ビゼー:歌劇「カルメン」(全曲)
ヘルベルト・フォン・カラヤン
ビゼー/
歌劇「カルメン」全曲
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6.面22:04
カルメン:レオンタイン・プライス(ソプラノ)
ドン・ホセ:フランコ・コレルリ(テノール)
エスカミーリョ:ロバート・メリル(バリトン)
ミカエラ:ミレルラ・フレーニ(ソプラノ)
スニガ:フランク・シューテン(バス)
メルセデス:ジュヌヴィエーヴ・マコー(メッゾ・ソプラノ)
フラスキータ:モニク・ランヴァル(ソプラノ)
レメンダード:モーリス・ブザンソン(テノール)
ダンカイロ:ジャン=クリストフ・ブノワ(バリトン)
モラレス:ベルナール・デミーニー(バリトン)
ウィーン国立歌劇場合唱団[合唱指揮:ヴィルヘルム・ピッツ]
ウィーン少年合唱団[合唱指揮:ヘルムート・フロシャウアー]
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
[使用楽譜]エルネスト・ギロー校訂版
歌詞対訳:鈴木松子
録音: 1963/11/18~27、ウィーン、ゾフィエンザール
P:ジョン・カルショー
E:ゴードンパリー、ジェームズ・ロック
RVC RX2826-28(LSC-6199)
こちらはレコードです。一般に流通しているボックスとは色合いが違います。一応RCAの「RED SEAL」レーベルで発売されていますが、発売元はRVC株式会社となっています。この3枚組のボックスセット2016年に捕獲しています。多分レコードとして発売された最後のものではないかと推察されますが、このレコードほとんど新品同様です。レコードはセンタースピンドルの傷で使用頻度が確認できるのですが、このセットその傷が確認できない面がほとんどです。前のオーナーはほとんど聴いてないのではないでしょうかねぇ。
カラヤンとウィーン・フィルによる1963年11月録音の「カルメン」全曲盤は、発売以来このオペラの代表的な名盤として高く評価されてきました。当時一般的だったギロー校訂のレチタティーヴォ入りの版を使い、カラヤンがウィーン・フィルから引き出す豊麗な響きと濃厚な表現はこのオペラのドラマの鼓動を伝えて止まず、当時旬のレオンタイン・プライス、フランコ・コレルリ、ロバート・メリル、国際的な活躍をし始めたばかりのミレルラ・フレーニ、そしてパリ・オペラ座のヴェテラン歌手たちが脇役を固めるという歌手陣はまさに完璧といえましょう。
1964年5月にウィーン国立歌劇場芸術監督を辞任することになるカラヤンにとって、まさにウィーンのポストでの芸術面における一つの頂点を極めた時期の最良の成果というべき録音でした。当時の発売元はRCAですが、実際の録音に当たったスタッフは英デッカの面々でした。この時代アーティストは各レコード会社の専属制で硬直化していたのでバーター録音が流行っていました。米CBS系列のEPICはフィリップスと組んでセルがコンセルトヘボウと録音を残しています。
そんなことで、この「カルメン」は、RCAとデッカが提携していた時代の産物で、当時のデッカのメイン・プロデューサーだったジョン・カルショウが手がけたことでも知られています。ステレオのパースペクティヴを積極的に活用した典型的なデッカのソニックステージも見事で、骨太のデッカ・サウンドは今でも鮮烈に響きます。アメリカでは「ソリア」シリーズという豪華仕様のセットとして発売されました。
ところでカラヤンはDGGにはベルリンフィルともこの「カルメン」全曲を再録音しています。1982年録音のパルツァ、カレーラスというメンバーのものです。こちらはオリジナルに最も近いアルコア版を使い、セリフ部分は別キャストを用意するという凝りようのもので差別化を図っていました。
ですが、もう一つ「カルメン」を残しています。それは1967年録音のものです。こちらは映像作品として残されたもので同じくカラヤンはウィーンフィルを振っています。カラヤンが指揮だけでなく、映像監督も務めた、カラヤン&ウィーン・フィルによる理想主義的な上演で観る「カルメン」になっています。名歌手たちが歌い、ウィーン・フィルが演奏する豪華な内容ですが、1967年6月ウィーン(音声)、1967年8月ミュンヘン(映像)ということで、音声と映像は別撮りということではリアル性はちょっと難ありかなぁという仕上がりです。
しかし、前奏曲を聴く限り同じウィーンフィルとの演奏でありながらこちらの方が覇気があると感じるのは小生だけでしょうか。
CDは歌詞対訳はついていません。