300円に値上げされました。レコード業界にとって原材料の塩化ビニールの値上がりが直撃した形です。現在発売される神父のレコードが軒並みCDより高価なのはまたぞろ最近の原材料高が拍車をかけている格好になっています。

 

 また、このレコードは4チャンネルとしてはCD-4方式で発売されています。こちらは最初から2,500円で発売されました。

 

4D(L) 18

 

 さて、当時のイージーリスニングのアルバムは各国により、その収録内容が異なっているのが一般的でした。何しろ国ごとにヒット曲が違うからです。このウェルナー・ミューラーはリカルド・サントス楽団から本名のウェルナー・ミューラーに名前を変えてからはドイツのテルデックに移籍していました。ということで、オリジナルはテレフンケン(現在のテルデック)録音ということになります。そして、ドイツでの発売タイトルは日本盤でもA面のトップに収録されている「クレア」がアルバムタイトルになっていました。

 

SLK 16907-P

 そして、収録曲は、

Mouldy Old Dough    3:19

Thema Aus „Der Pate“    3:30

Nights In White Satin    3:03

Amen    3:04

You're A Lady    4:30

Clair    3:02

A Whiter Shade Of Pale    3:13

Let's Stay Together    3:34

What A Wonderful World    2:20

Spiel Mir Das Lied Vom Tod    2:54

L'important C'est La Rose    2:18

Banana Boat Song 2:50

となっていて、曲目もかなり違っていて、共通曲は下線を引いた4曲だけとなってます。

 

 ただ、日本盤は英デッカ盤に準拠していて、「Learn To Love」と同じタイトルで発売されました。ジャケットデザイン、曲の配列は全く違いますが、内容的には一緒です。

 

SP44193

 

 この時代のウェルナー・ミューラーはどちらかというと土庵で人気のあったジェームズ・ラストに近いスタイルの演奏を行なっています。日本盤やロンドン盤ではクレジットされていませんが、ドイツ盤ではブラスがメインのサウンド構成になっていて、この時すでにトランペットのホルスト・フィッシャーやボブ・ポウルの名前が登場しています。そして、これもクレジットされていませんが、コーラスも多用されています。ドイツ盤だけコーラスとオーケストラという表示があり、きっちりしています。さすがドイツですなぁ。

 

 また、ポップスのイージー・リスニング関係は有名どころはほぼフェイズ4方シクで発売されていました。もちろんこのアルバムもその方式で収録されています。各楽器の分離が良く、まさにスタジオ録音の特性がよく活かされた録音になっています。ただ、この時代のポップスはクラシックはから言わせるとストリングスが右から聴こえるという違和感のある収録になっていてどこか尻の座り心地の悪い気分がしないこともありません。

 

 また、このころのイージーリスニングの特徴は映画音楽がかなりのウェイトを占めていて、ここでも半分の6曲がそういうもので占められています。これは小生だけの問題かもしれませんが、こういうイージーリスニングで奏でられる映画主題曲に触発されて当時はよく映画を観に行ったものです。ところが昨今はイージーリスニングが廃れて映画音楽をインストルメンテルで演奏するということがほとんどないことで、全く映画を見る機会が減っています。イージーリスニングが映画と結びついていた時代はもう過去の遺産となっているんですなぁ。