からくり人形師 九代 玉屋庄兵衛展
ー伝統の技と挑戦ー
アムール・ドュ・ショコラが終わったらJR名古屋高島屋で、この「からくり人形師 九代 玉屋庄兵衛展」が開催されています。すごい落差ですなぁ。しかし、これは地味ですが見応えのある展覧会でした。愛知県は山車文化が根付いているところで、圏内の40市町村で毎年山車まつりが開催されています。その多くの山車のからくり人形の修復に携わっているのが九代 玉屋庄兵衛氏です。その日本を代表するからくり人形氏の作品がここに一同に会しています。そして、この展覧会では3部構成でその足跡を辿っています。
■第1章
【山車からくり人形】
山車祭りは江戸時代の町人文化が華ひらいた曳き山の祭り。山車に乗せられた人形に仕掛けをしたのが山車からくり人形の始まりです。初代の玉屋庄兵衛は江戸中期の尾張は徳川宗春時代の繁栄期に京都から名古屋に移り住み山車からくり技術をしもざさえしました。その伝統の中で九代 玉屋庄兵衛が制作、修復したからくりが展示されていました。
【京都祇園祭蟷螂山】(2004・2014・2019九代目修復)
屋根の上の「かまきり」が動きます。
【半田西成岩『鵺(弓張月の対峙)』】(2007年)
こちらはからくりが弓を放ちます。
【犬山祭梅梢戯】(2003年九代目全面修復)
梅の木の梢を縦横無尽に渡り歩きます。
■第2章 【座敷からくり人形】
「からくり人形」とは、人形の内部に歯車・カムなどのメカニズムとぜんまいの動力をもち自動でうごく人形のことです。"機巧”とからくりの事を漢字で表すことからもその作りが想像されます。有名な『茶運び人形』をはじめ『独楽廻し』『弓曳童子』『文字書き人形』などが展示されています。
【弓曳童子】(1998年)
自動で番えた弓で的の扇子を打ち抜きます。
【文字書き人形】(2012年)
手と口にくわえた筆で「松、竹」の文字を書きます。
■第3章
【新作創作からくり人形】
初代が制作し300年の時を越えて復元した「鶴」や、スケッチ画のみから形にした「弓曳小早舟」など九代目の独自の感性で制作に挑んだ新作が電磁されています。会場ではこの第3章だけ写真撮影が可能となっていました。
【鶴】(2021年)
この鶴の首は縦横に動き、鶴の羽は3つに折りたたまれます。すごい技術です。
【弓曳小早舟】(2009年)
ゼンマイ仕掛けで動き那須与一よろしく舳先のマトを射抜きます。