名古屋ショスタコーヴィチ交響楽団
第3回定期演奏会
曲目/ショスタコーヴィッチ
交響詩「十月革命」
交響曲第14番 ト短調『死者の歌』」
交響曲第5番「革命」
指揮: 和田一樹
演奏:名古屋ショスタコーヴィチ交響楽団
Sp. 新宮雅美
Bs. 奥秋大樹
刈谷市総合文化センター 大ホール 18:30
21日の春分の日は、刈谷市で開催された「名古屋ショスタコーヴィチ交響楽団」の第3回定期演奏会へ出かけてきました。
コンサートの予定はスマホのカレンダーに書き込んであるのですが、このコンサート、当初は18時15分開場、19時開演となっていたのですが、リマインダーで1日前にプッシュ通知があります。そんなことで、再度情報を確認したらなんと開演が30分早くなっているではありませんか!!焦りました。まあ、まだ前日に気がつけてよかったです。何しろこのコンサート、外部への告知はほとんどされておらず、この変更の情報もツイツターで発信されていただけです。急遽変更になったのでしょう。そんなことで当日配布されたプログラム(上記写真)には会場も、時間も印刷されていません。小生は基本的にツィッタ〜はやっていないので、こういう情報の発信は困ったものです。せめてホームページで告知してほしいものです。
これが当初の告知ポスターでした。19時開演になっています。
今回は会場が刈谷市ということで車を飛ばして行きました。ただ、祭日の夕方ということで通常なら1時間ほどで到着するのですが、渋滞に巻き込まれて開演3分前に会場に滑り込むという結果になってしまいました。
初めてホールですが、駅前ということで立地的には申し分ありません。開演時間の変更のためかギリギリに飛び込んでもいわゆるS席当たりでも余裕で空いていました。
10月革命の編成
最初の曲は交響詩「10月革命」です。ショスタコの作品で交響詩と表題のつく作品はこれ1曲です。ロシア革命50周年を祝う作品として作曲され、初演は1967年9月16日、モスクワ音楽院大ホールにて、息子のマクシムが指揮するソヴィエト国立交響楽団の演奏でした。しかし、録音の残る最初の演奏はコンドラシン/モスクワフィルのものです。下の演奏がそうです。
コンドラシンはよほどショスタコの信頼が厚かったんでしょうなぁ。曲は昔の映画音楽「ヴォロチャーエフ砦の日々」で使われた主題を引用しているのですが、小生には交響曲第12番との近似世を感じざるを得ません。まあ、どちらも10月革命を扱った作品ですからねぇ。それと、この曲を聴いて、ひょっとするとこの先10月頃にロシアで革命が起きるのではないかという予感が頭を横切りました。この曲の録音は意外と少なく、他にヤルヴィ、アシュケナージ、シュオーツがあるくらいです。
和田氏の指揮は、ショスタコ節全開のこの作品をパワフルで各パートをくっきりと浮き上がらせる熱演でした。ただ、冒頭でホルンのアンサンブルが少々もたついたのが残念でした。
2曲目にはこの作品の2年後に作曲された交響曲第14番 ト短調『死者の歌』が演奏されました。これは下の写真でも分かる通り、室内楽的な規模の作品で、オケは弦楽5部とパーカッションのみという編成です。ここにソプラノとテノールの独唱が加わります。
基本的に室内楽の響きで静かな部分が多いレクィエムになっています。今回前半はS席相当のポジションで聞いていたのですが、空調の音がまるでウィンドマシンのように唸り続けていて時には曲よりも大きな音で響いてとても曲を聴いている気分には慣れませんでした。確かに独唱者は熱演でしたが、空調の音で音楽が聞こえなくなるという体験を初めてしました。コロナ対策で空調を止めることはできないようですが、一番いい席でこの有様ですから、とてもこのホールではクラシックを聴く気にはなれないなぁ東野、というのがこのホールの感想です。できれは県芸のコンサートホールで再演してほしいものです。特に後方の中央から左はひどいです。耳の肥えた人は、多くの人がこの空調のノイズを気にしていました。
ということで、後半は2解析に移動して鑑賞しました。
交響曲第5番の編成
この席でも空調のノイズはありましたが、演奏中はマスキング効果でそれほど気にはなりませんでした。このホールはステージ右手で聴くに限ります。
さて、第5番は指揮者の個性が出た個性的な演奏でした。第一楽章から弦をたっぷり鳴らした響きで、所々テンポを落として主題を明確に浮き彫りにし、句読点をはっきりさせたわかりやすい演奏を心がけていたようです。曲によってコンサートマスターが変わり、この曲ではコンサートミストレスがヴァィオリンのソロの箇所を奏でていました。この音色がまたこの曲にマッチしていて、やや冷たい音色が曲を引き締めていました。
第三楽章と第四楽章はアタッカで続けて演奏されました。こういう構成はこの曲では生きてきますなぁ。2弾ロケットの加速のような状態で終楽章に突入します。ここでは早めのテンポで一気呵成に突き進んで行きます。やはりこの形がこの曲にはふさわしいように思います。コーダも高揚感あるキビキビとした響きでエネルギッシュにまとめていました。
さて、アンコールは何の説明もありませんでしたが、オリ番の人もステージ両袖や2階席に陣取ってステレオ効果満点に交響曲第7番のフィナーレを演奏しました。
二階席下手
二階席上手、ステージ袖も一部写っています
こういう演出いいですなぁ。演奏が素晴らしかっただけに次回は空調で音楽が邪魔されない県芸のコンサートホールで開催してほしいものです。