疾風ロンド
著者:東野圭吾
出版:講談社 講談社文庫
雪山に隠された生物兵器を探し出せ! 大学の研究所から強力な生物兵器「K-55」が盗み出された。大学を脅迫してきた犯人は、なんと直後に事故死してしまう。上司の東郷に生物兵器の回収を命じられた中年研究員・栗林は犯人が遺したテディベアの写真だけを手掛かりに、中学生の息子・秀人と共に里沢温泉スキー場に向かう。栗林はそこで出会ったゲレンデパトロール隊員・根津やスノーボード選手・瀬利千晶の協力を得て「K-55」を探索するが、妨害する魔の手が…。ゲレンデを舞台に二転三転する事件の行方は!? ---データベース
書き下ろしで文庫発売ながら、発売10日で100万部を売るというベストセラーになった小説です。そんなことで、後から単行本化して発売されるというギャン点現象が発生した本でもあります。ヒットしたことで、2016年には阿部寛の主演で映画化されています。
あらすじの『予想外の出来事が、次々と彼等を襲う』と楽しみにしてましたが、気が付いたらのこり100頁ほど クライマックスの攻防も思っていた以上に呆気ない結末でした。 重厚な東野作品の「白夜行」、「幻夜」などの重厚な作品と思ったら大間違いです。
登場人物も、あまり頼りがない栗林、偉そうにふんぞり返って意味の無い指示を出すだけの東郷所長、犯行後あまりにお粗末な国外脱出を企てる折口真奈美、そして呆気なく事故死した葛原と目を覆いたくなるばかりのポンコツぶり、まともなのは根津と千晶そして秀人の若手ばかりでした😓 それでも息つく暇なく読ませるのはさすがです
犯人が早々死んでしまうという驚きの展開。雪山に埋められた強力な生物兵器「K‐55」。その回収を命じられた研究員の栗林をメインに繰り広げられるサスペンス。もう主人公の栗林がドジで頼りなくて逆に心配になるほどです。
妻の実家のそばにスキー場はあるのですが今はさっぱり愛を向けません。そのスキー場にを舞台に、滑走禁止区域に隠されたテディベアを手がかりに病原菌を見つけようとするという単純な設定で読みやすいことは確かです。目印のテディベア、雪山に隠された生物兵器、タイムリミットは4日間という設定が緊迫感を煽ります。敵役の視点も書かれていたことによって、誰がどういう立ち位置なのか明確という点ではすんなり物語に入っていけます。
タイトルのロンドのように二転三転する展開は、ドタバタ喜劇のようで東映が映画化するにはぴったりの内容というのもうなづけます。それはストーリーの随所に感じられて、子どもがナイフを首にあてられるところまでいったのに通報しないとか、生物兵器のことを沢山の人が知ってしまったにも関わらず警察に届け出ないとか、高速バス急に止めるとか、保存容器の中身確認せずに飛行機乗ろうとするとか…。あまりにご都合主義な部分も多いけれど、サクッと楽しく読むにはいい本だと思います。
登場人物も、あまり頼りがない栗林、偉そうにふんぞり返って意味の無い指示を出すだけの東郷所長、犯行後あまりにお粗末な国外脱出を企てる折口真奈美、そして呆気なく事故死した葛原と目を覆いたくなるばかりのポンコツぶり、まともなのは根津と千晶そして秀人の若手ばかりでした。ただ、東郷所長が最悪なので何かギャフンと言わせて終わってほしかったなぁ。
そうそう、さらっと書いてあるけど、今は「スキーのストック」といわない「ポール」というらしいことが書かれていて時代の変化を感じます。